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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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守った姉の誇りと、桜と散った吸血鬼

どうも、東方転妹録最新話です!!



まず初めに、皆さん、明けましておめでとうございます!!

今年も一年、よろしくお願い致します!!




さて、今回は再びガチバトル回です!

……新年早々フランがヤバイことになりますが。



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪


ーーーーー螺旋階段。

ーーーーside フラン



一直線に現れたかと思うとすぐに拡散する火花。

火花と同時に聞こえる鋭い金属音。

……そして、宙に舞う一本の刀。



ーーー……ュンヒュン、ザシュ!!


「…………なっ!?」



妖夢の後ろに落ち、地面に突き刺さる刀。

その突き刺さる音と共に自分の手に刀が握られてないことに気付いた妖夢は、思わず呆けてしまっていた……。

……よし、刀を折らずに弾けた!



「はい、これでおしまい!」


「えっ!? あっ、な、何を!?」



刀を折らないよう力加減が出来たことに安堵しながら、私はまだ幼い妖夢を抱き上げる。

妖夢は初めこそ抵抗していたけど無駄な抵抗だと気付いたのだろう、次第に抵抗が弱くなり、遂に抵抗をやめて大人しく私に抱かれるようになった。



「どうかな、私の居合い、中々強かったでしょ?」


「初めは隙だらけのように見えたのに…………あんな鋭い一撃を出してくるなんて……」


「アハッ、妖夢は真面目なんだね!

……ああいうのは駆け引きって言うんだよ。

敢えて隙を見せて、自分の欲しい所に相手を引き寄せる、一番単純な駆け引き」



どうやら妖夢は刀の技術こそあれど、心理戦は知らなかったらしい。

……まぁここまで剣術を磨いているのだ、妖忌も戦場での心構えまでは教える時間が無かったのだろう。

もちろん剣士としての心構えは伝えているはずだけど。



ーーー……ズシュッ!


「はい、鞘に直して?」


「あ、ありがとうございます……」



妖夢を一度下ろして歩を進め、地面に刺さる刀を引き抜く。

それを妖夢に受け渡すと、妖夢は戸惑いつつもしっかりとお礼を言ってくれた。

……うん、ちゃんとお礼を言えるのは大切!

変に真面目過ぎる所はあるみたいだけど、妖夢のこういう所は偉いね!



「どういたしまして!

さて、私もグングニルを回収しとかないと!」


「あっ、あの槍ですか?

……えっと、もしかして貴女は棒術以外に、槍術も…………?」


「ううん、私が使えるのは居合いだけだよ!

後は全部我流だもん!

それと、一応言っておくけどレーヴァテインは剣だからね?

『魔剣』、レーヴァテイン……」



……ま、まぁレーヴァテインの見た目は杖か棒だもんね。

グングニルはそのまま槍だから…………うん、しょうがないや。



ーーー……ズシュッ!


「それ、棒じゃなくて剣だったんですね。

しかも魔剣、妖刀の類いですか……」


「うん、一応ちゃんと名のある魔剣なんだけど……。

まぁ、いつも間違えられるから棒や杖でもいいけどね」



半円型の棒を二つ繋ぎ、両端にスペードのマークのような切っ先を付けた形のレーヴァテイン。これはこれで並みの剣以上の切れ味を誇るんだけど……。

……別に、気にしてなんかないもん…………。



「あの、間違えてすみません……。

貴女の相棒の片割れなのに……」


「気にしなくてもいいよ、妖夢。

私も別に気にしてないから!

あっ、後この槍は私の御姉様のだから、私の相棒はレーヴァテインだけだよ!」



明るく笑いながらレーヴァテインを還し、グングニルだけを手に持つ。

そして、再び私は片手で妖夢を抱き上げた。



「それじゃあ妖夢のお家に行こっか!

妖夢、疲れているみたいだから私が連れていってあげる!

……あ、それと私の名前はフランドール、吸血鬼のフランドール・スカーレット!!

フランって呼んでね!!」


「えっ、あっ、重ね重ねありがとうございます!

フランさんですね…………これからよろしくお願いいたします!!」



……妖夢の溜めが凄く気になったけど……気にしなくても、大丈夫、だよね?

なんだか妖夢の顔が赤くなってるけど、うん、大丈夫!

きっと大丈夫……のはず!!



「それじゃあ行こっか!

道案内よろしくね、妖夢!」


「はい! 任せてくださいフランさん!!」




元気よく返事をする妖夢に、私は笑いかえしながら空に飛び上がる。

……そして私は妖夢の視線を感じながらも、道案内に従って飛び続けていった……。










ーーーーー数分後、白玉楼。



堂々たる貫禄が伝わってくる和風の門。

その奥に見える屋敷は、紅魔館より遥かに大きく見える……。

……それにしても、この白い浮遊体はなんだろう?

きっと霊魂だとは思うんだけど……。



「ここが私と私の祖父が住み込みでお仕えしている白玉楼です!

因みにこの辺りは現世ではなく冥界になっていて、白玉楼の主である西行寺幽々子様が冥界を管理してるんですよ!!」


「そうなんだぁ……!

冥界って薄暗いイメージがあったけど、桜が映えるくらい明るいんだね!」



妖夢の案内(ひたすら階段沿いに進んだだけだけど)の途中も、道沿いに沢山桜が咲いていて壮観だった。

しかし、恐らく白玉楼の庭に咲いているであろう桜は、塀の反対側から見ても大きいと思うくらい立派に育っていて、門の外から見るだけでも先ほどの桜並木より素晴らしいと思える。

……妖忌、剣術が凄いってイメージしかなかったけど庭師としても凄いんだね!

