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29話 精霊の寵愛者2


アルヴィン様は半分人を辞めているという事実に驚いていると、ヴィンス先生が「マリアンヌさんすみません」と話し出した。


「どうやら話し過ぎたようで、授業時間終わってるんですよね、私はこのまま放課後まで話す事も出来ますがどうしますか?」

「もっとお話しを伺いたいので、放課後までお願いします」

「分かりました、アルヴィンもそれで構いませんか?」

「俺は元々用事なんてもの無いからな、問題ない」

「ではそうですね、先程説明を省いてしまった、私達が使える精霊魔法について教えましょう」


ヴィンス先生はそう言うと、私に精霊魔法がどういうものか知っているか尋ねてきたので、思い当たる事はあってもよく知らないので分からないと答えた。


「精霊魔法とは簡単に言うと治癒、結界系の魔法の事です、これらは魔法陣で発動可能な自然現象ではなく、精霊固有の魔法なので魔法陣では発動しません」

「転移魔法も自然現象なんですか?」

「次元と時空を司る精霊は居ますので自然現象ですよ」


先生の説明によると、魔法陣とは魔力を使って精霊に自然現象を起こしてもらう為のものであり、それ以上でも以下でもないらしい、もちろん難しい事をしようとすればするほど、複雑な魔法陣と膨大な魔力が必要となるので、出来る人は限られるそうだ。

「ただし、普通の人間がそうなだけであって俺らは別な」そう言ったのはアルヴィン様だ。


「そうですね、アルヴィンの言う通り、私達は守りたいとか治したいと漠然に願うだけでも、精霊は手を貸してくれますし、魔法を防ぐ守りが欲しい、なくなった腕を治してあげたい等、具体的な願いになればより強い精霊魔法を使ってくれます、物を握った状態でやれば付与魔法も可能です」


ここで私は、以前ウィルの誕生日プレゼントにかけたおまじないが精霊魔法だと気が付いた、お母様、おまじないどころか希少な精霊魔法じゃないですか、なぜ教えてくれなかった。


「それに普通の魔法も精霊が助けてくれるからな、魔力だけ差し出せば後は精霊がやってくれる」アルヴィン様はそう言うと1つの魔法陣を見せてくれた。


「この魔法陣を使いたいと思いながら魔力操作してみるといい」

「で、出来ました」

「言った通りになっただろう」

「魔法学の授業でも、えらくすんなり出来るなって思ってたんですが、私が祝福持ちだったからなんですね」

「そうですね、ちなみに精霊魔法や、加護や祝福持ちの関係性については皆さん知らないので、口外しない事をお勧めします」

「そんな気はしていました、ところでアルヴィン様、この魔法陣何が出来るんですか?」

「所謂収納魔法だな」


アルヴィン様はそう言うと自身の魔法陣から紅茶缶を取り出し、私に渡してきた。


「今飲んでる紅茶の茶葉だ、マリアンヌにあげるからその魔法陣に置いてみるといい」


私は言われた通りにすると、紅茶缶は魔法陣の中に消え、頭の中で何が収納されているのか分かるようになっていた。


「便利だろ?生き物は無理だが、物なら状態保存がかかるから食べ物は入れても大丈夫だ、慣れれば魔法陣無しで出し入れ出来るようになるから使うといい」

「ありがとうございます」

「本来なら魔法技術科で教わるような魔法なんですが、まぁいいでしょう」

「あの、アルヴィン様、紅茶缶をもう1つ頂く事は可能ですか?」

「あぁ、別にいくらでも作れるから構わないが、誰かにあげるのかい?」


そう聞かれた私は、今日の放課後から生徒会に参加する為、そのメンバーにも飲んでみて欲しくてと伝えた。

するとアルヴィン様は「生徒会かぁ、ならカインに直接紅茶缶ごと渡してもらえる?」と言われた。


「分かりました」

「あ、後もしカインが誰に貰ったのかを聞いてきたら、今度飲んだ感想を聞かせて欲しいと言っておいて」

「構いませんが、アルヴィン様はカイン様とお会いになった事があるのですか?」

「無いよ」

「え?」

「会った事は無いけれど、私はカインとアルベールの周囲は定期的に覗いているからね、君を知ったのもその時だよ」


そんな事を言われたので、色々聞きたい事があったのだけれど、ヴィンス先生に「そろそろ放課後になるので戻りましょうか」と言われてしまった為、次の機会にする事にした。


「アルヴィン様、今日はありがとうございました」

「うん、またね」


そして私とヴィンス先生は来た時と同じように転移魔法で教室に戻った。


「そういえば先生、どうして今日は転移魔法で移動したんですか?」

「あぁ、それは先生と生徒といえど、2人っきりで校舎裏の庭園に行くだなんて外聞が悪いと思いませんか、マリアンヌさんは婚約者も居ますし」

「あっ!そうですね、失念していました、すみません」

「後は勘です」

「先生の勘、という事は…」

「誰か居たか、見張っていたんじゃないですかねぇ、去年から妙に王家の影の方が多いらしいですし」

「先生その事ご存じだったんですか」

「アルヴィンが教えてくれました」

「なるほど」


そんな話をしていると授業終了のベルが鳴ったので、教室を出て生徒会室に向かった。


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