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95話 ダンスパーティー3


ダンスが終わった後、ウィルが何を心配していたのか気になったので、聞こうとしたら「ウィリアム様ぁ」とウィルの追っかけが声をかけてきたので聞くに聞けなくなってしまった。

というか今日は私が隣に居るのに馴れ馴れしいなと思ったので、相手を確認するとウィルと同学年の侯爵令嬢と伯爵令嬢、それと1学年下の伯爵令嬢の3人が居て、私に気付いていると思うのだけれど完全に無視である。

3人共それなりにモテそうな可愛らしい容姿をしており、ウィルを落とす自信があるからこんなに積極的なのだろう…ってやだ、この人達ファンじゃなくて本気なの?ウィルったら何をしたら本気のご令嬢が3人も釣れるのかしら。


「ウィリアム様、今日はダンスを踊られるのですね」

「私今日はまだ誰とも踊っておりませんの」

「私もですわ」


そんな感じで令嬢3人はダンスに誘って欲しいアピールをしていたが、ウィルが「そうですか」と塩対応をすると、私に標的を変えてきた。


「貴女、ウィリアム様とダンスを踊ったからっていつまで手を握ってますの」

「そのドレス、貴女下級生でしょ、早く次の殿方とダンスの練習でもなさったら?」

「そうよ、今色んな殿方と踊っておけば、デビュタントまでに誰か求婚して下さるかもよ?」

「求婚なら彼からもうされてるから、必要ありませんわ」

「「「は?」」」

「初めまして、彼の婚約者のマリアンヌ・ガルディアスです」


私がそう言って最上級の微笑みで返してやると「私達知ってますのよ、公爵家の権力でウィリアム様を縛っている形だけの婚約者でしょう?」と噛みついてきたので、この人達正気かしら?と疑ってしまった。

実行するつもりはないが、私は公爵家の中でも上の方に位置するガルディアス家の令嬢で、お父様は宰相だ、ゲームのマリアンヌの様に、やろうと思えばこの3人を家族ごと路頭に迷わす事だって出来たりするんだけど…これはウィルにハッキリバッサリフラれないと分からないのかな?


「それではまるでウィルが私と結婚したくないように聞こえますけど、根拠はあるのですか?」

「あら、社交界では有名ですわよ、宰相がウィリアム様を養子に欲しがり、貴女と無理やり婚約させたとね」

「それは初耳ね、私も混ぜて下さらない?」


そう言って私達の会話にアリスが参加してきた。

アリスは扇子で口元を隠し、目は笑っているのだが正直ちょっと怖いと思った、しかもアリスの後ろにはカイン様もいるので迂闊な発言は即アウトになるだろう。

未来の王太子妃の乱入に流石にヤバいと思ったのか「アリス様のお耳に入れる程の事ではありませんわ」と逃げようとしていたが、アリスは「そうなの?私これでも王太子妃となる身ですから社交界には結構顔を出しているのだけれど、先程のマリーとウィリアム様が形だけの婚約だなんて噂は初耳でしたので詳しく聞きたいわ」とまったく逃がす気がない。


「貴女達がその噂を流しているの?」

「そんなまさか!違います!」

「ではどなたに聞いたの?」

「っ!…それは…」


アリス相手に言い淀むという事はそれなりに権力がある方が広めているのだろう。

私デビュタントもしてないのに何でもう社交界で標的になってるのかしら、まぁお父様の立場や役職を考えれば敵が多いのは納得できるけど、私とウィルの関係が拗れると誰か得するの?

そんな事を考えていると、アリスがご令嬢3人を別室へ連行してしまった。

私もついて行こうとしたら「ご婦人やご令嬢の社交界での噂の対処はアリスに一任してるから、今日は彼女に任せてマリアンヌはウィルをよろしく」とカイン様に止められたので、ウィルの方を見ると確かに難しい顔をしていた。


私はウィルに少し外の空気を吸いたいと言って会場から連れ出し、誰も居ない校舎裏の庭園までやって来た。


「ねぇウィル、何か心配事でもあるのですか?」

「…うん、あるよ」

「私には話せない内容?」

「そんな事ないよ、ただ俺が心配性なだけ」

「どういう事ですか?」

「マリーは前に俺が心変わりするんじゃと心配してた時期があったよね」

「はい」

「それはマリーにも言えるんじゃないかと思って」

「つまり…私がウィル以外の誰かを好きになるという事ですか?」

「そういう事」


なるほど、それで私がアルベール殿下の方を見ていた時に心配そうにしていたのか。

確かにウィルの言う通り、私もゲームに登場するキャラクターの1人だから可能性がゼロでは無いけど。


「私は前世の記憶もあるのでウィル以外を選ぶ事はありませんよ」

「分かってる」

「もし私をおかしいと思った時の対処はウィルに任せますわ」

「うん」

「あとウィルに本気なご令嬢ってあの方達以外にもいますの?」

「…怒ってる?」

「質問に答えて下さい」

「本気かどうかは知らないけど、諦めの悪いご令嬢は何人か…」


その答えを聞いて私は盛大にため息を吐いてしまった。


「その諦めの悪い方達とはどうやって出会ったんですか?」

「え?」

「何もないのに婚約者のいる男性に本気になったりしませんよね、何したんですか?」

「絡まれていたから助けたり、鍵が壊れて閉じ込められていたのを助けたり、こけそうになっていたのを支えたりとかだけど」

「はぁ、最早作為を感じるレベルですね、かと言って無視する事も出来ませんけど」

「マリー、ごめんね」

「何がですか?」

「俺達の婚約に関してあんな噂が流れてるなんて知らなかったし、それに俺が放置せずに彼女達を諦めさせていればマリーに噛みついてくる事も無かったかなって…」

「噂に関してはアリスも知らなかったみたいですし、私は諦めさせようとウィルと彼女達の接触が増える方が嫌ですので謝らないで下さい」


私がそう言うとウィルが強めに抱き締めてきて、「俺はマリーと一緒に居たいだけなのに、何でこう次から次へと…」とため息混じりに呟いた。


「そうですね、しかも今回は私達を不仲に見せたい様ですし」

「マリーは夜会に参加出来ないから噂を否定しきれないんだよね」

「こうなると私達だけじゃどうしようもないですから、アリスからの連絡待ちですかね」

「そうなるね」


こうして初めてのダンスパーティーは、新たな問題を浮上させて終わった。


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