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44話 聴取2


サイモン様が最後に言った言葉に私がまだ驚いていると、今まで黙っていたアルヴィン様が「あいつも親世代のいざこざに巻き込まれて可哀想にな」と発言した。

すると、どうやら発言した事でウィルにも姿が見えたらしく「えっアルヴィン様!?いつから居たんですか」と驚いていた。


「なんだ気付いてなかったのか、まだまだだな」

「アルヴィン様この間、私かヴィンス先生かカイン様しか分からないって言ってませんでした?ウィルが気付かないのは普通なのでは?」

「確かに言ったがバーナードさんは俺が見えなくても居るのは分かるからな、こいつもいけるかなって思ったんだけど」

「アルヴィン様は父と面識があるんですか?」

「あるよ、何ならお前の爺様が、バーナードさんとコルネリアの結婚条件に出した無茶振りの手伝いしたくらいだしな」

「叔父上、ちなみにその事を知っているのはどなたですか?」

「俺とバーナードさんと兄上だな」

「うん、この話やめようか」


何かを察したカイン様は話を打ち切り「代わりにさっきの話で、いつサイモンが思考誘導を受けたのかハッキリしたからその事について話そう」と言い出した。

その発言に「サイモンが思考誘導を受けたのはキャサリン様とぶつかった時だったみたいですね」と言ったのはウィルだ。


「それってつまり、サイモン様が言っていた印象の薄いキャシーの友達が、エレナ様だったって事ですか?」

「そうだよマリー、あの日生徒会役員はそれぞれ仕事があったから、アルも玄関ホールに居たんだけど、一緒にキャサリン様とエレナ様が居たのは俺もカイン様も見てたからね」

「そうだね、しかも認識阻害魔法を使って自分の印象を薄くしてるあたりに計画性を感じるね」

「確かに何かしら計画はしたんだろうが、思考誘導自体は実験だな」

「叔父上、なぜ実験だと?」

「思考誘導は基本一定なんだよ、かける時に思考の方向性と強さを決めるんだが、あいつは悪化してたって言ってただろ」

「徐々に強くしていったというのですか?」


カイン様のその問いにアルヴィン様は「そうだ、おそらく自分でかけるのは初めてで、強さと効果を見る為に廊下ですれ違ったり、昼休みに実は近くに居たとか、そんな感じで重ねがけしたんだろう」と言った。


「それだと思考誘導したい本命がいるという事ですか」

「あぁ、ただ思考誘導は自分より強い相手には効かないからお前らはまず大丈夫だぞ、俺やマリアンヌが付与したお守りも持ってるしな」

「アルヴィン様、私に思考誘導はかかるんですか?」

「加護持ちの思考誘導が上位の祝福持ちに効くわけないだろう、精霊が拒否するから安心しろ」

「そういうものですか」

「そういうものだ」


アルヴィン様が思考誘導について色々教えてくれていると、カイン様が「ちなみにエレナ嬢は叔父上と同じくらいの思考誘導の知識を持ってると思いますか?」と質問した。

それにアルヴィン様は「いや、知らないだろうな、そもそもティルステアは精霊魔法を神聖魔法と名付けて教えてるし」と答えたので、私が「なぜわざわざ違う名前を付けているのですか?」と聞くと「ん~、まぁお前らならいいか」と言って説明してくれた。


「ティルステアは信仰で成り立ってる国だから、上層部には分かりやすい目印が欲しかったんだよ、そこで選ばれたのが加護持ちが持つ金色の瞳って訳、おまけに加護持ちなら普通の人が使えない精霊魔法が使えるからな、特別視させるにはもってこいだろ、でもそこに俺やマリアンヌみたいなのが居ると特別感が薄れるから、精霊魔法という言葉を消し、神に選ばれたから使える神聖魔法として教え始めた、そんな事を数百年も続ければ、ティルステアでは神聖魔法こそが公然の事実だ」

「叔父上、ティルステアではそれが常識だとして、なぜ多少なりとも文献が残ってるわが国でも精霊魔法について知られていないのですか?」

「おやぁ、俺に会うまで精霊魔法なんて胡散臭いと思っていたお前がそれを言うか?」

「…すみませんでした」

「つまりそういう事だ、精霊の寵愛者なんて数百年に1人単位だし、祝福持ちも知らなきゃ見分けがつかないからな」

「祝福持ちも見分ける方法があったんですね」

「あるぞ、祝福持ちは近くで見ると瞳が金の粉を散らした様に見えるからな」

「あれがそうだったんですか」


私がアルヴィン様と話していると、ウィルが「アルヴィン様、加護持ちでしたら我が国にもたまに居ます、しかし思考誘導を使えるなんて聞いた事が無いのですが、理由があったりするのですか?」と質問した。


「単純に魔力が足りないんだろう、加護持ちは魔力を対価にしないと精霊魔法が使えないから、今回は異世界人だから出来た力業だな」

「ではエレナ様以外の加護持ちは思考誘導は使えないという事でいいですか?」

「いや、ティルステアの教皇と枢機卿の数人は使えるぞ、使えるからそこに居るとも言えるがな」

「何の為にですか?」

「信仰心を強くして、加護持ちの子供を差し出すよう仕向ける為に決まってるだろ」

「はぁ、叔父上と関わると他国の秘密も知り放題ですね」

「まぁ上手く使ってくれ」


カイン様は「分かりました」と言うと暫く黙った後、アルヴィン様に「アルの方はどうですか」と尋ねた。


「アルベールねぇ、今のままだとかかるかもな」

「そうですか」

「…え?カイン様、何もしないんですか?」

「マリアンヌ、私は君も餌にしているんだ、アルだって例外ではないよ、酷いと思うかい?」

「いいえ、カイン様がそれを選んだのなら、悪いようにはならないと思うので」

「ありがとう、じゃあマリアンヌも今日は帰って大丈夫だよ、ウィル送ってあげて」

「分かりました」


そうして私は帰るよう促されたので、ウィルに寮まで送ってもらった。


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