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Babel Online   作者: 虹色橋
3/26

03

 さて、と。

 何よりもまずはインベントリの確認をしておきましょうか。

 どうやら食事に夢中でこちらに気がついて居ないようですし。

 一応、近くの木の陰に隠れてから、ええっと?

 

【防具・胴】布の服 レア:N 品質:E-

 着心地の悪い布の服。

【防具・足】革の靴 レア:N 品質:E-

 履き心地の悪い革の靴。


 武器はなし、と。うん。初期装備ですし、期待はしてません。むしろ人外スタートで防具があったのが驚きです。


【回復】初心者用ポーション レア:EX 品質:A

 HPを100回復する魔法薬。売却不可。

【回復】初心者用エーテル レア:EX 品質:A

MPを100回復する魔法薬。売却不可。

【回復】初心者用携帯食料 レア:EX 品質:A

 満腹度を20増加する携帯食料。売却不可。


 これはキャンペーンコードでもらった分の消耗品ですかね? それぞれ3つずつ所持していることになってますが。こういうのって普通、どこかでもらったりするものじゃないんですか? 普段やらないからわかりませんけど。

 

 所持品はこれだけですか。あとはオプションを弄っておくべきですかね。

 

 ミニマップ――オン

 キャラクターマーカー――オン

 

 キャラクターマーカーっていうのは、多分頭上のこれですよね? あっちで食事をしている人たちにはついて居ないみたいですし、プレイヤーを判別するためのマーカーですか。

 確かに、私はまだ比較的人型を保っていますが、スライムとか選択した人たちはこれがないと分かりませんよね。まあ、間違って倒されてもプレイヤーキルにはならないらしいですけど。


 表示設定は、残酷描写の設定とかあるんですか。

 残酷描写

オフ

 傷口や断面等に若干の修正がかかった状態で表示されます。

オン

 無修正で表示されます。


 んー、デフォルトがオンになっているのならオンのままで良いですね。


 副音声――オン

 人外プレイヤーの発言の主音声は魔物の声となり、副音声がプレイヤーの声になります。

 

 これはオンにしないと会話が出来ないじゃないですか。


 痛覚設定――25

 ダメージを負った場合に感じる痛みの強さを変更する事が出来ます。数値が大きい程よりリアルな痛みを味わうことが可能です。

 

 デフォルトで結構です。ドMじゃありませんので。


 確認すべき項目はこんなものですかね? とりあえず、敵との戦闘を始める前にこの辺りを軽く探索してみましょうか。ゲームの基本は探索からです。というか、ミニマップを表示したのはいいものの、自分の現在地点以外真っ白くて、マップが意味をなしていません。とりあえずマップを埋めからはじめましょう。

 もし戦闘が始まって勝てないようなら逃亡経路を確保しておかないといけませんし。逃げた先で新たな敵と出くわすのは避けておきたいですからね。


 こちらに気付いていないのか、それとも単純に同族だから襲われないのかはわかりませんが、探索をするには好都合です。



 とりあえず、一通り周辺を探索して初期地点に戻ってきました、が。もしかしなくても、この付近何もなくないですか?

 パッと見回した感じでも、辺り一面が木に覆われていて視界の通りも悪いですし。それに、魔物がうろうろしているせいで動ける範囲が限られていることが面倒です。

 

 あの魔物、多分私と同じイーターですよね? 動物の死体食べてましたし。

 ただ、人型とはいえあの姿は人間とは呼べないでしょう。

 両腕の長さが身長に対して極端に長すぎですし、身体全体に筋肉がほとんどないようです。ほぼ骨と皮だけのような感じで、皮膚全体が白く体毛もない。

 あれ。待ってください。私、ものすごくいやーな予感がしてきました。なんでしょう、冷汗がだらだらと出ているような感覚がします。


 いや、いや。そもそも目の前のアレがイーターだと決まったわけじゃありませんし? 

 もしかすると全然別の魔物の可能性だってあるわけですし? 先入観で情報を確定する程愚かではない、と自分では思っています。

 そうです、こんな時こそ鑑定の出番です。


 イーター Lv.5


 うっ。

 

 嫌な予感がしましたが、意を決してステータス画面を開き、今の自分の状態を確認してみます。


 やはり、嫌な予感というのものは総じて当たるものです。

 画面に表示されている私の分身は、目の前で徘徊している魔物とほぼ同じ姿をしていました。かろうじて違うのは、胸の部分の膨らみくらいですかね? 

 

 いや、何でですか! キャラクタークリエイトの画面じゃ普通の見た目だったじゃないですか! こんなの罠ですよ罠! 騙されました!


 こんなことなら他の種族にすれば良かったです。

 済んだことを今更ぐだぐだ言っても仕方ないですね。


 こちらを確認しても襲いかかってこないのは、同種族だからでしょうか? というか、貴方たちレベル高くないですか? 見えている範囲の魔物に片っ端から鑑定をかけて見ましたが、レベル5が一番低いってどういうことですか? 一番高いのに至ってはレベル10ですし。

 何も考えずに特攻しなくて本当に助かりました。とはいえ、このまま何もしないわけにもいきませんし。戦闘、してみますかね?

 武器を持っていないので、攻撃方法がAAオートアタックのみ? いやいや、流石にそんなわけないですよね?

