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Babel Online   作者: 虹色橋
12/26

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 日曜日、朝。

 今日はお母様が夜までお仕事でいないので、朝からバベルオンラインに潜ることが出来ます。軽めの朝食を取ってから、コフィンへと潜りこむ。


 視界が真っ暗になったかと思うと、いつものようにバベルオンラインを起動すると、見慣れないポップアップが出て来ました。


『パッチノート1.0.1のお知らせ』


 ポップアップにはそう書かれています。

 このパッチの当て方だと、結構刻むんですかね……?

 何はともあれパッチノートを確認してみましょうか。


『イベント「占領戦」の実装や不具合修正などが行われます』

 

 イベント関連

◆新たなイベントが追加されます。

 イベント「占領戦」の追加

 レベル制限:レベル15以上から参加可能

 制限時間:15分

 人数制限:16人限定

占領戦に参加すると、人類側と人外側でチームに分かれそれぞれのスタート地点から、60秒後に対戦がスタートします。

 ※なんらかの原因でコンテンツに入れないキャラクターが存在し、対戦開始時点までに規定人数が揃わなかった場合、自動的に全員が退出します。

 占領戦では、戦闘不能になった場合でも一定時間経過すれば、何度でもスタート地点から再出撃することが出来ます。また、再出撃時には、短時間の「無敵」バフが付与された状態で復帰します。

 ◇勝利条件

 敵勢力のチケットカウントを0にする事。

 マップ上に存在している拠点を占領することで、敵チームのチケットカウントが時間経過と共に減少していきます。

 また、プレイヤーが死亡し、再出撃した場合でもチケットカウントが減少していきます。


◆不具合修正

 以下の不具合が修正されます。

 一部スキルが特定の条件下で使用することが出来なくなくなる。

 一部種族において、進化条件を満たしているにも関わらず進化先が解放されない。


 ふむふむ。

 イベントはやはり占領戦ですか。

 16VS16ですか。なんというか、普通にドミネーションですね、これ。リスポーン時の無敵はリスキルを防ぐためでしょう。

 レベル制限ありとはいえ、確か昨日の時点で既にレベルは14まで上がっていたはずなので、こちらは問題ない、と。

 今すぐにパッチが当たるというわけでも無さそうですが、早めにレベリングを済ませておいた方が良いことに変わりはないでしょう。

 

不具合修正のほうは、とりあえず私にこの現象は起きていないので問題なさそうですね。まあ、リリース開始日から十日程経ったのにこの不具合の少なさは珍しいです。運営どころか、プレイヤーですら把握出来ていない不具合が大量に存在しているという線の方が濃厚かもしれませんが、少なくとも私はそんなバグには出会っていないので今の所セーフです。

 世の中にはパッチを当ててバグを一つ無くした代わりに十のバグを追加する運営もありますし。

 

確かに、昨今のゲーム事情からしてみればバグを完全に無くすというのはほぼ不可能に近いでしょう。というか、どうしてもバグを探し出したいユーザーも一定層いるわけですし。最近はどのゲームも基本的にはネットワークを通じている事が前提条件になりつつもあるわけで。そのおかげである程度のバグはパッチで修正されてしまうようになってしまいましたしね。


 意図的にバグを起こすような人間も世の中にはいるでしょうし……運営にバレたら即BAN……とはいかないまでも一時停止措置を取られるでしょうけど。


 まあ、私は別に誰がバグを使って不正をしようが、自分に関係のない所でやるなら勝手にしてください、というスタンスで生きてるので。

 それこそ、チーターが居るだけでゲームにならなくなるFPSでもないですしね。しいていうならPvPでスキルの威力増加チートとか使われたらたまったものじゃありませんが、流石に運営がそこまで甘いわけないでしょうし。

 自動レベリングとかも、突き詰めればこういうタイプのゲームはいかに触り続けているか、というのが大事になって来ますしね。

 レベルを上げただけで強くなれるのであれば、苦労はしません。

 如何に自分が最適な動きが出来るか、というのはやはり実践経験に勝るものはないのです。

 こちらのアクションに対して常に一定のリアクションをするAIならまだしも、相手は私と同じ人間で、考える能力を有しているのです。重要なのは、こちらの動きに対して相手がどう動くか……そして、予期せぬ相手の動きに対して最適解を返すことが出来るか。

