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1話 悪役令嬢マリアンヌ1


眼を開けると見慣れたベッドの天蓋が見えた。

上体を起こし部屋を見回す、天蓋のレース越しに見える見慣れたはずの部屋は、前世を思い出した今となってはかなり広く豪華に感じる。


私ことマリアンヌ・ガルディアス公爵令嬢が、悪役令嬢として登場する『黄昏のメモリア〜私と秘密の王子様〜』は、建築や文化こそ中世ヨーロッパ調だが、魔法有り精霊有り魔王に魔物もいる世界観な為、生活面は魔道具で割と近代的になっている部分もある。

蛇口はお湯も水も出るし、トイレも水洗、洗濯機らしき物とか冷蔵庫みたいなのもあるらしい、表現が曖昧なのは私がまだ5歳と幼いのと、お嬢様育ちな為実物を見ていないからだ。


流石にゲームもそんな細かい所まで描いてないので、前世のゲーム知識が役に立つのは、未来のシナリオと私の破滅フラグに関わるイベント、そして攻略キャラ達の当たり前の情報から隠された情報などである、それらを上手く使えれば破滅を回避出来そうな気はするんだけど、不安要素が1つある。

私が前世の最後に見た悪役令嬢がヒロインの黄昏の裏側編、それを現実で、しかも初見プレイの状態である事。


「難易度鬼のマリアンヌ初見プレイノーミスクリアなんて、私に出来るのかしら」


正直逃げられるのなら逃げたい気持ちも少しある、今まで生きてきた記憶があるから尚更、失敗すれば現実に追放か処刑が待っている。

ゲーム感覚では挑めない、しかし挑まずにはいられない理由がある。

推しが、私の長年の推しの彼が、ゲームのお知らせ情報通りなら運命共同体なのだから。

運命共同体という事は私の破滅は彼の破滅、そんなの絶対許せない、今この時この世界に推しも生きてる、というか今更だけど推しに現実で会えるとかヤバ過ぎないか。

私は両手を組み、目を閉じて祈るポーズをとる。


「神サンラミスと女神アルティナに感謝を、推しが同じ世界、同じ国に生きているだなんて、尊いわ」


そして私は私が生きる為、そして推しを幸せにする為に何がなんでも破滅に抗うと誓った。

ちなみに神サンラミスと女神アルティナとは、黄昏のメモリアのメイン舞台、ここトワイライト王国で信仰されている夫婦神だ。

ゲームの方でも創世神話として2章の学園編で図書館を探索してると読めるようになっていた。

神サンラミスが大地と夜を、女神アルティナが海と昼を、2神で生命を創りサンラミスが死をアルティナが生を司っている、そんな感じの内容だった。

私の場合前世で急死な上に執着先が推しだった為、魂が地球を離れてこっちの世界に迷い込んだ所を、サンラミス様が導きアルティナ様が1番推しを愛せるマリアンヌにしてくれたのだろう。

破滅と隣合わせのハード人生だけど、推しと同じ時間を過ごせる事を考えれば本当に感謝しかない、そんな事を考えながら祈っていると部屋の扉がノックされる音が聞こえた。


扉を開けて入ってきたのは私の専属侍女のマーサだった。

起きているとは思わなかったのだろう、天蓋のレース越しだが驚いた表情をしているのが分かった。


「おはよう、マーサ」

「お嬢様!おはようございます、お目覚めになられたのですね、本当に良かった、中々目を覚まされないので皆心配しておりました」


天蓋のレースを開けながら、マーサが目を潤ませながらそんな事を言うので驚いた、慌てて自分の寝る前の記憶を思い出そうとするが上手く思い出せなかった。


「ねぇマーサ、私何日くらい寝ていたのかしら」

「覚えていらっしゃらないのですか?」

「えぇ、残念ながら何も、今日が何日で何故寝ていたのかもわからないわ」

「大変、旦那様と奥様をお呼びしますか?」

「それは大丈夫よ、少し思い出せないだけだから、聞いたら思い出す気がするから、私が何をしてたか教えてもらえるかしら」


そうしてマーサから今日の日付と、寝込む直前の行動を聞いて私は全て思い出した。


私はあの日、婚約者候補として第2王子アルベール・クレメント・トワイライト様とお顔合わせのお茶会をする為、お父様のロナルド・ガルディアス公爵と登城していた。

しかしお茶会場所に着いた時、その場にいた人は…前世で側近一地味な髪色と言われていたダークブラウンの髪は、アルベール殿下と同じプラチナブロンドになっていたし、本来エメラルド色の瞳も、殿下と同じ藍色から下にいくほど赤みがかる黄昏の様な色になっていた、元々従弟で顔が似ているのもあって双子でも通じるレベルでそっくりだ、お父様も殿下だと思って挨拶しているみたいだけど、私は分かった、何故か分かってしまった。


その時はまだ前世の記憶を思い出して無かったのに、いや、寧ろ出会ってしまったから思い出したんだろう。


「初めまして、小さなレディ」


彼が微笑みながらそう話しかけてきたので、頭が急に前世の記憶を読み込み始め軽くパニックになりかけたが、そういえば私と殿下は2歳違いで目の前の彼とは3歳違いになるから、8歳から見たら5歳なんて子供だよね、と謎の落胆のおかげで冷静に挨拶とカーテシーが出来た。


「お初にお目にかかります、ガルディアス公爵の娘マリアンヌと申します」


きっと前世の記憶の読み込みで熱が出始めていたのだろう、心の声が口から出てしまった。


「ずっとお会いしたかったです、ウィリアム・クレメント様」

「…っえ?」


しまったと思いつつウィリアム様を見れば、かなり驚いた表情をしていたけど、そんな顔も素敵だななんて思っていたら私は倒れた。


そこから高熱で3日寝込む事になってしまった。


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