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58話 実技大会2


大会はトーナメント方式で行うのだけれど、今年は特別枠が2つある、1つはウィルのお兄様であるカルロス・クレメント様が決勝シードである事、これはいつもの事らしいので特に問題はない、もう1つがこれから始まる第1試合のウィルとセス様の勝者が準決勝にいく事だ。


試合は高さ1メートルくらいで、50メートル四方のフェンスのない石造のリングの上で行われ、観客席の前には魔道具で結界がはられるので、間違って魔法や武器が飛んでいっても大丈夫なようになっている。

武器は刃を潰した物を使用、魔法は制限なし、毒物は駄目、勝敗は相手の降参か戦闘不能、もしくはリングの外に出せば勝ちになるルールになっている。


リング上にウィルとセス様が姿を現すと、闘技場は歓声に包まれた。

意外にも観客席の最前列はご令嬢が埋め尽くしており、観客席下のスペースにある記録席に居る私達には「セス様~!」「ウィリアム様~!」と言う黄色い声が聞こえている。

するとウィルが私に気付いて手を振ったのだが、上から聞こえる「私に手を振って下さったわ」「違うわ、私によ!」と言う声に苦笑いしつつ振り返しておいた。


「馬鹿ね、ウィリアム様がマリー以外に手を振るわけないでしょうに」

「アリスったら、でも、ウィルって認識阻害魔法を使ってたのに人気があるのね」

「それね、最近増えたのよ」

「え?何で?」

「マリーが入学してきてから、一緒に居る時は使ってないみたいだから、食堂で目撃されたりして人気が出たみたい」

「こっちの世界の人はウィルの良さが分かるのね…複雑だわ」


そんな話をしていたら、ニコラス様の声が聞こえてきた。


「さて皆さーん、今年も実技大会の時期がやってきましたよ~!司会は前年に引き続き俺、ニコラスが担当しま~す!今年はカルロスさん以外にも特別枠を用意したんだけど、文句ある奴は第1試合を見てからよろしくね!それと解説は来賓で来てたけど魔法学で皆さんご存じ、魔法師団長のエリック先生にお願いしました~、先生よろしくお願いしまーす!」

「はい、よろしく」

「それではそろそろ始めましょう、学園長お願いします!」


ニコラス様がマイクのような魔道具を使いそう言うと、ライアン学園長も同じ魔道具を手にしていた。


「それでは第1試合、両者構え…始め!」


ライアン学園長のその合図で、試合は開始された。

開始早々セス様の姿が消え、気付けばウィルとの間合いを詰めて切りかかっていたのだが、ウィルは難なく防いでいた。


「開始早々先手を狙ったセスでしたが、軽く防がれてしまいましたね~」

「まぁお互いまだ様子見だろう」

「あれで様子見ですか~、先生これはもう生徒のレベルじゃなくないですか?」

「この2人は元々実技免除だったからな、このくらいは当然だ」

「あ~っと、剣術だけでは攻めきれないと判断したのか、セスが魔法も使い始めました」

「いきなり上級魔法を使うのか、普通の生徒なら危険なんだが…」

「ウィル相手ではただの牽制にしかならないようです、先生、先程ウィルが上級魔法を普通に剣で切り裂いてましたけど、あれどういう仕組みですか~?」

「ウィリアムの場合は剣の周りに魔法を展開し、振ったタイミングで発動してるんだが、多数の魔法の同時制御と、剣の腕も必要な芸当だから普通は出来ん、あいつの兄のカルロスも別の方法で魔法を切ってるが、兄弟そろって魔法師の天敵だな」

「クレメント兄弟がエリック先生に天敵認定されたところで、ウィルが攻勢に回り始めました、試合が動きそうです」


ニコラス様とエリック先生が実況と解説をしてくれるので、何となく理解出来ているが、私自身は戦闘中2人が何をしているのか、早すぎてほとんど見えていなかった。

隣のアリスに確認すると、アリスも同じようで「魔法を使った時くらいしか分からないわ」と言っていた。


ウィルは以前から自他共に認めるチート発言があったので、強いんだろうなとは思っていたけど、正直ここまでとは思っておらず、このウィルでも勝てないバーナード様やヴィンス先生ってヤバいな、なんて思っているとリング上で爆発が起こったので驚いた。


「おーっとウィルの攻撃に押されていたセスが距離を取った途端、セスの足元が爆発しました~!」

「あれはウィリアムがあの場所に魔法陣を設置してたみたいだな」

「先生、魔法陣って設置出来るんですか~?」

「自分の魔力が届く範囲内なら可能だ、ただ設置している間は魔力を供給し続けないと消えるし、魔力視が出来る奴が見れば丸見えだから実戦向きでは無いんだが」

「でもウィル使ってますよ~?」

「あいつは例外だ、それと決着したみたいだな」


エリック先生がそう言うと、観客全員がリング上に注目し、爆発の白い煙が晴れるとそこには、立っているウィルとその足元に倒れたセス様が居た。

するとニコラス様が「バージル確認おねがーい」と言い、その後リング上にバージル様が現れて「気絶してます」と言った。


「オッケー!それでは第1試合ウィリアム・クレメントとセス・トレヴァーノの勝負はセスの戦闘不能でウィルの勝利となりました~!」


ニコラス様がそう言うと歓声が沸き起こり、リング上には倒れたセス様を運ぼうと治療班の人が近寄ったのだが、ウィルが軽い荷物かのようにセス様を肩に担ぐと、治療班の人に何かを言って、そのまま選手出入口の方に消えてしまった。


「ウィルどうしたのかしら?」

「ほら、治療班ってエレナ様が居るでしょ、セスは一応攻略対象だから」

「あ~なるほど、念の為接触しないようにしたのね」


その後の第2試合からは私の目でも追えるものだったので、普通に観戦しながら記録を取っていき、お昼が近くなった頃、アリスに聞いてみたかった事を思い出したので、聞いてみた。


「ねぇアリス」

「何?」

「赤面しない方法教えてくれない?」

「…どうしたの急に」

「ほら、私ウィル相手だとすぐ赤くなるけど、それをちょっと何とかしたくて」

「ん~、でもマリーの場合って、ウィリアム様もわざとマリーが赤くなるようにしてるとこあるから、難しくない?」

「うっ、ならせめて自分から何かする時に赤くならない方法ないかしら」

「マリー…貴女今の自分の容姿にもっと自信を持ちなさい!」

「はい!?」

「貴女なら赤かろうがそうじゃなかろうが大丈夫!むしろ多少赤いくらいの方が絶対ウィリアム様クると思うわ!」

「そ、そうかしら?」

「そうよ!だから赤いとか気にせず強気でいくのよ、それでも気になるならウィリアム様がどういう反応するかを気にしなさい」


アリスの力説に納得させられた私は「分かったわ、ありがとうアリス」と言った後に「そういえばアリスとカイン様は最近どうなの?」と話を振ったら、アリスの顔がいつもの私みたいに赤くなったので驚いた。


「アリス貴女…」

「まって、まだ聞かないで、いつか話すから」

「分かった」

「さっきのは自分にも言い聞かせてたのよ、だからマリーお互い頑張りましょう」

「そうね、頑張りましょう」


そんな話をしていたらお昼休みの時間になっていた。


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