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銃と紅茶は水晶と踊る  作者: しみしそ
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パーク【フィネガンズ・ウェイク】

こんにちは、うちの県でまたコロナが出ました。絶望ですね、でも逆に考えると感染者がいる県は何かしら他県の誰かを吸い寄せる県でもあるので複雑です。それではどうぞ!


それは階段を駆け上がり、出口と思われる扉に手を掛けようとした時だった。


「おいリン、俺たちはここから逃げ出そうとして階段を登っていた筈だよな」


『…何で俺たちがあのうさぎ男を見上げていル!?』


「『鬼ごっこ』ってあるよねぇ……?」


「…そ、それがどうしたんだよ」


「あれ、捕まえる側が逃げる役を追い掛けるのはすっごい分かるんだけど……ずっと思っていた…『何故逃走役は反撃しちゃあいけないのかな』ってね。桃太郎でも勧善懲悪、小さい子供向けの童話でさえ返り討ちにしているんだぜ?…以来、僕には『逃走役』が随分と身に入らなくてね…………気付けば「鬼」になっていた」


『ーー!シンノスケ、来ル!!」


「おうよ!」


うさぎ男ことデスローは上着のポケットから石を取り出し新之助に向かって投げた。当然余裕で避けられるスピードだったので身を翻す。


『バカが!どこ投げてんだスカタン!!』


「相変わらず口が悪いーーッ!!?」


そこに奴は居らず、代わりにデスローの立っていた場所にはここの部屋に付けられた扉一枚がおちていた。


『ウッ、後ろだッ!!」


「ぶっ、ぶげぇ〜〜ッッ!!」


新之助のみぞおちに勢いよく避けた筈の石が命中する。思わず漏れでる嗚咽。目の端に少し涙が出てきた。


「こっ、今度は後ろだ…っ、俺たちの後ろに立っているぞ……!!!」


『クソッどうなってやがる!?』


形態変化(ビルド)!ーーオラァッ!」


新之助はそのまま壁をぶち壊し、リンに両足を覆わせそのまま足早にそこを離脱する…が。


「ざぁんねぇん!僕でえ〜す♪」


「瞬間移動でも使えんのかテメェー…」


「惜しいな惜しい。僕は勇者だぜ?当然パークも身に付けているそれが……これだ」


「…56?」


デスローが手の甲を新之助にかざし見せつけたそこに刻まれていたのは『56』という数字。それにやけに凝った斜線が引かれていた。


「さあさ、お目目をカッと開いて!手品師(マジシャン)か?魔法使いか?いやいや僕はただの詐欺師さ!」


口上を述べつつどこから取り出したのか白い鳩を取り出すとおもむろに口の中へ押し込んだ(・・・・・・・・・)。当然、生きている。


『……』


リンを見ると信じられない物を見る目でデスローを見つめていた。俺も全く同じ感想だよ。


「お……」


新之助は喉に強烈な違和感を感じた。


喉に、何かいる(・・・・・・・)


『…………シンノスケ?』


「おげえェェェェェェェェッ!!?!?」


奴がもがく鳩を飲み込んだかと思えば、どういう仕掛けか新之助の口の中から鳩が翼をはためかせとびだしたのだ。


『コ、これがこいつの能力(パーク)


「『愉快で不快な葬式を(フィネガンズウェイク)』、ーー美味しかった?」


「テメェーー……」


「『ぶっ殺す!!」』


新之助の慌てふためく姿に最高に頭に来た新之助はリンを第二形態までにして装着、有無を言わせず殴り掛かった。


「オラァッーー!!」


ボクシングの世界チャンピオンなんて欠伸が出るほど遅く見える…それほどこの形態でのラッシュは素早い。地面を蹴り、デスローの顔はぐちゃぐちゃに変形していた…と思っていた。


「こっ…これはーー、釘ィ!?」


新之助の拳には無数の釘が刺さっていた。アドレナリンがどくどく溢れ出ていることもあるがいつすり変わったのかすら分からない。


「おいおい僕の能力はさっき説明しただろう…がっ!」


「ぐおっ…!」



デスローのパークは赤と白のストライプ模様のストローを擬人化したような見た目をしていて、パワーも新之助に匹敵するのかリンの防御もあっさり貫通してダメージを与えてくる。リンの耐久はそこらの鉄よりよっぽど固い。スピードこそ無いが、この瞬間移動のような能力とこの高い近接戦闘能力。非常に厄介と言える


「うーん手応えが無いなあ…キミ本当に戦争代理人(ウォーオーダー)なんだよね?それにしては…どーにも弱くないですかあ!!?」


「言ってくれるじゃあねえか…」


「…お?」


「なら見せてやるよ…お前『気』って知ってるか?」


「気?ああ、なんか昔耳にしたことがあるけど…僕たち勇者の肉体は異能を弾くからね。パークは例外だけど」


「本当に効かないか試してみるか?」


「ああいいだろう、愉快で不快な葬式を(フィネガンズウェイク)!」


デスローがパークを顕現させ腕をクロスさせ防御の体勢を取り、新之助はリンを一旦解除し深く腰を落とした。


すると新之助の周りに次第に黄金の煙のような、色のついたオーラのような何かが立ち込める。遭遇した事の無い現象にデスローは生唾を飲み込んだ。


「おい、しっかり防御固めとけよ…リン!」


『オウ!』


リンは掃除機のように口を大きく開け、立ち込めたオーラを吸い込み、新之助の右腕を再び覆った。さっきと違う点としては真っ黒だった表面が少し輝いているのと右腕以外は生身という点だった。


形態変化(ビルド)ォ…………」


「(ーーヤバい)!!」


「ーーーーストライク!!!!」



刹那、部屋は光に包まれた。







最後までお付き合い下さりありがとうございました!次回ちょっと番外です、お願いします

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