いつか、妖夢の手入れした桜を見てみたいなぁ……!



「桜は私の祖父が手入れしてるんです!

剣士としても庭師としても、私が尊敬する最高の祖父なんですよ!!」


「アハハッ! 妖夢はお祖父ちゃんが大好きなんだね!!

……でも、私は妖夢の手入れした桜も見てみたいなぁ!」


「えっ、う、あぅ、は、はははい!!

い、いつか、いつか一人前の庭師になったらフランさんに見せてあげますね!!

そ、それと……私が剣士としても一人前になったら、また、勝負してくれますか…………?」


「うん、妖夢が一人前になるのを楽しみにしてるね!!

今度は私も居合い以外の技を使えるようになっとくよ!!」



笑い合う私と妖夢の間に流れる、穏やかな暖かい雰囲気。

そうしてお互いに未来へ期待の思いを馳せていると…………突然、殺気ではない何か強い気迫を感じた。



「……貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!

儂の孫から離れぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!!」


「なっ…………!?」

ーーーーーガキィィィィィィ!!!!!!



声がした方に咄嗟にグングニルを突き出すと、切っ先に一本、刃の付け根に一本の合計二本の刀がぶつかっていた。

……お、重すぎる!?

早く振り払わないと押し切られちゃう!!!!



ーーーキィン!! ダッ!!


「えっ、お、お祖父様!?

何をしてるんですか!?」


「少し待っていろ妖夢!!

今儂が助け出してやる!!!!」



突然叫びながら現れ斬りかかってきた老人ーーー魂魄妖忌。

その妖忌は妖夢を片手で抱き上げている私を見て、誘拐犯か何かと勘違いしているのだろう。

頭に血を上らせて完全に私を敵と見なしているらしい。

妖夢がいるから勢いが削がれているみたいだけど、もし私が妖夢を手放せばすぐに私を仕留めにかかるはずだ。

……でも、だからこそ私は妖夢を手放そう。そんな、こんなに幼い妖夢を人質にするのは絶対にやだもん!!



「……妖夢、妖夢はもう空を飛べる?」


「えっ? 私はもう飛べますよ?」


「そっか、じゃあしっかりと飛んでね!!」


「なっ、フ、フランさん何を!!!?」



妖夢が飛べることを確認した私はすぐに妖夢を手放す。

そして、背中に妖夢の声を受けながら私は両手でグングニルを構え、妖忌と対峙する。



「……私はフラン、フランドール・スカーレット!!」


「むっ……儂は魂魄妖忌だ!!

名乗りをあげるということは、それなりの覚悟があると受け取ってよいか……?」


「もちろんそれでいいよ!!

小細工は無し、私は御姉様の相棒であるこのグングニルだけで勝負する!!!!」


「ほう、その心意気や良し!!

儂も最高の一本である、この桜観剣で受けてたとう!!!!」



グングニルを体の横に構える私に対し、二本ある内の一本をしまい、まだ手に持っている一振りを中段で構える妖忌。

一分か、一時間か、それとも一日か、自分の中で分からなくなる程の緊張感が辺りを満たした時…………私は先に動き出した。



「…………ふっ!」


「……ふんっ!」


ーーーキィン、ガンッ、ガキィィ!!



突きを放てば受け流され、切り上げれば刀の腹で軌道を逸らされ、槍の底で打とうとすれば掌で受け止められる。

もちろん蹴りや裏拳を放ったりしたけど、これらもまた止められるか流された。

……第三者から見れば、手数が多い私が攻めているように見えると思う。

それでも私は押されていた。

私の手はすべて見切られていたのだ……。



「……そこならっ!!!!」


「……来たな!!!!」


「っ!!!!!?」



妖忌が一瞬作り出した数ヶ所の隙。

焦れていた私は、左手だけで逆手にグングニルを持ち、右手でその内の一ヶ所に裏拳を放ちながら左手を後ろに引く。



ーーーズバァッ!!!!


「フ、フランさん!!!!」



肘から切り飛ばされ宙に舞う私の右手。

妖夢の叫び声が辺りに響いたが、私はそれを認識しないまま左手を突きだしながらグングニルを投合した。しかし…………。



「中々良い判断だが、まだまだ甘いぞ!!!!」


ーーーガキャァァァァァン!!!!!!


「っ!? くっ……!!!!」



……ほぼ零距離で投合したグングニルは、私の右手を切り飛ばした桜観剣に横腹を打たれて軌道を変える。

それを見た私は、咄嗟に左足で蹴りを放ちながら妖忌から離れようとしたけど…………。



「その命、もらったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「……グングニルは、御姉様の誇りは守れたかな…………」


ーーーガシュッ、ヒュバッ、ザシュッ、ズバァッ…………!!!!



……初めに左足、そこから腰、左側の胴体、そして首を切り飛ばされ、バラバラになって血飛沫をあげながら地面に落ちていった…………。



「……あ、あ、あ……フ、フランさぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!?」






ーーーーー

以上、フラン敗北回でした!!



……フランが再生するとしらない妖夢には、悪いことをしましたね。

妖忌が次回ヤバイことになりそうな予感……!



それではまた次回にてお会いしましょう!!

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