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雨と涙

作者: 夏目洋介

◇雨と涙◇


一人、クリスマスの街を歩く


きらびやかな街灯


華やかな衣装に包まれた笑顔の女の人たち


それを優しく見守る笑顔の男の人たち


彼らにはスポットライトのように光が降り注ぐ


私は彼らの影を歩く


一人きりの私には光は決して注がない


〜〜


「別れよう」


たった5文字の言葉によって私は光に嫌われた


何度も何度も私は彼にお願いをした


「何でもするから」


「悪いところがあるなら治すから」


「お願いだから・・・別れないで」


ありったけの言葉も彼の心には届かなかった


〜〜


ふと、店のショーウインドーを覗き込む


サンタさんが優しい表情で私を見る


ジングルベルが鳴り響く


幸せな街が私をいっそう惨めにする


涙が流れた


とめどなく涙が流れた


冷たい頬に冷たい涙が流れる


体も心もとっても寒くて固まっているのに


涙だけは固まってはくれない


周りの視線が気になり


すそで涙をぬぐって顔を上に向けた


ポツリ


頬に涙とは違う冷たい雫が落ちた


あ、雨だ


ポツリポツリと雨が強くなっていく


少しの間も立たずにどしゃぶりになった


みんな雨から逃れようと街中を駆け回る


私はその中を一人、上を向いて立ちすくむ


「神様も泣いてくれているのかな」


私の涙は雨によって流される


雨の雫が心にも、体にも満たされていく


「雨よ


 決してやまないで


 私の涙が枯れるまで」


「雨よ


 決してやまないで


 私の心が満たされるまで」


クリスマスの夜


冷たく、優しい雨は


決してやむことなく私に降り注いだ





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