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51話 王家の瞳


ある日の午後、歴史学の授業に、久しぶりに私とリリとパトリック様の3人がそろった為、ヴィンス先生が「今日は3人共いるので以前話した初代国王の頃の話をしましょうか」と言った。


「以前2代目国王は異世界人だと話しましたが、彼等をこちらに召喚したのは当時の大神官、今でいうとティルステア聖国の教皇にあたるような人物です」

「彼等という事は何人かいたのですか?」

「はい、リリアンさんの言う通り3人の異世界人がいました、男性2人と女性が1人、この中の男性1人が2代目国王となっています」


ヴィンス先生の話にパトリック様が「2代目国王陛下が異世界人だなんて、調べてみてもありませんでしたが」というと「記録として残っていない情報なので、知らなくて当然です」と先生は言った。

パトリック様が続けて「じゃあなぜ先生はそれを知っているのですか?」と問うと「王家に友人がいるんです、秘密ですよ」と先生は笑った。


「ちなみに、今の王家は異世界人の血筋ではありません、2代目に子供はいませんからね、今の王家は初代国王陛下とその子供であった3代目国王陛下の子孫です」

「先生、混乱してきました、今の王家は初代国王陛下の子孫なのに何故2代目国王陛下の瞳を受け継いでいるのですか?」

「リリアンさんが混乱するのも無理ないですね、それにもちゃんと理由があるんですよ」


ヴィンス先生はそう言うと、立体映像で1本の剣を映し出した。


「これが何かご存知ですか?」

「王家に伝わる聖剣ですか?王誕祭の式典で陛下が掲げるのを見た事があります」

「パトリック君正解です、蒼い剣身と切先に向かう程朱色がかっているのは王家の瞳とよく似ていますね、ではこの聖剣がどのようにして作られたかは知っていますか?」

「当時の大聖女様が贈ったものではないのですか?」

「はい、今はリリアンさんの言うように公表されています、しかし実際は違います」


ヴィンス先生はそう言うと立体映像で2人の女性を映し出した。

映し出された女性の1人は20代くらいの綺麗な銀髪と碧眼の女性で、もう1人も20代くらいで、黒髪黒眼で可愛い顔をしているが明らかに日本人だ。

私が先生に「この方達は誰ですか?」と質問すると「銀髪の方が当時の大聖女様、黒髪の方があの剣を作った異世界人ですよ」と答えてくれた。

先生の発言にリリが「異世界人という事は先程の召喚された3人の中の1人ですか?」と聞いた。


「そうです、彼女は異世界人だったからなのか、魔物や魔人によく効く武器を作るのが得意だったそうで、そんな彼女が後に2代目国王陛下となる彼の為に作った武器こそ、あの聖剣です」

「それならなぜ大聖女様が贈ったなんて事になっているのですか?」

「呪われているからですよ」


リリの質問に先生がそんな返事をするものだから、私達は何と言っていいか分からず黙ってしまった。

そんな私達を見たヴィンス先生は「では順を追って説明しますね」と言って話し出した。


「まず魔王軍との戦争中、こちらの大陸は劣勢に立たされると、大神官が異世界人を3人召喚しました。3人はいきなり召喚された世界で戦争への参加を余儀なくされ、男性2人は前線での戦闘、女性は武器の作成を強要されました。そんな異世界人達の力は凄まじく、あっという間に劣勢を跳ね返す功績をあげ、それぞれ褒美を要求する権利を貰うと、男性の1人は自分を次の王にしろと言った為王女との婚約を、もう1人の男性は、戦争後一切の関係を絶つ為に島を要求、女性は戦争終了後にすると保留にしました。」


この段階でも凄い話だけれど、ヴィンス先生の話はまだ続いた。


「そしてある時事件が起きます、大聖女様が魔王に攫われたのです。すぐに救出の為魔王城に向かいますが、魔王もその側近も今までの敵より強く、異世界人でも苦戦を強いられました。そんな状態が4年程続いたある日、女性の異世界人があの剣を部屋に残して消えます。剣は選ばれた人間しか持つことが出来ず、2代目国王となる異世界人が選ばれ、その時瞳が剣身と同じように変化しました」

「えっ、では王家のあの瞳は剣に選ばれている証なんですか?」

「そうですマリアンヌさん、何を基準に選んでいるのか知りませんが、王家の男子は基本あの瞳です、しかも気味が悪い事に王家は男児ばかり生まれます、そして王位を継がなかった王子の子供にあの瞳の子は生まれません」


パトリック様が「でも先生、それだとまだ聖剣の加護という可能性もあるのでは?」と言うと「では呪われている理由についてお話ししましょう」と言って話を続けた。


「今聖剣と呼ばれているあの剣を持って異世界人は魔王に挑み、勝利しました。大聖女様も救出し、その功績と王女との結婚で2代目国王となるのですが、何を思ったのか大聖女様に求婚します。大聖女様は拒んだのですが2代目国王は諦めず、2年後無理やり結婚した結果、大聖女様に殺され、国王を殺した大聖女様も、あの剣を持ち何者かに操られたような第1王子に殺され、その後王子は自分の妹である王妃も殺し、王妃が嫉妬で無理心中した事にして3代目国王になりました。その事に当時の精霊の寵愛者だった第2王子が気付き、剣を封印した為3代目は正気を取り戻したものの、瞳は既にあの色になっており、戦後の平和の為に全てを闇に葬った後、都合のいい歴史に書き換えました」


先生の話を聞いた私が「今も王家の瞳があの色なのは、まだ本物の剣が存在しているからですか?」と聞くと「そうですね、封印されているだけなので、今も王の血筋に取り憑いてます」と返ってきた。


「それもう聖剣じゃなくて魔剣ですね」

「国王じゃない異世界人の彼もそう言ってたそうですよ」

「そういえばその異世界人の方は戦争後どうしたんですか?」

「本当に島を貰って国を作り、最近までどことも交流してませんでした」

「最近まで…まさか」

「クレメント辺境伯は交流があるみたいですね」

「やっぱり…」


こうしてこの日の歴史学の授業は終わった。


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