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よみがえる小ネタ

思い出パスワード

作者: 京本葉一

 旧世代の人類は、死蔵することを好んだようだ。分けあうことをためらい、必要以上に集めようとする。祖父もそうだった。


「敵だらけの時代を生きていた。世界が大きく変わっても、この習性は死ぬまで治らんよ」


 口にしていたとおり、祖父は、金庫に何かを保管したまま亡くなった。


 なかには何が入っているのか。教えてもらったことはないが、祖父にとっては大切なものであり、この金庫と同様、旧世代の遺物であることは想像できる。


 我々はモノに執着する。

 そうやって、感情や懐かしさに浸るのだろう。

 たとえ悲しい記憶でも、忘れがたい、大切な思い出なのだから。


 遺された文章を読めば、苦笑する、祖父の姿が思い出される。


『鶏が卵を産んだなら

 僕らはお湯をわかすだろう』


 文章のなかには、金庫の扉を開く「合言葉」も記されていた。


『ゆでるのではなくのせるだけ

 熱いお湯をそそぐだけ』


 意味のわからない「合言葉」を入力して、金庫の重たい扉をあけた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] チキンラーメンかよ!!!(笑) [一言] おいしゅういただきました。
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