45話 休日
今日は学園が休みの日なので何をしようか悩んでいると、部屋にアリスが訪ねてきたので中に入ってもらった。
「アリス、どうしたの?」
「マリーが入学してから色々あったでしょ、ほら、アルヴィン様とかサイモン様とか」
「あぁ、そうね」
「だから少し話がしたくて」
「私もアリスと話がしたかったし良いわよ」
私がそう言うと急に背後から「じゃあ場所を提供するから俺も混ぜてくれないか?」と声をかけられ、アリスと2人で声のした方を向くと、アルヴィン様が立っていた。
「アルヴィン様、ここ女子寮です」
「知ってる、だから場所を提供するって言ってるだろ、何ならお茶とランチも出すぞ」
「う~ん、アリスどうする?」
「私は構わないわよ」
「あ、そう?じゃあアルヴィン様、よろしくお願いします」
私の返事を聞いたアルヴィン様が指を鳴らすと、次の瞬間精霊の泉に立っていた。
「わっうそ!ここ精霊の泉!?」
「あ、そうかアリスは来るの初めてだったわね」
「ちょっとマリー、貴女私に話してない事がかなりあるでしょ!」
「とりあえず2人共座ったらどうだ?」
そうアルヴィン様に促され、席に着くとお茶も出してくれたので、それを飲みながら私はアリスにここ最近あった事を話した。
私の話を聞き終えたアリスは「はぁ~、今週だけでも凄い色々起きてたのね」と言った後「でもまさかアルヴィン様とこんなに早く会えるとは思ってませんでした」とアルヴィン様に話しかけた。
「あぁ、アリス達の前世では俺はもっと後に登場するらしいな、そういえばアリスも俺の事を前世とは別人だと思うか?」
「そうですね、凄く思います、見た目一緒なのに中身が違い過ぎて困惑中です」
「なら早く別人と割り切る事だな、俺が正真正銘のアルヴィンだ」
「くぅ、私アルヴィン様推しだったから複雑だわ」
「えっ!そうだったの?初めて聞いた」
「私も初めて言った、まぁ推しと言っても私はマリー程の情熱は無かったし、今はカインがいるからどうという事はないんだけどね」
アリスの前世の推しがアルヴィン様というのは驚きだが、確かにこれだけ中身が違うと複雑だろう、ちなみにゲームのアルヴィン様は、大人の色気だだ漏れの家事能力ゼロっぽいお兄様だ、決して今目の前に居る、フレンドリーで無邪気な少年のような癖して家事全般こなせるお兄さんではない。
そんな事を考えているとアルヴィン様がアリスに「カインといえばその指輪ちゃんと着けているんだな」と話しかけた。
その指輪とは、今アリスが右手にしている、以前アルヴィン様がカイン様に渡した精霊魔法が付与されたペアリングの事だろう。
「あ、これですか?カインから「叔父上から貰ったお守りだから絶対外さないでね」と言われてますし、ずっと着けてますけど、でもどうして私にも下さったんですか?」
「カインとアリスは今年から社交界デビューだろ?」
「そうですね」
「王子とその婚約者なんだから、強制参加の夜会も多い」
「はい」
「つまり暗殺と毒殺のチャンスがいっぱいあるという事だ」
「あ~…なるほど、とうとう私も狙われる側ですか」
「アリス、貴女あまり驚かないのね」
「マリーはカインがお城で毒盛られまくってたのは知ってる?」
「セス様から聞いたわ」
「そう、なら分かるでしょ、お城のは牽制や脅しの意味で本気で殺す気は無かったんでしょうけど、カインは王太子になる気でいるし、そうなると困る人達がそろそろ本気出してくるって事よ」
「はぁ、現実は物騒ね」
「そうね、権力争いですもの仕方ないわ」
「それが分かってるなら、絶対指輪を外すなよ、もし外させようとする奴がいたら疑え」
「分かりました、あの、アルヴィン様?」
「ん?」
「何故、私にもここまでして下さるのですか?正直私ってカインと違って替えがきくじゃないですか」
「はぁ!?アリスお前それ本気で言ってんのか?」
「え、あ、はい」
アリスの発言を聞いたアルヴィン様は「マジかよ…」と言いながら少し考えた後「アリスはカインに愛されてる自覚はあるんだよな?」とアリスに質問した。
「えぇ、まぁ、他の方よりは大事に思われてると思いますけど、いつもあんな感じなので」
「あー分かった、あいつの完璧さが裏目に出てるんだな、仕方ない、後でちゃんとカインに直接聞けよ」
「何をですか?」
「カインはアリスのいない国を守る気が微塵もないって事をだ、あいつはアリスがいるから王子がやれてるし、王太子になろうとしてる、間違ってお前が暗殺でもされてみろ、犯人ごとこの国潰すぞあいつ」
「いやいやアルヴィン様、カインですよ?そんな事するはず…」
「するんだよ、そのくらいカインにとってお前は重要なんだ、まぁ少しは理解したみたいだから、いつ惚れたとかどこが好きかとかは本人に聞けよ」
「…分かりました」
アルヴィン様が「まったくあいつも世話の焼ける…」と何やら文句を言っているなか、アリスは真っ赤になった顔を手で覆っていた。
「アリス大丈夫?」
「えぇ、まぁ、後でちゃんとカインと話してみるわ」
「カイン様ってそんなに分かり辛いの?」
「そうね、人目があると本心を出さない人だから」
「なるほど、カイン様に人目が無い時って、ほぼ無いわね」
「そういう事よ」
その後私達はアルヴィン様お手製のランチとデザートを頂き、私は相変わらず美味しいなぁと食べていたのだが、アリスはアルヴィン様にレシピを教えてくれと迫っていた。
前にセス様が、カイン様の食事当番をアリスとセス様がしていると言っていたので、料理好きとして気になるのかな、なんて思いながらその光景を眺めていた。
暫くしてレシピを教えてもらったアリスは、用があるからと帰り、私も借りていた本が読みたかったので寮に帰してもらった。




