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93話 ダンスパーティー1


今日はこれから例のダンスパーティーに参加しなければいけないので、私は少し緊張していたのだが、それとは別に少し気になっている事がある。


1週間前、ウィルが選んでくれたドレスが届いたので、侍女のマーサと一緒に箱から出して見てみると、青を基調としたハイネックノースリーブでAラインのドレスだった。


「凄い綺麗なドレスですね、お嬢様」

「本当にそうね、ドレスに着られないようにしなきゃ」

「その心配は一切ないかと」

「ふふ、ありがとうマーサ」

「いえ、念の為1度着てみますか?」

「そうね」


ウィルがドレスを注文したのだが、私は一切サイズを測られていないので少し心配していた。

大人になればそうそうサイズが変わる事は無いから、保存されてる記録で作ればいいけど、私は現在成長期、しかも最後にサイズを測ったのはほぼ1年前、私も知らないサイズをウィルが知ってるとは思えないんだけど、ウィルは「分かるから大丈夫だよ」って言っていた。

ウィルがそう言うならと信じたが、実際着てみると本当にジャストフィットでマーサと一緒に驚いた。


「…お嬢様」

「何、マーサ」

「本当にお店に行って測ったりしてないんですよね」

「もちろんよ、私が出かけてないのはマーサが1番知っているでしょう」

「はい、なので私失礼ながら多少直しが必要かと思っていたのですが」

「大丈夫、私もよ」

「バストラインもウエストも丈も完璧となると…お嬢様、ウィリアム様を部屋に連れ込んだりされてませんよね?」

「し、してないわよ!(あの日以外)」

「そうなんですか?別に連れ込んだって構わないんですよ、私は見て見ぬフリを致しますので」

「ん゛んぅ!?なっ、なにを言い出すのよマーサ!」

「旦那様からはお嬢様が卒業なさるまで、絶対目を離すなと言われておりますが、奥様から旦那様の事は無視してお嬢様の自由にさせて欲しいと言われております」


私はそんな事初耳だったので、驚いて「え、それでマーサはどうするの?」と聞くと「先程申しました通り、奥様の発言を優先しております」と笑顔で答えた。


「そうなのね、お父様には悪いけど、私もウィルをそんなに待たせるつもりはないから助かるけど」

「あらあら、お嬢様ったら幼い頃が嘘のように積極的ですね」

「だって、私の卒業なんて待たせてたらウィル21歳よ?魔が差すかもしれないじゃない」

「(あのウィリアム様に限って、お嬢様に嫌われるリスクを無視して性欲を優先するとは思えませんが)モテますものね」

「それよ…しかもそんなに愛想よくしてないのにモテるらしいから、困ったものよね」

「お嬢様が夜会に出られれば一瞬で身の程知らずだと分からせてやれますのに」

「だといいけど、今回のパーティーはそれの予行練習だと思って頑張るわ」

「私も精一杯お手伝いさせて頂きます」

「じゃあ、このドレスに合うアクセサリーと髪型を一緒に考えましょう」


そして1週間マーサと悩んだ末、今日の私が出来上がった。

私が寮からウィルと待ち合わせている会場の入り口に行くと、私に気付いたウィルがすぐに駆け寄ってきて、満面の笑みで「マリー今日は一段と綺麗だね、そのドレスもよく似合ってる」なんて言うものだから、慣れてるはずなのに赤面してしまった。


「ありがとうございます、ウィルもとても素敵です」

「そう?なら良かった、今日は学園の行事と言ってもやっとマリーをエスコート出来るから嬉しいよ」

「私も嬉しいです、このドレスもとても気に入ってますし、ただ少し気になった事があるんですが」

「ん?何か間違ってた?」

「いえ、その逆でドレスがぴったり過ぎて驚きました、どこで私のサイズを知ったんですか?」

「え?見れば大体分かるし、マリーは普段から触ってるから誤差なく分かるよ」


ウィルが何を今更という感じでそんな事を言うので、私は一瞬固まってしまった。


「…それはつまり少しでも体型が崩れたらウィルにバレるという事ですか?」

「ん~まぁそういう言い方も出来るかな?」

「そうですか…」


そう言って私が黙っていると、ウィルが「俺はマリーならどんな容姿であっても愛おしいと思うんだけど、俺が分かるの嫌だった?」と聞かれたので、私は首を横に振った。


「体型維持へのいい緊張感を持てるようになりました」

「マリーは十分綺麗なのにどうしてそんなに頑張るかなぁ」

「そんなのウィルと私の為に決まってるじゃないですか」

「俺の為?」

「私がウィルに釣合うと周囲も認めるレベルで綺麗になれば、ウィルに声をかける方が減るでしょう」

「それならもう達成してるね」

「分かりませんよ、私の目標はウィルに近寄ろうとするご令嬢をゼロにする事ですから」


自分でも無茶な目標だと思いつつウィルを見ると、私がいても寄ってくる令嬢に心当たりでもあるのか目を逸らした。


「あら、随分情熱的な方がいらっしゃるんですね」

「何人かね、婚約者がいるって説明してるんだけどマリーの事知らないみたいで」

「私学園では結構目立っている方だと思っていたのですが、まだまだですね」

「いや、むこうの頭が悪いだけだよ、公爵家のご令嬢を知らないとか貴族としてどうかしてる」

「ウィルったらカイン様みたいな事を言うんですね」

「どちらかと言うとロナルド様の影響の方が強いよ」

「お父様ですか?」

「うん、最近はロナルド様に付いて仕事する事も多いからね」


お父様に関しては職場でどんな感じなのか知らないので聞いてみたかったのだが、他の生徒達の姿も見え始めたので「その話はまた今度にしよう」とウィルは言うと私をエスコートして会場へと入った。


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