唸れ、ダブルグングニル!!
どうも、東方転妹録最新話です!!
今回はさとり視点onlyで進みますよ!
……珍しく、色んな意味でさとりが絶叫します…………!
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー少し前、白玉楼大部屋。
ーーーーside さとり
「……それで、ここにいればフランは来るのね?」
「当たり前じゃな〜い!
ゆか「はいはい、紫はもう寝てなさいな」りん……って、幽々子〜、良いとこで止めないでよ〜!」
「前に酔っぱらった時はこうじゃなかったのに……」
「きっと、前より飲んでるのかー……」
大きな御屋敷の一室、そこにはフランを除いた紅魔館の管理者全員と八雲紫、以前八雲紫の所に戻っていた八雲藍、そしてこの屋敷……白玉楼の主である西行寺幽々子がいる。
……フランがスキマに呑み込まれた後、すぐに八雲紫は私達を別のスキマに呑み込んだ。
そして、スキマから出た場所には八雲藍と西行寺幽々子がいたのだけれど…………どうやら八雲紫の独断専行だったらしく、初っぱなから私達は弾幕を浴びるはめになってしまった。
まぁ、すぐに八雲藍が止めてくれたおかげで、私達の盾に『なった』美鈴が犠牲になっただけで済んだけれど…………。
「……だ、誰か…………妖気を、分けて……下さ、い……!!」
「さっきから妖気は分け与えているんだが…………再生に一体どれ程妖力を費やしたらここまで妖力が尽きるんだ?」
「藍、さんと、西……行、寺さん、の…………回、避も、せ、ず……弾幕を、喰ら、い……続け、たら、こう、なり…………ます……!」
「途切れ途切れで分かりづらいわね。
ほら、美鈴、手を貸しなさい。
私が直々に妖力を分けてあげるわ」
そう言いながら美鈴の手を取り、ゆっくりと妖力を流し込むレミリア。
先ほどまで飲んでいた日本酒もそのままに、美鈴を見ながら静かに妖力を分け与える姿は、本当に優しい姿だ。
……口では上から目線だったりしますが、やはりレミリアは根が優しいですね。
だから、フランの影響抜きで考えても周りに人妖問わず集まるのでしょう。
……はぁ……スカーレット姉妹、早く手中に収めたいですね……!
「えっと、さとりさん?
なんだか視線が強くなっていらっしゃらない?」
「あ、いえ、なんでもありませんからお気になさらないで下さい、西行寺さん!」
……色々と危ない所でしたね。
まだ出会ってそんなに時間が経ってはいませんが、西行寺幽々子に関して分かった事は、異性愛であれ同性愛であれ、恋愛事には非常に初だということです。
まぁ、他の面では強かではありますが……。
……そのような理由からどうやら今、人一倍恋愛事には興味があるらしく事あるごとに私とレミリアを弄ってくるので、それを回避するのがとても大変です…………!
「でも今の視線って、あれでしょう?
えっと、紫が言ってたのは確か…………あっ、欲情した時の視線!」
「西行寺さん!? 欲情まではしてませんよ!!!?」
「ちょっ、さとり!?
貴女、欲情するのはせめて夜にしときなさいよ!!!?」
「ま、待ってくださいレミリア!!
誤解です、私は欲情までしてません!!!!」
……八雲紫が原因とはいえ、西行寺幽々子の天然っぷりはどうにかならないでしょうか?
フランの鈍感天然もキツいですが、これもこれでキツすぎます……!!
そうやって私達が騒いでいると、突然部屋の外に何かがぶつかる音がした……。
ーーー……ドゴォ、ズシャァァァァァァ!!!!
「っ!? な、なんなのだー!?」
「庭の方から大きい音がしたよ!?」
音にいち早く反応したルーミアとこいしが声をあげる。
それを聞きながら私と西行寺幽々子が庭に面する襖を開けると、そこには…………。
「あら、これは……槍?
……うぅ〜ん、見たことが無いわね」
「……なっ、こ、これは!!
レミリア!! こっちに来てください、早く!!!!」
「そんなに騒いでどうしたの、さとり?
……ルーミア、こいし、私の代わりに美鈴に妖力を分け与えて頂戴」
「「う、うん……」」
レミリアが立ち上がりながら美鈴の手をこいしとルーミアに託し、こちらに歩いて来ている間、私は少しも落ち着けなかった。
何故なら、白玉楼の庭に突き刺さっている槍は…………!
「なっ、グ、グングニル!!!?
……ルーミア、こいし!!
貴女達はここで美鈴の治療をしながら待っていなさい!!
さとり、グングニルが傾いている方に行くわよ!!!!」
「分かりましたレミリア!!
西行寺さんもここで待っていて下さい!!」
他の皆の返事も聞かないまま部屋を飛び出す私とレミリア。
するとすぐにレミリアは私の体を抱え込んだかと思うと、グングニルを回収しながらグングニルが傾いていた方向…………白玉楼の門の方へと全速力で飛び始める。
そして、閉じた門を開ける時間も惜しんだレミリアが門を飛び越えた先、そこにあったのは…………。
「…………フ、フラン?
