79話 隣国の王女1
私も2年生になり、明日の入学式の準備と打ち合わせの為、生徒会役員は生徒会室に集まっていた。
私はカイン様が明日の段取りを話しているのを聞きながら、攻略対象のノア・ティルステアの入学は来年だし、今年の新入生で気になるとしたら、リリの異母妹であるジュリア・マールデン侯爵令嬢くらいだろうかと思っていたら、カイン様が隣国の第3王女も入学してくると言ったので驚いた。
話しを聞いていたアルベール殿下が「ユグナーティス王国の第3王女ならユフィか」と言った。
「うん、ユーフェミア・ユグナーティス第3王女だよ、私とアルは学園に入る前に王族同士会う事も多かったから知ってるし、アリスとマリアンヌは寮で同じ階層だと思うからよろしくね」
「カイン、ユーフェミア様ってどんな方?」
「見た目はシルバーブロンドに青い瞳だったけど、最後に会ったのがもう7年も前だからね、性格がどんなになってるかはちょっと分からないな」
「兄上、そもそもユフィはなんだってこっちの学園に?」
「さぁ?私も本人のたっての希望としか聞いてないからね、まぁそういう訳だから、皆ユーフェミアの事は多少気にしておいてくれると助かる」
そんな感じで打ち合わせが終わり、寮に帰った後、侍女のマーサに同じフロアにユグナーティスの王女様が居る事を話すと、私が留守の間にユーフェミア様の侍女が挨拶に来たそうだ。
「ユーフェミア様ご自身はいなかったのね?」
「はい、侍女の方だけでした」
「そう、何て言ってた?」
「侍女の方の話では、王女殿下はアルベール殿下に求婚しに来たそうです」
「…はい?マーサ今なんて?」
「アルベール殿下に求婚しに来たそうです」
「そ、そうなの、随分情熱的な方ね」
「アルベール殿下には婚約者がいらっしゃいましたので、諦めるつもりだったそうですが、婚約解消になりましたので」
「それでこっちの学園に来たと…」
「はい」
「凄いわね」
衝撃の留学理由に唖然としてしまったが、そのアクティブさにどことなく親近感がわいた。
翌日の入学式の日はかなり早めに寮を出て、ウィルと一緒に玄関ホールへ向かった。
ウィルに「あの日からもう1年なんだね」と言われたので、私は「色々あり過ぎた1年でした」と返した。
「確かに、マリーのいる学園生活は退屈しないね」
「私はもう少し平穏な学園生活が送りたいです」
「そうは言ってもまた何か起こりそうだけどね」
「あっ、そういえばユーフェミア様はアルベール殿下に求婚しに来たそうですよ」
「えぇ!?」
「昨日私がいない間に侍女の方が来て、そう話したそうです」
「へぇ、じゃあ今日アルと会ったりしたら何かあるかもね」
ウィルのその言葉を聞いて、私はなぜかお母様の事を思い出した。
確かお母様はティルステアからこちらに留学して早々、お父様に一目惚れし、その場で告白したと言っていたような気がする…まさか、ユーフェミア様も似たような事をしないだろうかと少し不安になった。
それから玄関ホールにやって来た新入生を席まで案内していると、登校してきたリリと会った。
リリは私に気付くと近寄ってきて「あれが異母妹のジュリアよ」と教えてくれた。
ジュリアは亜麻色の髪にリリと同じ浅葱色の瞳をしており、男性に媚びるような仕草をする娘だった、しかも無謀な事に、玄関ホールにいたカイン様に声をかけ、席まで連れて行ってもらおうとしていたが、カイン様はそれをスルーして、別の生徒を捕まえ案内させていた。
ジュリアをかわしたカイン様は、こちらに来ると「リリアン嬢、あれが例の妹君で間違いないかな?」とリリに尋ね、リリは「えぇ、間違いありませんわ」と答えた。
「確かに彼女の方がディーンとお似合いだね」
「私もそう思いますわ」
「またニコラスの方にも話しておくね」
「はい殿下、ありがとうございます」
そんな話をしていると、また新入生がカイン様に話しかけたのだが、その新入生を見た瞬間カイン様が珍しく固まった。
「…えーっと、もしかして君、ユーフェミア?」
「はい、お久しぶりですカイン様」
「うん、久しぶりだね、一瞬誰か分からなかったよ」
「あ、そうですよね、私以前より大分太ってしまったので…」
そんなご本人の申告通り、ユーフェミア王女殿下は横に成長してしまっている体型をしていた、しかしそこを除けば、肌は綺麗だし顔も可愛いので、痩せればかなりの美少女になるだろうと思った。
カイン様は彼女の太ったという発言には触れず、私とリリをユーフェミア様に紹介すると、ユーフェミア様は私達を見て「どうすればそんな体型になれますか!?」と聞いてきた。
「あー…えっと、ユーフェミア殿下」と私が言うと「ユフィでいいわ」と返ってきたので「ユフィ様は痩せる気があると受け取ったのでよろしいでしょうか?」と聞きなおした。
「もちろん、そもそも私失恋した事を食べる事で紛らわせていたせいでこうなってしまったので、出来れば痩せたいのですが、自国ですと周りが私に甘くて全然痩せないので留学したんです」
「あら?アルベール殿下に求婚しに来たのでは?」
「んなっ!?なぜそれを…!」
「ユフィ様の侍女がそう話していたと聞きました」
「ライラのせいなのね…まぁ、それも目的の1つです」
話しを聞いていたカイン様が「へぇ、そうだったんだ」と言うと、ユーフェミア様は「カイン様、私アル様がまた別の女性を選ばないよう、今日会えたら告白しようと思ってますの」と言い出した。
私は、え?ユフィ様メンタル強すぎじゃない?と思ったが、黙ってカイン様が何と言うか見守った。
「あぁ、別に構わないよ」
「本当ですか!」
「うん、別に今アルに婚約話は無いし、立候補したいなら好きにすればいいと思うけど、ただ…」
「今の見た目だと振られると仰りたいんでしょう」
「ごめんね」
「構いませんわ!私が痩せるまで待ってたら、また別の誰かに取られるかもしれないので、痩せるまでの牽制ですから」
「ユフィ様強っ!」
「リリ…」
「ごめん思わず…でもそういう事でしたら、私ユフィ様のダイエット協力しますわよ、マリーも協力するわよね」
「えぇ、何が出来るか分からないけど」
そうして私とリリはユフィ様を手伝う事を約束し、後でクリスも巻き込んだ。




