1分程度で読める、掌編小説集です。「こちら」から、他の掌編小説を読みにいけます。
募金効果の一面
10円で救える命がある。
などといった言葉に覚えはないだろうか。
恵まれない地域への支援、援助を目的としたグループが、印象に残る言葉で募金を募る決まり文句である。
だがしかし待ってほしい。
いくら印象に残すためとはいえ、過大表現は良くないと思う。
確かに10円あれば、ワクチンを接種できる。バングラディシュでは、ご飯1食分を食べられる。
けれど、それらの補助がどれだけの効果になるのか。
ご飯は1食分あれば、一生救われるのか。そんな訳がない。
断食にも限界がある。そうなれば再び1食、つまり、10円が必要になる。
そうして食い繋いでいかなければ、生命は維持できない。
気まぐれに10円を募金しても、数日延命されるだけ。
その延命期間も、決して楽なものではない。また新たなお金がなければ、再び飢餓に襲われる。
10円で命をとりあえず繋ぐことに意味は無い。
繋がれている間に、飢餓や流行り病を根本的に解決しなければならない。
解決できないのであればそれは、苦しい人生を長引かせるだけに過ぎない。
あなたが募金をする際は、3つの選択肢があります。
少額を投入してとりあえず命を繋いでもらい、問題が解決されることを願う。
それか、今後一生困らないだけの金額を投入する。
……はたまた、つらい人生を断ち切ってあげるために募金をしない。
そのお金に、どんな願いを乗せますか?