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30話 生徒会


今日の放課後は生徒会室に来るようカイン様に言われていたので向かっていると、廊下でアルベール殿下と出くわした。


「マリアンヌ嬢じゃないか、久しぶりだな」

「はい殿下、お久しぶりでございます」

「そういえば君は今年入学だったな、今からどこへ?」

「今日から生徒会のお手伝いをする事となりましたので、生徒会室に」

「なんだ君もか、私もそうだから一緒に行こう」


そうしてアルベール殿下と一緒に生徒会室に向かう事になったのだが、ふと気になった事を聞いてみた。


「キャシーやバージル様はご一緒ではないのですか?」

「キャシーは生徒会には入ってないよ、バージルは役員だけど、今年入った妹が心配だから様子を見てから来ると言っていた」

「あぁ、クリスティーナ様ですね…」

「マリアンヌ嬢、君まさか」

「同じクラスですわ」

「うん、まぁ、クラスは爵位順だからな、仕方ない、もし何かあれば私やバージルに相談してくれて構わない」

「お気遣いありがとうございます」


そんな話をしていたら生徒会室に着いたので中に入ると、生徒会室はここに昔住んでいた王子殿下の執務室をそのまま利用しているらしく、広くて使いやすそうな部屋だった。

一緒にお昼を食べているメンバーは既に部屋の中にいて、カイン様に「やぁマリアンヌ、アルと一緒に来たんだね、とりあえず2人とも座って」と言われたのだが、忘れないうちにと思い、収納魔法から紅茶缶を出して、カイン様に近寄って話しかけた。


「あのカイン様すみません」

「ん?何?」

「これ、頂き物なんですけど凄く美味しい紅茶だったので、皆さんにも飲んでみて欲しいのですが」


そう言って紅茶缶を手渡すと、カイン様は「へぇ、マリアンヌが勧めるなら余程なんだね」と笑顔で受け取ってくれたのだが、缶に印刷された紋章を見ると動きを止めた。


「ねぇマリアンヌ、これ誰から貰ったの?」


カイン様の様子にウィルも近寄ってきて「翼が描かれた盾が木々と花に縁取られてる紋章ですか、見た事無いですね、これがどうかしたんですか?」とカイン様に尋ねた。


「ウィルはまだ知らないんだね、古い紋章なんだけど、この紋章を使える家は確かにあるんだよ」

「頂いた方からはカイン様に「今度飲んだ感想を聞かせて欲しい」と伝えるよう言われました」

「え?そうなの?本当に?」

「はい、間違いありません」

「そうかぁ、なら皆で飲んでみようか、セス、悪いけど全員分淹れてもらえる?」

「もちろんです」


そうしてセス様が紅茶を淹れている間に、バージル様も生徒会室に来たので、皆で紅茶を飲んだ。

飲んで早々アルベール殿下が「兄上、俺らが普段飲んでるやつより美味いんだが」と言い、カイン様も「これは確かに驚きだね、流石だ」と言っていた。

他の皆もあまりの美味しさに驚いたらしく、しばらく紅茶を楽しんだ後、本題に入った。


「さて、じゃあ今日は生徒会に新しくマリアンヌを迎える事になったから、その事についてと、来月の実技大会について軽く話しておこうか」


カイン様はそう言うと、生徒会役員で唯一初対面になるバージル様を紹介してくれた。

お互い挨拶した後、バージル様が気まずそうに「マリアンヌ嬢、私の妹が君に迷惑をかけていたりしないだろうか」と聞いてきた。

私はどう答えるか迷ったものの、誤魔化すのもアレなので「何故か私と仲良くしたいらしくてよく話しかけて下さいますわ、ですがその度にサイモン様にクリスティーナ様と話すなと絡まれますので少し困ってます」と事実を伝えておいた、するとウィルが「ちょっと待って、今日も絡まれたの?俺聞いてないよ」と会話に混ざってきた。


「ウィルはちょっと落ち着いて、マリアンヌ、今の話し方だとクリスティーナ嬢よりサイモンが問題だと聞こえるんだけど、間違いない?」

「はいカイン様、実は今日クリスティーナ様1人だけとお話する機会があったのですが、まぁ、少し距離の近いご令嬢だとは思いましたが、悪い方ではありませんわ」

「バージル、君から見たサイモンってどんな感じ?」

「妹には凄く優しいですし、面倒見も良いので、まさかマリアンヌ嬢に食ってかかるなんて事をしているとは、思ってもいませんでした、本当に申し訳ない」


そう言ってバージル様が謝ってくるので、私は慌てて「いえ、バージル様は悪くないので」と言っておいたのだが、相変わらず申し訳なさそうな顔をされており「今日寮に帰ったら私が責任を持ってサイモンに言い聞かせます」と言ってくれたので、とりあえずその話は終わった。


その後、来月行われる実技大会の話になったのだが、この実技大会も黄昏のメモリアでのイベントだったりする。

実技大会は毎年5月にある行事で、魔法剣術何でもアリで戦うトーナメント形式の大会だ。

生徒ならエントリーすれば誰でも参加可能だが、基本剣術科や魔法技術科等で学んでいる生徒が、日頃の訓練の成果を見せる為の場所だ。

学園長はもちろん騎士団や魔法師団の責任者、たまに陛下もご覧になる時があるらしく、爵位を継がない方々が、就職先の推薦を貰えるチャンスの1つでもあるので、参加者は皆真剣だ。

ちなみにゲームでは、攻略対象との好感度が高いと参加した攻略対象がいい成績を出していた。


私が「ウィルは実技大会に出るのですか?」と聞くとウィルは「今年は出るよ」と答えてくれたのだが、この発言にまさかのセス様が食いついた。


「え!ウィルさん大会出るんですか!?なら私も出ます」

「なんで俺が出るとセスも出るんだよ」

「この間師匠に「そろそろお前もウィルといい勝負が出来るんじゃないか?」と言われたので、お手合わせ出来る機会を伺ってました」

「父さん…」


ウィルは頭を押さえたが、セス様の言う師匠とはウィルのお父様のバーナード様の事だ。

そこに「うわぁ、今年の出場者かわいそ~」とニコラス様が発言したので、私が「なぜですか?」と聞くと「だってマリーちゃん、例外が3人も出るんだよ、他の子の見せ場が減ってかわいそうじゃん」と言われた。


「3人?ウィルとセス様とあと1人いらっしゃるんですか?」

「3人目は俺の兄さんのカルロス・クレメントだよ、1年の頃から実技大会6連勝中の脳筋」

「カルロスが出場するようになって3年目から、あまりに強いんで決勝でしか当たらない様にしちゃったんだよね、でもウィルとセスも出るなら2人には初戦で当たってもらって、勝者は準決勝に行ってもらおうかな」

「カイン様、僭越ながら初出場者がいきなり準決勝では反発する者が出ませんか?」

「大丈夫だよエドガー、彼らの初戦を見れば、むしろ準決勝まで当たらない事に感謝されるから」


カイン様がそう言った為、実技大会の特別枠が増え、初戦でウィルとセス様が対戦する事が決まった。


「じゃあ大会当日の配置だけど、来賓の方々の相手は私とアルで行うから、大会の進行はニコラスとバージルでよろしくね、エドガーは大会前後の予算組をお願い、アリスとマリアンヌは大会記録を取ってもらおうかな、何かあればその都度指示するから皆よろしくね」


こうして実技大会の話はまとまっていった。


誤字報告ありがとうございます、すぐ見落とすので助かります。

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