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銃と紅茶は水晶と踊る  作者: しみしそ
4/6

密室と時計兎

宝くじ2000円当たりました!桁があと四桁欲しかったですね…

「ハーロー!目が覚めたかい?」


「…………誰?」


やけに暗い小屋のような場所で新之助は目を覚ました。目の前にうさぎの着ぐるみを被った2メートルはある細身のやけにハイテンションな男が話しかけてきた。


「おおっとぉ!人に聞く時はまず自分から名乗るんだぜェ〜っ!?」


…うぜえ……。


「伊織新之助、です」


「ん?んんん!?ひょっとしてだけど君極東の出身かーい?その名前、その平たい顔!ははは!ウケる」


あれ?ケンカ売られてる?


「誰ですかテメーは、初対面だよな俺たち?」


「おおう!そうだった!!いや実はね?僕ことデスローは勇者協会のちょっとした責任者なんだけどお…」


「はあ」


「ローンスターの聖剣がどーーも何者かによって折られちゃった(・・・・・・・)んだよね!キミ、何か知らない?」


…これは俺が犯人だと知っててカマをかけているんだろうか?なら素直に吐いた方がいいのか?


「まあ!キミってことは既に分かっているんだけどお…」


「すいません誰かいませんかー?居ないならこいつ殴ってもバレないですよね?」


「一つ分かんないんだよねー、ローンスターの聖剣(レプリカント)悪属性に対する(・・・・・・・)絶対防御結界の中に(・・・・・・・・・)保管されてるんだよね(・・・・・・・・・・)。…それで話は戻るけどキミーー」


「…………」


「ーー戦争代理人(ウォーオーダー)だろ?」


「…………」



伊織新之助は『悪』を食べないと、死ぬ。

そしてより悪事を働いた者の履歴は一層美味い。


そして悪を食べられた者の履歴は新之助に引き継がれる。記憶も新之助が悪事を働いたと補完される。


『食事』の為に数々の大小問わない悪人の"履歴"を貪り、新之助は数え切れないほどの業をその身に宿していた。中でも所謂戦争で突出した残虐性を見せたいわゆる『戦犯』たちの履歴を食べたことにより、新之助は各国の公安にマークされることとなり地震や津波に並ぶ自然災害の一つとして全国を股にかける大犯罪者として追われる身となっていた。


そして付いたあだ名が戦争代理人(ウォーオーダー)。 戦争中だろうが彼の滞在している事の発覚した国はその小国一つ買えるほどの懸賞金が掛けられた新之助目当てに戦争を中断して、一時的な同盟を組んで新之助を捕縛しようとした事からこの名前が付いた。


「さあどうだかな。俺の顔面をよく見てみろよ、あの代理人とは似ても似つかないだろ?」


そう、新之助はリンの能力で普段は顔を覆い、適当な顔を作り出して生活をしている。だが能力をフルで使う時はそこにリソースを割いている余裕は無いので素顔が出てくるが。


「そうかい?鏡を見てごらんよ!」


「……嘘だろ」


うさぎ男が突き出した鏡に映し出された新之助の顔はまさしく素顔すっぴんありのままだった。


「…で、どうすんだ?俺を捕まえるのか?」


「ノンノンノンノン!そんなことはしない!断じてね!君が子供なら老人までを犯すオールマイティな性犯罪者で、女から男までをターゲットにしたバイ・セクシャルな結婚詐欺師で、老人のみを殺して○○○を貪り食べる快楽殺人者だとしてもね!」


聞き慣れた口上句だがやはり耳が痛いし、やってもない罪を課せられるのもなんだかなあと思う。


「キミ、手の甲に41という数字が刻んであるね。それは『勇者の証』。そして勇者同士の殺し合いはご法度なんだ!それを破るとモンスター同様に『討伐』されてしまう。だから僕はキミを殺すことなんてできやしない!だから…」


「…だから?」


君を殺す(・・・・)!さあ!さあさあさあ!楽しみだよ!キミ!ボクはボクを濡らしてくれる人を待っていたんだ!!」


「テメェー…、頭おかしいんじゃあねえのか?つまりお前は勇者なんだろう?ご法度なんじゃねーのか?障子は破るためにあるとか言っちゃう人間かテメーは」


「ンッンー、惜しい!実にグレイト!確かに僕は勇者ではあるんだけれど、厳密には違う。()勇者だよーん!」


「既に破門されてた…って訳かよ!来い、リン!」


「あっ、リンちゃんはここには居ないよ!はは、呼び出せなくて残念!」


「なるほどな…道理で顔が禿げおちてた訳だ…、それで?お前はその勇者の力、『パーク』で俺をなぶり殺すつもりか?」


「そっ…」


うさぎ男は絶句した。


「そんなことする訳ないじゃないか!勿体ない(・・・・)!リンちゃんは別室にちゃあんといるよ!付いてきて!」


新之助は訝しげにうさぎ男を見上げ、しばらく考えたがどうやってもリンが居ない状態でこの○チガイと戦っても向こうの手の内が分からない以上絶対に不利だ。新之助は頷き、恐る恐るついて行くとやけに簡素な扉の前に行き着いた。


「ここだよ!ほらリンちゃんお迎えさんだよ!」


『おお、シンノスケ!こいつ良い奴だゾ!めっちゃ肉まんくれるんだゼ!お陰でエネルギーも満タンダ!』


「リン!」


部屋の中央にはこんもりと盛られた肉まんの山がそびえ立ち、触手を伸ばして一心不乱に食事にふける相棒の姿があった。

余談だが、リンの充電は他の食事でも可能だが出来ることなら肉まんが一番いい。本人曰く『一番"喰う"って感じがするからヨ』らしい。


「よし、じゃあ食事も済んだことだし…」


「おっ、殺る?殺るかい!?」


逃走(ダッシュ)だ!」


『肉まんありがとヨ〜!』


新之助とリンは、逃げ出した。


最後までご覧頂きありがとうございました!ちなみに皆さんスーツはどこで揃えましたか?僕は青山がお気に入りです、ではまた!

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