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54話 自ら詰める距離


エレナ様と初めて会った日の翌日、会った時の事を登校中にウィルに話した。


「まさか女子寮でキャサリン様を使って接触してくるなんてね、マリーは大丈夫?」

「えぇ、私は大丈夫ですけど…」

「どうかした?」

「あ、その、アルベール殿下とキャシーがどうなるのかと思って」

「なるようにしかならないよ、どうなったとしても本人達の問題だし」

「そうですよね」


私がそう言った後黙ると、急にウィルが「マリーは俺の事捨てないでね」と言い出した。

私は驚いて「えっ!?私そんな事しません!!」と言うと、ウィルは私にキスして「うん、知ってる」と言って嬉しそうに笑った。

その顔があまりにも素敵で好き過ぎて、息をするのを思わず忘れていた。


「…私そのうちウィルが好き過ぎて死にそうです」

「何その死因、俺困るんだけど」

「私も毎日好き過ぎて、困ってます」

「そうなの?俺は嬉しいけど」

「良いんですか?前にもう少し慣れた方がって言ってませんでしたっけ?」


私がそう言うと、ウィルが「あれは…」と言った後、目を逸らして言い淀んだので、暫く待っていると「言った方がいい?」と聞かれたので「はい、出来れば」と答えた。


「分かったじゃあ言うね、あれはマリーがキスする度に毎回赤くなるから、その先をする時大丈夫かなって思ったから言ったんだけど」

「その先…」

「うん」


ん゛んぅ、それはつまりアレですよね、キスの先って意味ですよね、分かります、流石にそこまで鈍くないし、私はまだまだ外見がお子様ですけどウィルは違うもんね、この歳の3歳差は大きいな…じゃなくて!!

まぁ確かに私の反応では心配にもなるだろう、手なんか出したら逃げそうだし、でも私ウィルだから赤くなるだけで、赤面は条件反射みたいなものだから逃げたりしないよって事は分かって欲しい、しかし意識すると顔が熱いなぁ、今度アリスにでも赤面しない方法聞いてみよう。

そんな事を色々考えた結果、ウィルに「私ウィルになら何をされても大丈夫ですから、赤面は気にしないで下さい」と言うと、ウィルは「マリー…そうじゃない」と言って両手で顔を覆ってしまった。


「あれ?私がその先を拒否するんじゃないかという話では?」

「いや、うん、そうなんだけど…ねぇ、マリーは俺を試してるの?」

「いいえ、そんなつもりはありませんが」

「だよね、まぁいいや、少しは気が紛れたでしょ」


ウィルがそんな事を言うので驚いたのだが、私がキャシーの事を気にしているのが分かったらしく「マリーのことだから、自分がシナリオから外れたせいで、キャサリン様がああなったんじゃないかって思ってるんでしょ」と言われてしまった。


「私そんなに分かりやすいですか?」

「そうだね」

「うぅ、すみません」

「いいよ、隠された方が心配だし」


ウィルはそう言うと、私の腰に手を回して距離を詰めてきた。


「ウィル?あの、近いですよ」

「ねぇマリー、今度から登下校中はこうやって歩く?」

「何でそうなるんですか!?」

「だってせっかく2人きりなのに、マリーは俺以外に意識が向いてるみたいだから」

「…それは申し訳なかったと思います」


「じゃあどうする?」とウィルが聞いてきたので、今回も決定権はこっちに持たせてくれるんだなぁ、とウィルの優しさを感じた。

いつもそうだけど、ウィルは私に何かさせたい時は最終決定権を私に持たせてくれる、嫌なお願いはされた事が無いし、恥ずかし過ぎて無理なやつは断ってもあっさり引いてくれる、あれは多分断ると分かってて聞いてるんだろう。

前に、私がなかなかお願いしてこないとウィルに言われた事があったけど、何も言わなくてもウィルが色々してくれるので、私がして欲しいと思う事は本当にない、だからといってウィルの優しさに甘えて、自分から何もしないのは好かれる努力が足りない気がする。

今回のも、いつもなら恥ずかしいと断るんだけど、ウィルは人目のあるなし関係なくいちゃつきたい派の人だから、本当なら四六時中いちゃつきたいのを、私が恥ずかしがるから遠慮してくれているのだろう、登下校なら人も少ないし、見られたって今更だ。


私が意を決して「ではお願いします」と言って、ウィルの腰に手を回したら、凄く驚いた顔をした後「え?いいの?」と聞かれた。


「ウィルが言い出したんですよ」

「うん、そうだけど、無理してない?」

「してません、それとも断った方が良かったですか?」

「それはない!それはないんだけど、ごめんちょっと今はこっち見ないで」


ウィルにはそう言われたけれど、ウィルの照れ顔なんてレア過ぎるので、食い入るように見てしまった。


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