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22話 入学初日2


入学式の後、在校生は各々授業に向かい新入生は選択科目や学園の規則、施設等について説明を受けた。

説明の殆どは入学前に渡された書類に書いてある事と同じで、午後からの学部見学で詳しく聞くように言われた。

説明が終わると丁度昼休みとなり、最後に午後はまず自分達のクラスの教室に入るようにと言われ解散になった。


周りが移動し始めたので、私も転移魔法陣のある玄関ホールへと向かった。

ウィルが迎えに来ると言っていたけれど、どこで待っていればいいのかしら、と思いながら第1ホールを出るとすぐに「マリー」と声をかけられた。


「ウィル!」

「迎えに来たよ」


そう言ってウィルは私の手を取って笑いかけてくれた、それにしても、制服を着ると私と似た背格好のご令嬢も結構居るのに、よく分かったなぁと思い尋ねてみると「俺がマリーを見間違えるわけないでしょ、仮に姿が見えなかったとしても、そのブレスレットがあるから俺がマリーを見つけられないなんて事は無いよ」と言われてしまった。

6歳の時にウィルから貰ったブレスレットは、私の誕生日の度にウィルが大きさを調整してくれるので、11歳になった今でも身に着けている、何となく、ウィルが大きさの調整をしながら別の魔法も付与している気がするのだが、それについてはそのうち教えてくれるだろうと思っているので聞いてない。


ウィルに連れられて学園の食堂に向かうと既に賑わっており「先に料理を取ってから席に行こうか」と言われたので、2人で学食の列に並んだ、寮の方もそうだが学園内の食堂は色んな魔道具が使用されているらしく、注文するとすぐ出来立てを渡してもらえる、つまりほぼ待たない。

不思議に思ったので席に向かう途中ウィルに聞いてみると、お昼休みまでにその日の料理を状態保存出来る容器に入れてストックしているらしい、減ってきたら作って補充という形なので待たされる事はまずないとの事だ。


そんな話に感心していると、食堂から続くサンルームの一角にある席でウィルが止まった。

そこに座っている人を確認すると、カイン様とアリス、初対面だがゲームで容姿を知っているセス様、そしてまったく知らない男の方がいたので、チラッと制服の袖口を確認すると金の3本線が入っていたから1番上の7年生の方のようだ。

「マリー来たのね、さぁ私の隣に座ってちょうだい」とアリスに言われ、ウィルにも促されたので私はアリスの隣に座り、空いていた私の隣にはウィルが座った。


席に着くとカイン様が「マリアンヌはセスとエドガーとは初対面だよね」と言って紹介してくれた。

セス様は攻略対象な事もあり知っていたが、エドガー様はフルネームがエドガー・レイグラーフといい、アリスのお兄様にあたるレイグラーフ公爵令息だった。

2人に挨拶をしてもらったので、私も挨拶をしようとすると「あっ!もしかして君、噂のウィルの婚約者のマリーちゃん?めっちゃ可愛いじゃん!」と何やら軽い感じでエドガー様とセス様の間の席に座ってきた男性がいた。


「おいニコラス、俺のマリーに馴れ馴れしく話しかけるな」

「うっわウィルってば辛辣ぅ!友達の婚約者で妹の友達なんだから別にいいだろ~?」

「え?妹さん、ですか?」

「そうだよマリーちゃん、俺はニコラス・リーベル、キャシーと仲良くしてくれてありがとね」


そう言ってウインクしてきたニコラス様は、髪色も瞳もオレンジで、少し癖のある長めの前髪や開いた襟元等々、とてもキャシーのお兄様には見えないくらいチャラかった。

私が驚いていると隣のアリスがそっと「ニコラス様見た目やノリは軽いけど、普通のご令嬢には紳士だし、ちゃんとする時は出来る人だから安心して」と言われ、とりあえず初対面の3人に挨拶した。


しばらく食事をしながら会話をしていると、今一緒に食べているメンバーは全員生徒会役員だそうで、会話内容がランチミーティングと化していた。

そんな話を普通に聞いていたら、何故かニコラス様に「マリーちゃんも生徒会入らない?」って勧誘された。


「え?いえ、あの、私がですか?」

「うん、そうだよ~、ウィルも居るしどう?」

「マリアンヌなら私は構わないよ」

「カイン様!?」

「そうね、私も大歓迎よ」

「アリスまで⋯」

「大丈夫よ、私もカインに付き合って1年の時から役員だから、すぐ慣れるわ」

「⋯分かったわ、皆様宜しくお願いいたします」


そんな訳で私は入学初日に生徒会へ参加する事が決まってしまい、生徒会長をされてるカイン様から「集まるのは明日の放課後からだから、明日は授業が終わったら生徒会室まで来てね、その時に詳しい話をしよう」と言われたので「分かりましたわ」と返事をした。

話が終わると丁度いい時間だったので、皆食器を返却し食堂を後にした。


私は自分のクラスに行き、爵位順の席だったので窓際の1番前にある通路側の席に座った、窓際側の席はパトリック・ウォード公爵令息、新入生代表挨拶もされた方だ。

パトリック様は攻略対象のネイサン様の弟にあたるのだが、ゲームでは一切登場していないので、貴族名鑑を覚えるまで、私は同学年に兄弟がいるなんて知らなかった。

パトリック様の容姿は短髪赤毛のネイサン様と違い長い黒髪を後ろで束ねており、ゲームの影響で脳筋イメージの強いネイサン様とこれまた対照的に知的で落ち着いた印象の方だった。

パトリック様と軽く挨拶を交わし、担任の先生が来るのを待っていたのだが、何の因果か時間ギリギリに私の後ろの席に座ったのが、初期ヒロインのクリスティーナ・キャンベル伯爵令嬢だった、しかも隣にサイモン・ハーグリーヴ伯爵令息付きである。


「何とか間に合って良かったね」

「ほんとだよ、クリスが巣から落ちた小鳥を戻そうとするから時間かかっちゃったし、だから僕がやるって言ったのに」

「間に合ったんだからいいじゃない」


そんな会話が後ろから聞こえてきたので、私の心境は複雑だった。

小鳥を巣に戻す、つまり伯爵令嬢が学園内で木登りをしたと、その行為は令嬢としてどうなのかと思うが、それが他でもないクリスティーナ様の行動ならあながち間違いではなかったりする。

なぜなら、ゲームの入学初日のイベントがソレだからだ、ただ問題なのは、本来そのイベントは今日の放課後起きるはずのものという事、何故か昼休みに起きてしまったイベントは、どうやらサイモン様が一緒だったようだし、このまま私と関わる事無く幼馴染同士くっついてくれれば良いのにと思う。

それなのに、何故か先程から嫌な予感がして堪らないのは、私が悪役令嬢マリアンヌ・ガルディアスだからだろうか。


そうやって物思いにふけっていると、時間になったのか担任になる先生が教室に入ってきた。


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