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23話 入学初日3


私は教室に入ってきた担任の先生を見て驚いた、なんと私のクラスの担任は、あの攻略対象疑惑のヴィンス先生だった。

ヴィンス先生は教壇に立つと「皆さん、まずは入学おめでとうございます」と話し出した。


「私は今日から7年間、皆さんが卒業するまで担任をしますヴィンスです、これからこの学園でしっかりと自身の能力を伸ばし、卒業後活躍出来るよう、自己研鑽に励んで下さい。

あと私は精霊学と歴史学の講師もしてますので、選択科目でそれらを選ぶようならここ以外でも関わる事があるでしょう、ですが基本は学園からの連絡事項の伝達や行事での手続き等が担任の仕事ですので、何か手続きが必要な時は声をかけて下さい、ではこれから宜しくお願いします」


そう言って挨拶を終えたヴィンス先生だったが、何か思い出したのか「あぁ、そうそう」と言って言葉を続けた。


「去年も散々生徒に質問されましたし、気になってる方もいると思うので、何故面布をしているのか説明しておきますね」


ヴィンス先生の説明によると、先生は他人の潜在魔力が、常時色と光を放って見えるらしく、特注の面布越しでないと、眩しくて目を開けられないらしい、しかも、先生の症状に合った魔道具は面布か趣味の悪い仮面の2つだけという事で、仕方なく面布で我慢していると話していた。


「もし眼鏡型の魔道具を開発出来そうな方をご存じだったら、是非教えて下さい、では皆さん順番に軽い自己紹介だけしておきましょうか、終わったら学部見学について説明します」


そうして全員簡単な自己紹介をし、学部見学について説明を受けた。

選択科目を決める為の学部見学なので、既に何を選択するか決めている人は、希望する科の講師に申請して、早い人だと明日から授業を受けられるそうだ。

1年生の時間割は午前が必須科目、午後が選択科目になっており、時間割は自分で組むことになっているので、学びたい授業が重なっている場合は、頑張って必須科目を早めに修了して時間を作ったり、日替わりで時間割を組んだりして調整するよう言われた。

基本講師への受講申請は年中受け付けているが、新入生は今週中に最低でも1つは選択科目を決めるようにとの事だった。

ちなみに時間割に空き時間がある時は、自習室や図書館を使用してもいいし、実技訓練の見学をしてもいいらしい、理由は上級生の技術を見て勉強するというのと、人に見られていると真剣に取り組むからという理由もあるらしい。

特に剣術科や魔法技術科の実技訓練は空き時間の増えた高学年のご令嬢に結構人気らしい。

ひと通り説明をした先生が「では自由に学園内を見学して下さい」と言ったので、クラスの何人かが移動し始めた。


私はヴィンス先生の精霊学と歴史学を選択するつもりだったので、教壇に居る先生に話しかける為席を立とうとしたところ、後ろから「ねぇ、マリアンヌちゃん」と声をかけられた。

うあぁ⋯振り向きたくないいいぃぃ!

もう一言で、どこから突っ込んだら良いのか分からなくさせる才能が凄いし、悪意が無さそうなところがまた酷い。

仕方ないので私は令嬢スマイルの仮面を着け、意を決して振り向いた。


「あら、クリスティーナ様、私に何か?」(私達初対面ですよね?)

「席が近いから友達になりましょう!私の事はクリスって呼んで良いから、私もマリーちゃんって呼ばせてね」

「⋯」(やだこの子グイグイ来るわね、何とか仮面はキープ出来てるけど困ったわ)

「それで良かったら私達と一緒に見学に行かない?」

「⋯」(待って~私まだ返事してないよ?勝手に話進めないで、そして誘わないで)

「おいお前!クリスが誘ってくれてんだから返事しろよ!」

「えっ!ちょっとやめてよサイモン!」


クリスティーナ様が慌てて止めたが、突然のサイモン様の乱入に驚いてそちらを見ると、めっちゃ睨まれてた、ええぇ⋯私が何したって言うのよ、そっちが強引に話を進めるから返事に困ってるだけなのに。


「クリスティーナ様、私もう選択科目は決めてしまっているの、だから申し訳ないけれど見学にご一緒する事は出来ないわ、ごめんなさいね」(お願い、諦めて~!)

「それならそうと早く言えよな!ほらクリス、こんなヤツほっといて早く行こう」


またしてもサイモン様に威嚇されたのだが、クリスティーナ様を引っ張って行ってくれた事には感謝である、しかしまさか伯爵令息にこんなヤツ呼ばわりされるとは思わなかった。

そしてクリスティーナ様はサイモン様に連れて行かれながらも「あっマリーちゃん⋯」と名残惜しそうに私の名前を呼んでいた、寄ってこられても困るだけなので勘弁して欲しい。

しかも2人が出て行った後の教室の空気が最悪で、とりあえず令嬢スマイルの仮面をキープしたまま困った感じで首を傾げておいた。


「マリアンヌ嬢、大丈夫ですか?」そう声をかけてくれたのは隣のパトリック様だ。


「えぇ、問題ありませんわ、お騒がせしてしまい申し訳ありません」

「いえ、貴女は何も悪くない、もし彼らが無理矢理誘うようなら止めようと思っていたのですが、もう少し早く止めるべきでしたね」

「そのお気遣いだけで構いませんわ、ありがとうございます」

「そういえば先程仰ってましたが、マリアンヌ嬢は何を選択されるのですか?」

「あぁ、精霊学と歴史学を」

「おや、マリアンヌさんは私の講義を受けるんですか?」


会話が聞こえたのか、教壇から降りてヴィンス先生がこちらに近づいてきた。


「あ、はい、そのつもりです、宜しくお願いします」

「はい、こちらこそ宜しく、精霊学と歴史学はあまり人気が無いので歓迎しますよ」

「先生、歴史学だけですが私も宜しくお願いします」

「パトリック君もですか、酷いと受講者が1人も居ない学年もあるのに、今年の新入生は熱心ですね」


そんな話をしていたら「あ、あの⋯」と声がしたのでそちらを向くと、私の席と通路を挟んで隣の席になるリリアン・マールデン侯爵令嬢が申し訳なさそうに話しかけてきた。


「わ、私も歴史学を受講したいので、宜しくお願いします」

「私が担任のクラスから3人も受講してくれるなんて、これも何かの縁ですかね」


ヴィンス先生は嬉しそうにそういうと、私達に講義の予定表を手渡してくれた。


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