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7話 母は強し2


部屋にいる全員が自分に注目している事を確認して、お母様は口を開いた。


「まず陛下、リーベル公爵の要望を簡単に聞くのをおやめなさい、どうせ陛下の事ですから、断った後に前公爵のあの古狸に色々言われるのが面倒でたいした抵抗もしていないのでしょう?」

「いやしかし、第1王妃であるヘレナの実家でもあるのだから聞かぬわけにもいかんだろう」

「私何も蔑ろにしろとは申してませんわ、きちんと精査し古狸に粘られても断る事をなさいませ、その場で簡単に返事をするから幼い殿下達が何とかしようとしてこんな事になるのです、よろしいですね」

「…わかった」

「次にあなた、マリーは誑かされてませんし、ウィリアム君は私の審査の結果、合格ですので婚約させます、よろしいですね」

「良くないよ」

「あなたったら、何がいけませんの?」

「ウィリアム君は確か三男だろう?バーナード、ウィリアム君が辺境伯位を継ぐ予定は?」

「無いかな」

「なら彼は「だから貰ってくれて構わないぞ」…は?」


お父様が何か言おうとしたのを、バーナード様が貰ってくれ発言で遮った為、お父様が固まった。


「あら、それは良いわね、ウィリアム君はうちに婿養子でも大丈夫?」

「あ、はい、俺はマリーと結婚させて頂けるなら何でも」

「それならうちの後継者問題も解決しますし、マリーもずっと家に居ますわよあなた」

「…はぁ、分かった認めよう」


お父様が折れて私とウィル様の婚約がほぼ内定した、嬉しくてウィル様を見ると彼も私を見て微笑んでくれた、推しの笑顔、プライスレス。

そしてお母様が「では最後に」と言ったところでバーナード様が手で制した。


「ちょっと待ってくれ、カイン殿下がこっちに来てる」

「カインが?今日は会う予定など無かったはずだが」

「カイン殿下が先触れなしに来られるなんて、珍しいですね」


なぜバーナード様は部屋に近づいてくる人が誰か分かるのだろうと疑問に思ったけれど、陛下もお父様も当たり前のようにされてるし、私以外誰も驚いていないので、とりあえずそういう人なのだろうと納得したら扉がノックされる音がした。

陛下が入室許可を出し、入ってきた人物は本当に第1王子のカイン殿下だった。

王妃様譲りの黒髪に黄昏の様な瞳のこの方ももちろん攻略対象である、ゲームでの登場は2章からだから、私の知ってる姿はもっと成長しているけれど面影はしっかりある、まさかこんなに早く会うとは思わなかった。


「陛下、皆さんも、お話中にお邪魔してしまいすいません」

「構わん、お前の事だ何か理由があるのだろう、何用だ?」

「えぇ、アルの婚約者の件でお話されてると聞いたので、私も参加しに」

「誰から聞いた」

「まぁ、色々ですよ」


そうして陛下に見詰められても、始終王子スマイルを崩さないカイン殿下に陛下が追及を諦めて、陛下と対面になる1人掛けソファに座るように言った。

座ろうとしたカイン殿下が私に気付いたので、お互い挨拶をして席に着いた。


「それで陛下、アルの婚約者は決まりそうですか?」

「おそらくリーベル公爵の娘になるだろうな」


陛下の出した答えはお母様が予想していた通りだったのだが、これに反対したのがアルベール殿下である。


「父上、俺は絶対婚約なんてしないからな!」

「あれ、そうなの?アルはリーベル公爵令嬢の何が不満なのかな?」

「え?」

「ん?」


まさかのカイン殿下に反対されて困惑するアルベール殿下、見かねたウィル様がカイン殿下の為に入れ替わりをしていた話をするのだが、それを聞いたカイン殿下が困った顔をした。


「あー、それじゃあアルはまだリーベル公爵令嬢に会ってないんだね」

「そうです」

「そうかぁ、そうなんだ…」

「カイン殿下、何かご希望があるのでしたら、ここにおります大人が何とか致しますので仰って下さいませ」

「ガルディアス公爵夫人…」

「ですよね、陛下」

「うっ、まぁ、そうだな、話してみろ」


陛下はお母様の聖女の微笑みの圧で押し切られた感があったが、カイン殿下は話し出した。


「実は、婚約したいご令嬢がおりまして」

「そうなのか、それで相手はどこの令嬢だ?」

「レイグラーフ公爵令嬢のアリスです」

「ふむ、レイグラーフか」


私はまだ大人の権力事情に詳しくないので、こっそり隣のお母様に伺うと、レイグラーフ公爵は中立の中でもかなり力のある家らしく、そこのご令嬢がカイン殿下と婚約すれば、いい感じにリーベル公爵への牽制になるらしい。

ただ、それで黙ってるリーベル公爵ではないので、アルベール殿下が、リーベル公爵令嬢と婚約してくれれば上手くバランスがとれるらしい。


「私としてはアルとリーベル公爵令嬢はそんなに相性が悪くないんじゃないかと思っていたので、顔合わせの後ならこの話をしても大丈夫かと思ったのですが、まさか会っていなかっただなんて」

「ごめん、兄様」

「いや、いいよ、私を想っての事だったのだろう?」

「でしたら明後日にでも皆で会えばよろしいんじゃなくて?」

「ア、アリー、ちなみに皆っていうのは誰だい?」


お父様が青い顔をしてお母様に聞くと、お母様は笑顔でアルベール殿下とリーベル公爵令嬢、ついでに2人をくっつけたいカイン殿下とレイグラーフ公爵令嬢のアリス様、そして何故かウィル様と私まで参加する事になっていた。

普通王城で王子とのお茶会となると、予定の調整から警備の問題等色々準備が必要な為、最低でも1週間かかる所を明後日にしろという無茶振り、しかしそこにカイン殿下が乗っかった。


「明後日なら私はアリスと会う予定を入れてるから構わないよ」

「ほらあなた、あと陛下も、大人なんですからこのくらい何とかして下さいませ」

「別に呼び出すのは構わんが、期待させといて駄目だった時のリーベル公爵はどうするつもりだ?」

「あら陛下、それこそ大人の事情なんですから、私達で何とかしますのよ」


そうして子供6人でのお茶会は決定した。


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