表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/106

8話 お茶会


波乱の報告会から2日後、約束通り子供6人でのお茶会が王城で開かれた。


皆ひと通り自己紹介をした後、カイン殿下がホスト役を務め和やかに始まった。


「キャサリン嬢、今日は急な呼び出しにも関わらず来てくれてありがとう」

「いえそんな、アリス姉様と久しぶりに会えましたし、アルベール殿下ともまたお会い出来て嬉しいです、それにマリアンヌ様とお会いできるのも楽しみにしてましたから」

「私ですか?」

「はい、私公爵家というのもあってなかなかお友達が出来ないから、良ければお友達になって欲しくて」

「私で良ければ喜んで」


お母様曰く狸なリーベル公爵の、ご令嬢であるキャサリン様は黒髪に金色の瞳をしていて、噂の公爵の印象からは大分かけ離れた素直で可愛らしい、ゆるふわ系の女の子だった。


「キャシー良かったわね、マリアンヌ様、私とも良ければ仲良くして下さいね」

「はいアリス様、私こそよろしくお願いしますわ」


こちらも初対面のアリス・レイグラーフ公爵令嬢はラズベリー色の髪にアメジストの様な瞳で、何か既に母性と女子力が高そうなお方だった、ちなみにカイン殿下とは同い年だそうだ。


それからしばらく皆で楽しくおしゃべりをしていると、気が抜けてきたのかアルベール殿下の王子仕様の外面から俺様気質な素が見え隠れしだした。

するとキャサリン様が「何だか今日のアルベール殿下は、以前お会いした時と違いますね」と無邪気な笑顔で指摘した、この瞬間キャサリン様以外には微妙な空気が流れたのだが、当の本人はニコニコしている。


「え、あ~…嫌だったか?」

「いえ、今日のアルベール殿下の方が気を許してもらえてるみたいで嬉しいです」

「っ…そうか」


うん、キャサリン様天使かな?

チラッとアルベール殿下を見ると、まんざらでもない顔で微笑んでいる。


「実は今日、あちらにある庭園にも入っていい許可を貰ってるんだ、アル、キャサリン嬢と行ってきてはどうだい?」

「そうだな、キャサリン一緒に行こう、俺が案内してやるよ」

「はい、ありがとうございます!」


そうしてアルベール殿下とキャサリン様は仲良く庭園の方へ歩いて行き、残った私達4人は安堵のため息をついた。


「どうなるかと思ったけど、あの感じなら上手くいきそうだね」

「そうですわね、カイン様」

「ところでマリアンヌ嬢はこれで良かったのかい?」

「え?何がでしょうか」

「君一応アルの婚約者候補だったろう?」

「あぁ、そういえばカイン殿下はあの時まだいらっしゃいませんでしたわね、私ウィリアム様と婚約致しますの」

「へぇ、そうな「えええぇぇ!?」」


殿下の声にワンテンポ遅れて、椅子を倒して立ち上がるという淑女にあるまじき驚き方をしたアリス様の声が被った。

私もウィル様もカイン殿下も唖然として、アリス様の次の言動に注目したが、彼女は我に返ると扇子で口元を隠し「取り乱してしまいましたわ、ごめん遊ばせ」と言い座りなおして、黙ってしまった。


「それで、君たちの正式な婚約はいつなんだい?」


カイン殿下は先程のアリス様の言動をスルーする事に決めたらしい。


「来週父と共にガルディアス公爵邸に行きまして、正式な挨拶をして決まる予定です」

「そうなのですね、私知りませんでした」

「うん、マリーには今夜あたりロナルド様かアリアンナ様から話があると思うよ」

「それなら公表は私たちと同じ時期になるかな、この件が上手くまとまりそうで良かったよ」


そんな今後について話をしているとアルベール殿下とキャサリン様が庭園から帰ってきた。

よく見るとキャサリン様が少し赤い顔をしてるので、アルベール殿下は婚約者をキャサリン様にする事に決めたのだろう、心配事があるとすれば私の代わりにキャサリン様が断罪されないかだけれど、今出来る事は何もないので時期が来たら行動しよう、流石に身代わりにして見て見ぬふりは出来ないからね。


「ではウィル、マリアンヌ嬢、アルも決めたみたいだし、私達は陛下に会いに行ってくるよ」

「はい殿下、本日はありがとうございました」

「アリス様やキャサリン様と会えて良かったですわ、ありがとうございました」


こうしてカイン殿下とアリス様、アルベール殿下とキャサリン様は陛下に謁見する為席を後にした。

去り際にアリス様が「今度マリアンヌ様宛にお手紙を送りますわね」と言って去っていった、何だろう?


「じゃあマリー、俺たちも帰ろうか、家まで送るよ」

「はい、ウィル様」


こうして私の破滅回避の為の第一歩を何とか踏み出せた、かな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