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100話 フェアリード領2


他人になりすまして国に報告書を提出していた事をアルヴィン様があっさり白状した為、ケントさんは顔面蒼白になった。


「ちょっとアルヴィン様、何白状してんですか!俺が犯罪者になっちゃうでしょ!?」

「安心しろ、カインは有能な奴には寛大だ」

「若干語弊がありますがそうですね、それにどうせ今のコンラート子爵位は彼が持っているのでしょう?」

「へ?」

「なんだ知ってたのか?」

「は?」

「いえ、ただ叔父上の事ですからもし王都でバレた時の為に書類は変更済みかと思いまして」

「えええええぇぇ!?」

「そういう事だ、じゃあ領地案内よろしくな」

「ではケント・コンラート子爵、行きましょうか」

「………はい…ご案内、します」


そうしてケントさんのみ精神的ダメージを負ってカイン様とウィルは領地の視察へ出かけ、私とアリスはアルヴィン様と馬車で邸宅に向かった。

途中、役所の方達がアルヴィン様にはそれほど驚いてなかったので、領民の方達はどういう認識をしているのか尋ねてみたら、近所にいる何でもできるお兄さん的な認識だろうと返ってきたのでアリスと一緒に驚いた。


「え、アルヴィン様領民の方達と交流があるんですか?」

「俺の領地なんだからあるに決まってるだろう」

「うそ、意外だわ」

「アリス、意外とは失礼だな」

「すみません、アルヴィン様は最近まで音信不通だったので、てっきり領民も知らないのかと」

「王都の人間は入れないようにしてるのに領地で隠れる必要ないだろ」

「確かに…ですが領民が商人に喋ったり、それこそ役所の方が王都で報告する際に喋ったりはなぜ無いのですか?」

「それぞれ理由は違うんだろうが、うちの領民のほとんどが他国や異世界の人間だからじゃないか?」

「「え?」」

「ここの初代領主はキースだぞ、数百年かけて領民を選別した結果、最早信仰対象なんだからえぐいよな」


アルヴィン様によると、キース様が大公爵となりフェアリード領の管理を任された時、ここは領民ゼロのただの森だったらしい、まぁ時代が時代なので魔物もうようよしてたそうだ。

キース様はまず魔物を減らし、精霊に頼んで人が暮らせるよう環境整備をしたのだが、その後キース様は領地全体に魔法をかけ、王国民が移住してこれないようにしたらしい。

そしてキース様は魔王がいなくなり、人間同士で国境の争いを始めた頃に奴隷や捕虜、無実の罪で裁かれそうになっていた人達を秘密裏に領地へ連れ帰っていたという。


「これを聞いてキースが善人だとか思うなよ」

「違うんですか?」

「全然違うね、救われた奴は確かに感謝してるだろうが、キースはお人好しじゃない、奴隷や捕虜全員を助けたりはしてないし、領地に有益をもたらす有能で忠実な奴だけ選んでる「自分だけ助かるなんて受け入れられない、皆助けてくれ」なんていう奴は見捨ててる」

「どうして…」

「そういう奴は皆の為だと言って不利益を生むからって言ってたな、自分だけの力では出来ない事を、皆の為だと言って後先考えずに押し付ける、その結果失敗すれば責任を取るのは皆だというのにな」


そんな話をしていたら、アルヴィン様の邸に到着した。

馬車が止まりアルヴィン様は外に出ると、アリスと私に手を貸してくれた、馬車から降りて建物を見ると木や草に囲まれているが古びた感じはせず、庭園もとても美しかった。

アルヴィン様に案内されて中に入ると、落ち着いた雰囲気の内装でどこか生徒会室と似たような印象を受けたのだが、そもそも校舎もキース様が使っていたものなのだから似てて当然か、と納得した。

その後ヴィンス先生が「到着したんですね」とこちらにやってきて、先生の後ろにこれまた驚異の美貌の持ち主が居たので、私とアリスはこの人がキース様だな、と察した。


キース様は美しいブロンドのロングストレートの髪に深い緑色の瞳をしており、見た感じは30歳前後、驚いたのが耳が長く前世でよく見たエルフの様相だった。

私とアリスがキース様は人間のはずだし、そもそもこの世界にエルフいたっけ?と首を傾げていると、キース様が私とアリスを上から下まで眺めた後、にこっと笑って挨拶してくれた。


「やあ、初めまして、私は前フェアリード大公爵のキースだ、まさか転生者のお客様だとは思わなかったよ、たまには外に出てみるもんだね」


えっ、この人のどこが引きこもりで人見知りなんだろうと思い、アルヴィン様とヴィンス先生を見るとアルヴィン様は驚いた表情をしており、先生は…面布でよく分からないけどたぶん驚いてる。

私とアリスがとりあえず自己紹介をすると、キース様が立ち話もアレだからと応接室に案内してくれた。

席に着くとアルヴィン様が「おい、キース、どういうつもりだ」と聞いたが、キース様は「何が?」と首を傾げるだけだった。


「何がじゃねぇよ、お前が無条件に人を歓迎するわけないだろ」

「よく分かってるじゃないか、2人が転生者だというのもあるし、マリアンヌ嬢はヴィンスを助けてくれた恩人だ、それにアリス妃殿下が懐妊してるとなれば歓迎もするさ」


そう笑顔で話すキース様だったが、最後の発言に待ったがかかった。


「ちょっと待てキース、アリスが、何だって?」

「ん?何アルヴィン聞こえなかった?ご懐妊だよ」

「え!?アリスそうなの?」

「いや、もしかしたらとは思ってたけどまだ確かめてない…」

「あ~そうなんだ、妊娠してるよ、おめでとう」

「あ、ありがとう、ございます…あの、何で分かったんですか?」

「…剣の気配がするからね」


アリスは何の事を言われているのか分かっていなかったが、私は王家に代々呪いをかけてる魔剣の事だろうと察しがついた。

アリスにこの事を話すべきか迷っていると、先にキース様が王家の子供について妃教育でどんな話を聞いたか尋ねた。


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