対人ゲームで私の師匠によく言われていた、「相手の嫌がる事をやり続けろ」という言葉ですが、今で心に刻みついています。

 私の場合は、自分がされて嫌な事を相手にやり続けるというスタンスでしたが、それはあくまで私と似通ったスタンスの相手であることが大前提になっています。

 どちらかというと、相手に自分の得意を押し付けるといった方が正しいかもしれません。

 対人戦を上手くなろう、と思ってる人はまずそこから学んでいくべきです。上手な人間にはそれなりの理由があるわけで。チートでいくらズルをした所で、肝心要のプレイヤースキルは全く上がりませんし。 

チーターなんて、放っておけば飽きていなくなるでしょう。

それよりも、今はレベリングの方が重要です。


 んー、と。とりあえず、やっておくべき事といえば。少なくとも15レべまで上げないといけないですし、クエストを適当に受けつつ素材集めですかね。

 ここ一週間近くはどちらかというと、料理や鑑定のスキルレベル上げの方に専念していたので、割と上がってますし。料理素材の採集の副産物でキャラレベルも上がりましたけど。どうせなら、次の進化先も見てみたいですし。

 

進化タブを開いて確認してみても、このルートの進化先の条件が全く開示されていないんですよねえ。エクストラ種族だからなのかもしれませんが。

 一回一回進化する度に特殊なアイテムが必要なのでしょうか?

 いや、それはそれで面倒なので御免被りたいのですが。

 まずは20レべ程度までレベリングをしてみますか。最初の進化は10レべでしたし、刻むなら10ずつだと思いますし。それに、このルートじゃなくて他の進化先で面白い種族が見つかるかもしれませんしね。


 前回のログアウト場所は変わらず宿屋だったので、一階へと降りてクエストボードを確認。

 んー、と。レベリングをしないといけないから、討伐系のクエストを適当に受注しておいて。それから、カウンターに行ってマクアさんにクエストで指定されてアイテムを納品。

 先程、受注した討伐クエストを受けに行こうと思っていたら、マクアさんに声を掛けられ引き留められてしまいました。


「あ~。レイヴンさんちょっとお待ちください~。先程のクエストでレイヴンさんの冒険者ランクがFからEに上がりましたので、ギルドカードの更新をしておきました~。それに伴って受注できるクエストが増えておりますので、気が付いた時にでもクエストボードを確認してみては如何でしょう~」

「ありがとうございます」

「いえ~。それではお気をつけて~」


 ふむ……。マクアさんに言われるがままにクエストボードの覗いてみましたが……討伐系クエストのモンスターレベルが結構上がったりしてますね。流石にこのレベルで受けるのは無茶だったりしますかね……?

 ま、ものは試しですし。一度受けてみましょうか。ダメならレベルを上げればいいだけですし。

 このクエストの討伐目標は、マンティス……? マンティスって何でしたっけ? 四足歩行の人面犬のような奴の名前でしたっけ? いや、あれはマンティコアですよね確か。

 マンティス……マンティス……サイコ・マンティスは関係なさそうですし。

 うーむ、分かりません。諦めましょう。

 うだうだ考えるよりも、実際に見た方が早そうです。

 マップは絡の森ですか。ということは、痩せこけた原野の隣ですね。レベリング途中に少しだけマップ内に立ち寄ってみましたが、出てくるモンスターが虫系統だったので、料理スキルのレベリングに向いて向いてないと思って探索を中断したんですよね。


いや、虫を食べられないっていうわけじゃありませんけどね。ついでに虫を食べるといってよく引き合いに出されているサソリや蜘蛛ですが、あれは広義的に昆虫ではないので、昆虫食と言えません。日本でメジャーな昆虫食と言えば、やはりイナゴの佃煮でしょう。長野県にはソフトクリームの上にイナゴをトッピングした、バッタソフトなるものが販売されているそうですが、なぜそれを掛け合わせようと思ったのでしょうか?