そんな、どうして……!?」
バラバラに切り裂かれたフランの体の欠片が散らばっている光景だった……。
「むっ、中から出てきたということは客人の方々か?
これは見苦しい光景をお見せしてしまい、申し訳ございませぬ。
今すぐ片付ける故、暫しお待ち「黙れぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」っ、ぬぉぉ!?」
「えっ、お祖父様!?」
客人である私達に丁寧に対応する老人。
しかし、その手に血が滴る刀を認めた瞬間、レミリアは私を放り出しながらグングニルを構えて突撃した。
「貴様がフランを傷付けたのかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「お、お待ちくだされ!!
そのフランというのは、あの誘拐犯のことか!!!?」
「お祖父様、フランさんは誘拐犯じゃありません!!
私を白玉楼まで連れてきてくれたんですよ!!!?」
「な、なにぃぃぃ!!!?」
どうやら老人はフランのことを誘拐犯だと勘違いをして襲ったらしい。
レミリアのグングニルを二刀流で捌きながら、老人は小さい女の子の証言に驚きを隠せないでいた。
……例え女の子を守ろうとしたとしても、勘違いだったとしても…………フランを傷付けたことは、絶対に許せません!!!!
「『想起、スピア・ザ・グングニル』!!!!
……覚悟しなさい、辻斬り翁!!!!
『想起、スターボウブレイク』!!!!!!」
「フランが受けた痛み、千倍にして返してやる!!!!
『千本の針の山』!!!!!!」
「ぐぅぅ、身動きが……!?」
レミリアの突き刺すような拡散型弾幕の間を縫うように進む私の弾幕。
ただでさえ弾幕に隙間が無くなっているのに、さらに少しだけ残った隙間から私達が持つ二本のグングニルが襲いかかる。
「さぁ、これで終わりよ!!!!」
「……辻斬り翁、覚悟!!!!」
「し、しまったぁぁぁ!!!!!?」
「あっ、お祖父様ぁぁぁぁ!!!?」
徐々に追い詰められた辻斬り翁。
そしてとうとう辻斬り翁は何処にも逃げ道がなくなり、その上弾幕に刀を二本とも抑えられ無防備になる。
その隙を狙って、私とレミリアが心臓目掛けグングニルを突き出した。
……しかし…………。
ーーー……ガキィィィィィィィィィン!!!!!!
「「「…………えっ?」」」
「なっ、お、おぬしは……!!」
……私とレミリアが突き出した二本のグングニルを、腹で器用に受け止める曲がりくねった杖のような剣。
その剣を握る手に沿って見上げていくと…………体の再生を終えた、血濡れのフランがいた……。
「……そこまでだよ、御姉様、さとり。
私はもう大丈夫だから、妖忌を殺したらダメ!」
「で、でも、幾ら私達吸血鬼が体の一片でも残っていれば再生できるとはいえ、この辻斬り翁はフランを酷く傷付けたのよ!?
せめて腕の一本くらい……!」
「ダメったらダメなの御姉様!!
そんなに言うなら、今度は私が相手になるよ!?」
「……分かったわフラン。
もうやめるから、フランもレーヴァテインを下ろして頂戴」
辻斬り翁は血濡れになった原因なのに、その辻斬り翁を庇うフラン。
フランのことだから何か理由があるとは思うが、それでも私とレミリアは渋々といった感じでグングニルを下におろす。
「……フ、フ、フ、フランさんが生き返ったぁぁぁぁぁ!!!!!?」
「……おぬし、化け物か?」
「あら、今度は言葉でフランを傷付けるつもりですか?
それなら私が……」
「もう! ダメって言ったでしょさとり!!
はい、しばらく静かにしててね!」
「む、むぅぅぅぅ!?」
フランに失礼な事を言った辻斬り翁に言い返そうとすると、後ろからフランに両手で口を塞がれる。
……一応の抵抗は見せながらも、私はフランの柔らかい手の感触を味わっていた。
「とりあえずフランも再生したことだし、一度中に戻るわよ。
……さとりが羨ましいわね」
「むぅ、むむぅ……!」
「ひゃっ!? さ、さとり、手のひらを舐めないで!?」
「さとり、私にもやらせなさい!!!!」
フランの手のひらを今度は舌で味わっていると、正面から飛び込んでくるレミリア。
位置的にレミリアはフランの手の甲を舐めることになり、私とレミリアがフランの両手を挟んでキスをしているような形になっている。
……この状況、たまりませんね!!
放心している辻斬り翁と小さい女の子が我に還るまで、こうしておくことにしましょう。
……結局辻斬り翁と小さい女の子は我に還らず、様子を見に来た西行寺幽々子に私達は弄られることになったのだった。
ーーーーー
以上、姉二人の逆襲回でした!!
……普通ならレミリア達が永遠に復讐を誓うようなシチュですが、フランの再生能力を知っていたおかげで止められたら止まりました!
理由については、次回さらりと言います!
それではまた次回にてお会いしましょう!




