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91話 準備期間


あっという間に学園祭も終わり、12月にある学園のダンスパーティーの準備をする時期になった。

このダンスパーティーは私にとってある意味因縁の行事なのだが、1年生と2年生は参加出来ないので私は今年が初参加になる。

この学園ダンスパーティーは来年デビュタントを迎える4年生が主役であり、夜会の予行練習のようなものとして行われる、そしてこの行事こそ私がゲームで婚約破棄されるイベントなのだが、時期としては来年だし、私はウィルのルートだから何事もなく終わると思うんだけど、少し緊張していた。

まだ準備段階なのに今から緊張しててどうするんだと思った私がため息を吐くと、私の隣で一緒に作業をしていたアリスに「大丈夫?」と心配されてしまった。


「あ、大丈夫よ、問題ないわ」

「このイベントはマリーに気にするなって方が無理よね」

「そうね、でも時期的には来年だし、あまり気にしないようにするわ」

「気休めかもしれないけど、今回のはカインが主催だから何もないと思うわよ」

「それは確かに大丈夫な気がしてきたわ」


私がそう言って笑うと、アリスが「そういえばマリーは当日どんなドレスを着るの?」と聞いてきたので、私はウィルがプレゼントしてくれるらしいからまだ知らないと答えた。


「え、マリーそれ大丈夫?」

「どういう意味?」

「マリーは今の夜会用ドレスの流行りは知ってるわよね」


アリスがそう聞いてきたので、私は勿論と答えた。

まだ夜会に参加は出来ないが、流行りのドレスの話しはクリス達ともよくするし、いつかは着るものなので関心もあるからちゃんと調べている。

確か今の流行は胸元が大きく開いたデザインで、谷間をあえて見せてるようなデザインが多かったはずだ。


「それがどうかしたの?」

「マリーなら問題なく着れちゃいそうだから、ウィリアム様が流行りのドレスをオーダーしてないか気になったのよ」

「えっ、確かに着れはするだろうけど、私まだデビュタントしてないから流行りの夜会ドレスは着れないわよ、ウィルだってその位は知って…知ってるのかな?」

「ほら、だから心配してるのよ、別に着れるなら着てもいいし、着るななんて規則はないから、令嬢だけの暗黙のルールであるデビュタント前は露出を控えるべきっていうの、もし知らなかったらちょっと目立つわよ」

「うぅ、流石にそんな目立ち方は勘弁して欲しいわ」


そんな話をアリスとしたので、私は帰りにウィルにドレスについて聞いてみた。

するとウィルは「どうしたの急に、ちゃんと用意してるよ?」と不思議そうに言ったので、私が暗黙のルールがある事をウィルに説明すると「へぇ、そんなのがあるんだね」と少し驚いたが問題ないと言った。


「心配しなくてもハイネックのデザインだから安心していいよ」

「そうなんですね、でも何でそのデザインに?」

「俺も流行りは知ってるけど、あれをマリーが着ると思うとちょっとね」

「あのデザイン嫌いですか?」

「いや、マリーなら似合うと思うよ、俺が自制出来る自信がないだけ」

「そ、そうですか」


ウィルは、以前私が夜に訪ねてきた彼を部屋に入れ寝落ちてからというもの、私を抱きたいけれど我慢しているというのを隠さず言うようになった。

あの時は流石のウィルも思う所があったらしく、真顔で叱られたので本当に申し訳なかったと思うし、それからというものキスする時に舌が入ってきたり、首とか耳とか舐められたり、胸やら脚やら触られるので、私がウィルの中の何かを吹っ切らせてしまった事は間違いないだろう。

でもおかげで私もウィルを煽り過ぎるとどうなるか分かったので、ちゃんと気を付けるようになったのだが、ウィルにたまに「俺の事誘ってるの?」と聞かれるのでまだ注意が足りてないらしい。


もう少しで寮に着くという所で、ウィルが足を止めて「ドレスの用意はしてるけど、マリーは本当に大丈夫なの?」と聞かれたので「気にしてないわけではないですが、シナリオでは来年ですし私の婚約者はウィルですから」と答えた。


「マリーが大丈夫なら俺は構わないけど、マークには気を付けてね」

「マーク様ですか?話した事もないですけど…」

「うん、そうなんだけど例の男爵令嬢がマークを使って何かする可能性はあるから」

「…ん?私彼女から狙われてるんですか?」

「そういう訳ではないんだけど、念の為かな」

「分かりました」


ウィルからそんな事を言われた数日後、私が第2図書館で本を探していると、珍しく人が入ってきたので誰だろうと思い確認すると、マーク様と例の男爵令嬢だったので思わず隠れてしまった。

いったい何をしに来たのだろうと思っていたら、マーク様が「この第2図書館なら専門書が多いし古代の遺物についての本もあると思うよ」と言ったので、パトリシア男爵令嬢が本を探しに来たのだと分かった。

私は見つからないように移動しつつ会話を聞いていると「ねぇマーク、魔王の遺物についての本はどこかしらぁ」と男爵令嬢が言ったので、えらく物騒な物を探してるなと思っていると「魔王関係は奥の本棚だったよ」とマーク様が近づいてきた。

私は見つかると面倒だと思い移動しようとした瞬間、誰かに口を塞がれ転移させられた。


転移先が学部棟のヴィンス先生の部屋だったのと、私を見た先生が「アルヴィン!貴方今度は何やってるんですか!」と言ったので、私を拉致した犯人はすぐ分かった。

アルヴィン様は私から手を放すと「言っとくけど俺は悪くないからな!」と言ったので、先生がこちらに近付きながら「マリアンヌさん本当ですか?」と確認してきた。


「あ、はい、まぁ、図書館でマーク様とパトリシア男爵令嬢と鉢合わせになりそうなとこでしたから」

「そういう事ですか、ですがアルヴィン、ご令嬢の口を塞いで拉致してくるのはどうかと思いますよ」

「どうやってもマリアンヌが驚いて声を出す気しかしなかったんだよ、方法が多少強引だったのは認める」


ヴィンス先生が注意したので、アルヴィン様は珍しく「マリアンヌ、驚かせて悪かったな」と謝ってきたので、正直こちらの方が驚いた。


「いえ、驚きましたけど、あの2人が本を見つけるまでかくれんぼするよりは良かったと思いますので」

「マリアンヌさんが居たのは第2図書館ですよね?何を探してましたか?」

「あ、古代遺物です、特に魔王の遺物について載った本を探してたみたいですけど」

「そうですか、なら見つからないでしょうね」

「どうしてですか?」

「私が持っていますから」


先生はそう言うと机の上に積まれていた本から3冊を選んで持ってきた。


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