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98話 派閥


私はエレナ様の話を聞いて暫く考えた後、疑問に思った事を口にした。


「あの、そもそもなんですけど封印されているはずの魔王が何故デビュタントに?」

「封印されてないんじゃない?詳しい事は知らないわ」


確か先生の授業でも魔王はただの器であって、エレボスの影響が出なければただの人だと聞いている。

だとすると私のデビュタントに来るのは覚醒前の魔王という事?


「それに今いるアルヴィン様は最初から本人ですけど、それでも魔王は現れますかね?」

「分からないわ、こんな時妹がいれば色々教えてくれるんだろうけど私はプレイしてないから…ごめんなさいね」

「いえそんな、魔王が来るかもしれないと分かっただけでも良かったです」

「それと噂程度では効果が無かったから、今度は既成事実を作りに来るかもしれないわね」

「どういうことですか?」

「貴女が襲われるかもしれないって話よ」

「いくらなんでも学園でそんな事…」

「無いと思う?夢見がちなおバカさんなら、可能性はゼロじゃないわ」

「パトリシア男爵令嬢の取り巻きの方達の事ですか?」

「彼女魅了を使えるのでしょう?警戒した方が良いと思うわ、それに私の予想通りになった場合、ゲームについて何か知っているって事になるしね」

「そうですね、分かりました」


私が後日、エレナ様との会話内容をウィルに話すと、いつも着けているブレスレットにまた色々追加し始めてしまった。

今度は何を追加したのか尋ねると、ブレスレットに魔力を通すとウィルの方で感知出来るようにしたらしい。


「危険だと思ったらすぐに知らせて」

「分かりました」

「俺としては四六時中マリーのそばにいたいんだけど」

「学園の中ならそうそう危ない目には遭いませんよ」

「どうかなぁ、学園が平和だったのはカイン様がいたからってのもあるんだよね」


カイン様とアリスとセス様が卒業し、アルベール殿下が生徒会長となったので、私とウィルはもう生徒会役員ではない、ウィルは誘われたみたいだけど「最後の1年くらい自由にさせろ」と断ったらしい。


そして新学期が始まって数日後、私はウィルが言っていた意味を理解した。

今まで大人しくしていたのに、急にパトリシア男爵令嬢に魅了される生徒の数が増えてきたのだ。

私は放課後ウィルと一緒に精霊の泉へ行き、アルヴィン様とヴィンス先生にその事を話すと、アルヴィン様が「まぁそうなるよな」と当たり前のように言った。

すると先生が「派閥争いも社交の勉強ですから、余程でない限り学園側は介入しませんからね」と教えてくれた。


「その為の生徒会でもあるしな、そういう派閥争いを治めれてこそ上に立つ資格があるってもんだ」

「でも魅了を使われたらどうしようもなくないですか?」

「マリー実はそうでもないんだよ、カイン様の時はそれ以上生徒に魅了をかけたら学園はおろか国にいられなくしてやるって圧力をかけたからね」

「カイン様そこまでしてたんですか…」

「カインは有言実行するからな、流石に分が悪いと思ったのかしばらくは大人しかったが、カインが卒業したし、アルベールは脅威でないと判断されたんだろう、まぁでも他国の要人が2人もいるから大丈夫だろ」


アルヴィン様が言う要人とは、現在進行形でアルベール殿下に結婚してくれとアピール中の隣国の王女ユーフェミア様と、ゲームで攻略対象だった聖国のノア様の事だ。

この2人も生徒会に入ったのだが、流石というか何というか見事に生徒をまとめ、これ以上魅了にかかる生徒が増えないようにしていた。

それでもたまに魅了にかかってしまう男子生徒がいたらしいが「これだけ言っても引っかかる奴はどうしようもないよ」とウィルが言っていたので特に何かする気はないらしい。


そうしてパトリシア男爵令嬢は自分の味方を少しずつ増やしていたけれど、これと言って何か問題が起きる事は無かった。

強いて言うなら魅了された男子生徒の婚約者達が怒っているらしいのだけれど、休み時間になると彼女は男子生徒に囲まれているので、呼び出しや修羅場はまだない。

そもそも政略結婚が多い貴族だから、家に迷惑をかけないなら好きにすればという考え方らしい、ただ、婚約者としての義務を疎かにし始めたので腹が立っているそうだ。


そんな学園生活はあっという間に夏休みに入り、前に話していたフェアリード領へ行く日になった。

メンバーはカイン様、アリス、ウィルと私で、アルヴィン様が連れて行ってくれるという事だったので、お城にある王太子専用の応接室に集まっていた。

私は結婚式以降2人とは会えていなかったのだが、久しぶりに見た2人は少し疲れている様に見えた。


「ウィルは仕事で会うけどマリアンヌは久しぶりだね、元気にしてた?」

「はい、カイン様とアリスはその、お疲れのようですけど大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないわよ、仕事の忙しさというよりは気疲れなんだけど、何を話すにしても慎重にしないといけないからなかなか休めなくて、今日は久々の休暇だと思ってるわ」

「アリス、一応視察だからね」

「分かってるわ、言ってみただけよ」


王太子妃がどんなに大変かは想像でしか分からないけど、割と頻繁に毒が盛られたりするこの場所で、気軽に愚痴も言えない立場のアリスは結構なストレスが溜まっているようだった。

カイン様もそんなアリスを見て苦笑した後、私に「マリアンヌ、申し訳ないんだけど今日はアリスのそばに居てもらってもいいかな?」と頼んできた。

「私は構いませんが…」と言った後横にいるウィルの様子を窺うと、あからさまに嫌そうだった。

しかし今回ウィルは「仕方ないですね」とため息混じりに言うだけだったので、何かあるのかと思ったところで、アルヴィン様が部屋に来た。

アルヴィン様は来て早々「ちゃんとそろってるな、それじゃあ行くか」と言って指を鳴らし、次の瞬間私達はお城の馬車乗り場に移動していた。


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