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二次収容棟での生活

 俺はユキに近づく機会をうかがっていた。

 そして看守たちの行動を見張り、同じように独房へ閉じ込められている仲間たちから、できるだけの情報を集めた。

 仲間たちからの話を聞いて分かったこと、それはここで看守たちの命令を良く聞いて、模範囚と認められればユキの居る次の棟へ行けること。

 ユキの居る棟は通称“奴隷棟”と呼ばれ、毎月数十人の仲買人が訪れて競売にかけられるらしい。


 俺がここに来て最初に入った棟は一時収容棟。

 その中から、若いヤツや奴隷として見込みのあるヤツが、今俺の居る二次収容棟に入る事が出来る。

 ここでの厳しい訓練を乗り越えることが出来た者だけが、ユキの居る三次収容棟へ行けるが、不適格と判断されると元居た一時収容棟へ戻される。


 そして、その一時収容棟に居られるのは一定期間だけ。

 その期間が過ぎた者は居なくなる。

 決して外の世界に戻されることはないから、つまりこの世から抹殺されてしまうと言う事だ。


 仲間の話によると収容所にやって来たユキはしばらく一次収容棟にいたが、この二次収容棟に移されるなり誰よりも早くここを出て三次収容棟へ進んだ。

 俺は、その話を誇らしげに聞いていた。

 ユキなら当然だ。

 ユキは元々奴隷として過ごしていたし、その中でも特に優秀な奴隷だったのだから。

 しかし次の話を聞いた時、俺の浮かれた気持ちは凍り付いた。


 “ユキは今月行われる奴隷市に出されるだろう“と。


 三次収容棟へ進んだ者の、全員が奴隷市に出されるわけではない。

 たいていは、ここに入って2ヶ月から4ヶ月ほど訓練されて奴隷市に出される。

 しかも、その奴隷市で直ぐに買われる者も少ない。

 この二次収容棟では、毎回奴隷市で買われるか買われないかの、賭けをしているらしい。

 でも今回のユキの場合は、賭けから外されている。

 何故か?

 それは、全員が“買われる”方に賭けたから。

 確かに、その通りになると思う。


 だが、そうなると俺にはあまり残された時間が無いことになる。

 俺は模範囚として過ごし、奴隷として売られる道など望んでいないが、うかうかしてはいられない。

 早く奴らに認められて、三次収容棟へ行かなければ、ユキを助け出す前にユキが売られてしまう。


 “脱走は死を意味する”と以前ユキから聞いたことがある。


 監守たちは決して脱走者を許さない。

 だから、そいつも直ぐに追い詰められて捕まった。

 俺のしようとすることの先に“死”が有るのは分かっている。

 けれども、何とかユキだけは助けたい。


 二次収容棟での訓練は厳しい物だった。

 覚えられない事も沢山有った。

 俺は寝る間も惜しんで、訓練のあと、独房でひとり夜遅くまで復習をした。

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