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三人でいろんなことを語り合ってしまったので、家に帰ってきたときにはかなり日が傾いていました。時刻なんてわからないですけど。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい。遅かったわね」
いつものようにキッチンではおば様が出迎えてくれました。
「友人と話をしていたら、遅くなってしまいました。これ、お土産です」
「ありがとう、地下で冷やしておくわね。夕食、もう出来ているわよ」
おば様に先ほどルーテの家から頂いた果実を渡し、席に着きます。
今日の夕ご飯は、焼いた鶏肉と野菜の盛り合わせです。
「久しぶりに新鮮な鶏肉が手に入ったんですね」
「ええ、貴重なお肉なんだから味わって食べなさい」
この町では、お肉はたまにしか手に入りません。隣町まで行けば手に入るのかもしれませんが、その分お値段は高くなります。
大量生産、大量消費が出来ない以上、食卓に並ぶのは大体がミルクがでなくなった牛や、卵を産まなくなった鳥、動けなくなった馬たちです。
一見彼らを殺して食べるということは私にとって気が引けることでしたが、そんなことを思っている暇さえないことを、この数ヶ月間で嫌というほど実感させられました。
だからこそ、私のために死んでいった動物たちに感謝なのです。
「頂きます」
一度手を合わせた後、私は焼いた鳥の肉をナイフで切り分けて頬張ります。少し硬いのですが、自然の中で育った彼らはとてもおいしいのです。
私は今日も残さず食べ終わりました。
「ごちそうさまでした」
そう言ってもう一度手を合わせます。それを見ておば様が不思議そうな顔をしていました。
「それって何の儀式なのかしら?」
儀式? ああ、儀式ですね……。あまりに自然にやってしまうことなので忘れそうになります。
「これは食べ物に対して感謝の意を示す……おまじないみたいなものですよ」
私がそう説明すると、おば様は納得したような顔をしました。
「ふぅん、あなたの国って結構律儀なのね。ところで、今日も蝋燭を使うのでしょう?」
そう言って、おば様は数本の蝋燭を机に置きました。この町では、日が昇った時に起きて落ちたら寝るというサイクルのため明かりは必要ないのですが、私には無理なので残りの時間を蝋燭を使ってすごします。町のみんなには「起きるの遅いね」と言われてしまうのですが、朝に弱い私はどうしようもないです。
おば様も遅くまで起きる人なので蝋燭は常備しています。電気がないと夜遅くまで起きるのもつらいですね……。
「ありがとうございます。今回も使わせていただきますね」
そう言い残して、私は自分の部屋に戻りました。