 普段から食べなれている長野県民に向けて販売するのならまだしも、諏訪湖周辺で販売しているあたり、観光客を狙っているっぽいですし。確かに、目論見通り、SNSなどで結構見かけたことはあります。いざ、実食しようとなると、流石に手が止まりそうな気配がぷんぷんしてきます。


 っと、いけませんいけません。食べる前から怯えてしまっては、食べられる虫さんにも面目が立ちませんし。流石に、初めから現実で食べるのには些か抵抗があるので、ゲーム内からチャレンジすることになりそうですが。


 一応、確認出来たエネミーはグラスホッパー。まあ、バッタですね。有名な小説ではありません。

 今の所それしか見ていないので、何とも言えませんが。

 でも、バッタであればまだ食べられそうですし。


 そもそも、バッタの部位が食材として手に入るかどうかはまだ確定していませんけどね。

 いや、たぶんこの流れだと食べることになるんでしょうけど。


 何はともあれ、行ってみない事にはわかりません。

 とりあえず宿屋から出て、痩せこけた原野へと。痩せこけた原野から更に西方面へ行けば、絡の森へと到着です。


 痩せこけた原野については、料理スキルのレベリングのついでに探索も終わらせてしまいましたが、特に面白いギミック見つかりませんでした。とはいえ、別段念入りに探したわけではないので、何かがあるかもしれませんが。

 一通りのマッピングは終わらせてしまっていますし、今日は素通りです。


 すたすたと、マップの中央を歩きつつ、絡の森を目指す。

 街から近いせいでしょうか、道中、遠くでモンスターと交戦している人(?)を結構見かけましたが、そのままスルーして絡の森へと到着です。


 うー。一度来たきりになっていましたが、やぱり森というだけあって割とジメジメしていますね。

 鬱蒼と生い茂る木々の隙間にを縫うようにして、森の中へと侵入していく。

 辛うじて歩ける程度の獣道しかないせいか、非常に歩きにくいあげく、生い茂った木々が視界を遮るように生えているせいで、敵の姿も良く見えません。

 草木を手で掻き分けながら先へと進んでいると、横からガサゴソと物音と共に茂みから大きなバッタが飛び出してきました。


 う、わ……!?

 待って待って、ちょ、造形がリアルで、ひえっ!?

 目の前に飛びだしてきたバッタを避けるために無理な体制を取ってしまったせいで、無様にも地面に寝てしまう形になってしまいました。


 私の名誉のために言っておきますが、唯のバッタに驚いたわけではありませんからね?

 私が事前に見ていたバッタというのは、あくまで小さかったんです。大きさで言えば小型犬程のサイズしかなかったのですが。いや、小型犬程度でも十分大きいんですけど。

 今、目の前にいるバッタはそれよりも大きく、大型のワニくらいの大きさが――いや、流石に大きくないですか!?

 グラスホッパーじゃ、ない?

 目の前にいる大きなバッタを鑑定し、表示された名前はグラスホッパーではなく。


『ローカスタ Lv18』


 と、書かれていました。

 ローカスタ……ああ、トノサマバッタですか。だからこれほどの大きさが。っていや! 仮にトノサマバッタだとしても大きすぎるでしょう。

 とっと、突っ込んでる場合じゃありません。逃げるか戦うか。

 レベル差が4というのは結構厳しいものがありますし、回復アイテムもそこまでもってきてない。

 あ、これ、ダメだ。逃げられない。攻撃してないから、大丈夫。なんて思っていましたけど、既にこのバッタ戦闘態勢に移行してますね、これ。


 そうなれば、先手必勝。既に、先手を打たれてしまった感が否めないですが、レベル差的にダメージ交換もしてられないでしょうから。

 素早く刀を抜いて、攻撃を繰り出した私の攻撃は、先程まで目の前にいたローカスタを捉えることはありませんでした。

 私の攻撃を避けるかの様に、ローカスタは飛び出してきた茂み中へと戻っていきました。逃げたローカスタを追いかけるように、茂みをかき分けて先へと進んで行くと。


 目の前に――巨大なカマキリが現れました。

 巨大な二対の鎌。

 その鎌の間には、私が追いかけて来たはずのローカスタががっちりとホールドされていました。


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