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銃と紅茶は水晶と踊る  作者: しみしそ
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錬金世界リーフィア

お疲れ様です、今日は朝っぱらから猫が庭で盛ってました。それではどうぞ。

物語のページには3年間の余白ができた。


伊織新之助の欠損した部位の代わりに、魔王は自身の身体を分解、再生を繰り返し、手足から静脈・視神経に至るまで足りない物は全て自分の身体をあてがった。


しかしそれでも完治には至らなかった。


新之助の意識が途絶えたのだ。

当然脳機能に異常が無いか確認するがこれといった異常は確認出来なかった。


まるで第三者に無理や(・・・・・・・・・・)りシャットダウン(・・・・・・・・)させられた(・・・・・)かのようだった。魔王が改めて新之助の身体を弄ると、それまでこの融合を支えていた新之助の能力である『異能への完全耐性』が引き剥がされていたのだ。


なるほどそれで一般人同様の身体になった新之助は痛みに耐えかね意識を失ったのか。


しかし一体誰がやったのか、そんな小さな疑問さえ今の魔王に考える余裕など無かった。


押し寄せる瓦礫、崩落する魔王城にたった一人新之助が潰れないように守りながら、破壊と再生を繰り返していた。融合と言っても魔王自身の身体を削り取り新之助の体のパーツに成り代わる為に、拒否反応が出たらすぐにその部位をちぎり取り、また新たなパーツを生成していたのだが新之助の意識が無いとなると手の打ちようがない。


仕方ないので外見のみ限りなく人間に模した右手と両足を魔王自身の手足を使って補完した。眼球から細胞の1片まで彼に譲渡した。そのせいで魔王自身はまるで黒いスライムのような見た目となり、右手・両足・左目を移植した新之助の意識の覚醒を待つだけとなった。


それでもまだ足りない消化器官は魔王としての特性、いや『呪い』で補った。魔王は人の『心』を喰らう。しかしこの特性は伊織新之助と融合したことによって変化を遂げ、「悪」を喰らわなければ生きていけない身体になった。


四肢を失い、もはや「魔王」と呼べる風貌ではなくなった彼ははるか昔に朧げに覚えている名前を改名して『リンツー』と名乗ることにした。


疲弊もあってかここでリンツーの意識も遠のいていく。次に起きるのは1時間後?1週間後?はたまた1ヶ月後か?意識が霞んでいく中、次に目を覚ましたのは約一年と半年後だった。


ここは魔王城跡地。少し前まで人類の敵が寝食をしていた危険な場所…なんてことはなく。極限まで危険を排除された魔王城跡地は観光客が賑わう人気スポットと化していた。月日は人の恐怖を洗い流す。


問題が発生したのは一人の職員の通報だった。


夜になると裸で跡地を徘徊する不審者が出た、と。

駆けつけてみればそこには確かに不審者が立っていた…が、顔に生気が宿っていない。だらりと口から涎を垂らし、歩き方さえおぼつかない。まるでゾンビ映画に出てくるそれ(・・)のようだ。


呼び掛けにも答えず、しまいにはこちらに攻撃をする素振りまで見せたために遂に職員には発砲が許可された。


しかし、何発撃っても倒れない。彼…と呼んでいいのか定かではないが倒れることなく突き進んでくる。その異形の怪物に銃弾を撃ち込んでも、弾が届く寸前にその部位が真っ黒な皮膚で覆われ攻撃を弾いてしまうのだ。これに頭を悩ました結果、そして要請されたのは軍だった。魔王が居なくなって以来の大規模な戦線が引かれ、この未知の怪物への討伐隊が結成された。何しろ長らく世界を支配していた魔王城の跡地から現れた生物だ。「野放しにしていては必ず我らの敵になる」。上層部からの指示だった。


魔王討伐から一年と半年。各地に聖剣を引き抜きパークに目覚める勇者が増え始めてきたこともあり、三人の新米勇者達も編成した小国であれば一つ滅ぼせるような大軍だった。


時刻はゆうに23時を過ぎた頃それ(・・)は姿を現した。


いつも何をする訳でもなく、歩き回って日が出てきたらどこかへ消える。『脅威』と呼ぶには遠く及ばないが、あの魔王の畏怖から余儀なくされた大規模討伐隊だった。


勇者の一人がパークを繰り出そうとしたその時だった



黒い流星がその怪物を攫っていた。


数秒間、討伐隊は何が起こったのか分からなかったがよく見ると攫っていったその謎の流星の正体はすぐにわかった。


箒をサーフボードのように乗りこなし、白髪頭にゴーグルをした鷲鼻の老婆など一人しかいない。


翡翠の魔女(・・・・・)マリアンヌ。魔王と並ぶ人類の脅威の一人。マリアンヌ・マザーハットだ。目撃例こそ少ないが、各国の重役の殺害・子供の誘拐・環境保護生物への殺戮など彼女の悪事を紹介したらキリがない。


当然発砲、勇者達三人もパークを最大出力で攻撃した物のひらりひらりと怪物を抱えてあの動きか。噂では齢500を越えているとかいないとか。


そのまま彼女は満月を背に雲の彼方へと消えていき、魔王城跡地には五月蝿すぎる静寂が訪れた。


謎の怪物こと、勇者伊織新之助と元魔王リンツーはマリアンヌに引き取られ彼女に欠損した脳機能を始め、様々な欠落した部位を改めて補完され、意識を取り戻したのだった。


そして伊織新之助とリンツーはここで2年間を過ごす事となる。魔女マリアンヌから指南された人間の丹田から生み出される『気』の操り方・リンツーを最大限活かす戦闘方法から、組み合わせると効果を発揮する薬草に箒の乗り方まで。



伊織新之助。

他人の「悪事」を食べないと生きていけない身体になった男。喰らった悪事は新之助の物となり、食べられた相手はその間の記憶を失う、つまり真人間に戻る。


代わりにその相手の「罪」を新之助は背負うことになる為、被害者は新之助がその「悪事」を働いたと認識する。なお通常の食事は必要無くなり、身体の一部が掛けてもリンツーが代わりにくっつくと元通りになる。元々あったオカルトへの耐性はいつの間にか消えていた。


リン・ツー。

身体の9割9分を失った元魔王。新之助と合体することにより通常の身体能力を何倍もの出力で出すことが出来る。今のところ第二形態まで存在するが、両形態ともエネルギーを消費しすぎると眠ってしまう。

充電には食事が必須となるが、こちらはなぜか肉まんを食べると飛躍的に充電速度が上がる傾向にある。



この世界は現在の地球のパラレルワールド。


「もしも世界に錬金術が産まれていたらのif世界線」


文明は16世紀で完全に停止し、代わりに魔法が世界の人々のエネルギー源として広く活用されていた。


世界ではある国のカースト制度が導入され、特別魔力が高い者や聖剣を引き抜き異能に目覚め、その中でも一際強力な能力を有する者が最上位に君臨する世界。


世界各地に点在する聖剣に適正のある者が触れると「パーク」と呼ばれる異能に目覚めるのだ。


「パーク」を操る者たちを改めて"勇者"と呼び、魔王討伐を果たした五人は英雄として祭り上げられた。


そんな世界の名前を錬金世界「リーフィア」と呼んだ。



最後までお付き合い下さりありがとうございました!名称などは色んな所から引っ張ってきてるのでオマージュです!パクリじゃないです…多分。

次もよろしくお願いします!

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