呪剣 アドヴァシティー
「さ、佐村ツルギです…」
とにかく俺がわかるなら話は早い。
上手く説得できれば協力してもらえるかもしれない。
「?なにお言っておるんだ。」
はい?俺の名前ですけど…
俺はお前こそ何言ってんだという風に軽く睨んでみた。
「ワシは一目で分かったぞ?呪剣アドヴァシティー。」
いや、は?
なんかカタカナで呼んでくるし、何?受験?
「とぼけても無駄だ。鍛冶屋の端くれとしてお前なんぞ闇に葬り去ってくれる‼︎」
困惑する俺とは裏腹に、迷いの無い動きで鍛冶屋のお爺さんは俺に鍛冶用の槌を大きく振り上げていた。
なんでそんな唐突⁉︎
「あギャァァァァァァァァがぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
なんか変な声で叫んでしまった。
「死ね!呪剣!」
その時、まさに救いの手が差し伸べられたかのように
店に誰かがやってきた。
「おーい、じぃちゃん。可愛い孫が来たよー。」
その客は鍛冶屋のお爺さんに近づくと、ん?何これ?と言った風に俺を手に取ると、「ふーん、いい剣じゃん。」顔面に微笑をたたえて呟いた。俺に目をつけるとはお目が高い。
「それに触るな、返しなさい。」
鍛冶屋のお爺さんが焦りながら孫らしい人に返せと言わんばかりにぶんどろうとした。
「なんで?だってさっきじぃちゃん壊そうとしてたじゃん?だったらこれ俺が砥ぐから俺にくれよ。」
「いかん!お前も呪いに浸食されるぞ‼︎」
はぁ…さっきから何言ってんだよこのじいさん…
黙ってたら調子に乗って呪剣だの呪われるだの。
というかあの封印野のされ方は絶対聖剣とかそこら辺にきまってんだろ…ん?封印?
「どうやってかは知らんが、ワシの客がこの呪剣の封印を解きよったんじゃ!」
うん!封印されるってことはこの剣かなり曰く付きだね‼︎
「いいよ、別に。」
「なんじゃと⁉︎」
孫の方は案外けろりと答え、「というか、今日俺がじぃちゃんに来た理由なんだけど…」という風に、ニヤニヤとしながら鍛冶屋のお爺さんの顔色を覗き、からかうようにして続けた。
「俺、旅人になろうと思ってさ。それを言いに来たんだ。」
「旅人じゃと⁉︎この鍛冶屋を継ぐんじゃないのか⁉︎」
「でも俺は広い世界をこの目に焼き付けたいんだ。
この世界に俺の知らない事がまだたくさんあるんだ。面白いと思わない?」
孫は必死の説得を試みている。
孫は軽く笑ってはいるものの、心は真剣そのものの様だった。
「駄目じゃ…この鍛冶屋はお前が継ぐのじゃ。」
鍛冶屋のお爺さんはもう俺など眼中にない様で、こちらも必死な形相で孫に考えを改める様迫っている。
おそらくこれは両者共々譲れないのだろう。
「…そっか、じぃちゃんは駄目っていうんだね…」
ん?なんかこいつ何か考えがあるのだろうか?
「しょうがないな。それなら…」
というが早いか孫は俺を掴み走って店を出た。
「じぃちゃん今までありがとう!じゃあね!」
「フォノス!」
こいつフォノスっていうんだ。
「立派な旅人になるよー!」
フォノスがそう言って笑うと鍛冶屋のお爺さんは顔を真っ赤にしてして、「二度とうちの店に入るなよ!」
と歳を感じさせない勢いで叫んでいた。
キャラクター紹介
呪剣 アドヴァシティー LV,1
属性 木 闇
スキル ・ナイトフォレストマジック