 どこかに攻撃スキルがない、ですよね。ううむ、困りました。仕方がないですが、初期スキルから≪噛み付き≫を取得。≪捕食≫や≪悪食≫のスキルと考えるとこれが一番最適解な気がします。

 スキルタブの中には現時点で習得することが可能なスキルが並んでいました。種族スキルもありますけど、スキルポイントが0なので今は取ることが出来ませんね。

 無い物ねだりをしても仕方がないですし、とりあえずこれで戦闘を始めてみましょうか。


 おや? スキルを取得しているうちにどうやらまた食事を初めてしまいました。というか、今食べてるその動物は死体はどこから出てきました? とはいえ、これは好都合です。


 こっそりと近づいて、背後から思い切り噛み付いてみましょう。

 がぶっ。


 おろろろろろろろろろ。


 口の中に広がる不快感で思わずリバースしてしまいました。


 もしかすると部位が悪かったのかもしれません。場所を変えてもう一度噛み付いてみましょう。


 えいっ――おろろろろろろろろろ。


 二度目のリバースです。もうお嫁にいけないかもしれません。

 なんといえばいいのでしょうか、言葉にするならば腐った肉の中に埋め込まれたジェル状の汚水が口の中で弾けたような、そんな感覚が私の口内を襲ってきました。

 

 こちらにとって好都合なのは食べる事に夢中になっているせいか、あられもない姿を晒している私を見向きもしないことでしょうか。一応、イーターを囲むサークルの色が白から赤に変化しているので、戦闘状態にはなっていると思うのですが。これまでの反省を生かして、三度目は骨や皮の部分を噛み続けていると、イーターの頭上に表示されていたゲージがどんどんと減っていき、なくなった瞬間、どさりとその場に倒れ込んでしまいました。


 これで、倒せたみたいですね? うん、経験値も入っています。

 試しに、徘徊中のイーターも噛んでみますか。


 えいやっ。


 すぐ近くにいた徘徊途中のイーターへ噛み付くと、サークルが赤くなってこちらへと襲いかかってきました。

 やっぱり食事を優先するみた――ぐぅっ!? ちょ、ちょっと待ってください! いたいっ! 一発で体力を半分程持って行かれました! 少し距離を取りながら鑑定を――ってレベル9!?

 や、やばいです。出来るだけ早く逃げないと死んでしまいます! 


「ちょっ、まっ……!」


 敵を見てから一目散に逃げだそうとしましたが、どうやら逃げる方向が悪かったようで。私の進行方向には道を塞ぐようにもう一体のイーターが立ちはだかっていました。

 あっ、良いことを思いつきました。

 逃げるスピードを落とし、ギリギリ追いつかれないように正面のイーターを方へと向かって走って行く。直前まで、引きつけてから……まだ、まだ行けます――いまっ! その場で急ブレーキを掛けて、真横へ飛ぶ。背後から私を追いかけて来ていたイーターは止まることも出来ずに、そのままもう一体に衝突しました。

 体当たりが攻撃と見なされたのか、互いに攻撃を始めてしまいました。今のうちに距離を取りましょう。


 ふぅ。相手のレベルを見ずに攻撃を仕掛けたのは軽率でした。流石に、あれだけレベル差があると、受けるダメージも一発一発が致命傷になりますか。

 とりあえず、目下の目的は低レベル帯のモンスターを倒しながら、地図を埋めていくことですかね。食事が始まったタイミングで殴りかかれば無傷で倒せそうですし。

 ああ、でもその前に体力を回復しておかないと。一定時間で自然回復していくとはいえ、回復量も微々たるものですし、もし仮に事故が起きた場合この体力が死にかねませんからね。

 

 アイテムから、ポーションを選択して――使用。

 あれ? なんか変なマークがつつきました。なんでしょうこれ。


 ステータスを確認してみると、いつの間にか『体力自動回復(小)』というバフがついていますね? あっ! これってもしかして《捕食》の効果ですか?

 それ以外に考えられませんね。

 このスキル、アクティブではなくパッシブですか。微妙に使い勝手が悪いですね。この付与される効果は重複するのでしょうか? それとも上書き?


 流石に、エーテルや携帯食料を使って試すのは勿体ないですし。

 効果はアイテムに余裕が出来た時に検証してみましょう。



 さっきは放置せざるを得なかったモンスターの徘徊範囲内や、マップの隅っこの微妙な空白部分を埋めながら、森を彷徨う。先程とほぼ変わらず、あるのはひたすら木や草花だけですけれど。

 マッピングの途中に、食事中のイーターを発見しては後から殴りかかる事をひらすら繰り返していると。


『レベルが上がりました』


 と、システムメッセージが表示されました。

 ええっと、最初のを含めると5体目でレベルアップですかね? なるべく、レベルの低い奴ばっかりを狙っていましたが、無傷で倒せるのでレベリングが苦になりませんね。あと、途中で幾つかドロップもありました。


【素材】欠けている牙 レア:N 品質:F

先端部分が欠けてしまっている牙。


【素材】鋭い牙 レア:N 品質:F

先端が鋭く尖っている。噛まれると痛い。


 現状、使い道が全く見えてきませんが貰えるものは頂いておくのが私の信条です。インベントリを圧迫するような量でもないですし。本音を言えば、肉とかをドロップして欲しかったのですが。

 ひょろひょろの肉体からドロップする肉なんて、絶対筋張ってて美味しくないに決まってます。


 っと、そろそろ夕食の時間ですね。

 一区切りつきましたし、一度切り上げますか。


 お姉様は夕食の時間になっても姿を現さなかったので、一人で夕食を食べてお姉様の分はラップをかけて冷蔵庫の中へ。

 一応書き置きをしてから、洗い物をお風呂を済ませてマッピングを再開。

 ほとんど埋めたところで、日付が変わりそうだったので初期地点に戻ってからログアウトです。明日はそろそろ別の所へでも行ってみましょうかね?


 コフィンから出て、トイレを済ませてからベッドへダイブです。

 ふかふかのお布団がとっても気持ちいいですね。


 おやすみなさい。

ゲームを始めて一番最初にすることはキーバインドの設定派です。

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