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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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夜空を覆い隠す愛しい闇

どうも、東方転妹録最新話です!



……今回は閑話のルーミアサービス回のつもりだったのに、どうしてシリアスに…………?


フランとルーミアの仲が深まったような、溝が深まったような……。



ともかく、楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪


ーーーーーどこかの上空。

ーーーーside フラン



星達が輝く夜空を駆ける一団。

御姉様とこいし、そして椛が復活し目指す方向は変わらないけど、皆ゆっくりと自由に夜空を飛び回っている。

……そして、私は一団の後ろの方でルーミアと語り合っていた。



「フラン、飴玉につられてキスをしたりするのはダメなのだー!!

いつか変な奴に連れていかれるのかー!!」


「あぅ……そ、その、私の大好きな飴だったから…………ごめんなさい」



真剣な表情で物につられたらダメだと注意をしてくるルーミア。

しかし、最後に私が謝ると真剣な表情を崩して笑顔を見せてくれた。



「フランが分かってくれたならそれで良いのかー。

……それよりも、ほら、星が綺麗なのだー!」


「確かに、綺麗だね……。

……無粋な話はいらない、ってこと?」


「アハハッ、分かってて聞くのもまた無粋なのだー」



いつもならもう少し説教が続くルーミアが、今回は早めに説教を切り上げ星達を指さす。

それを見ながら、私はなんとなく説教を早めに切り上げた理由が分かったけど、一応ルーミアに確認をとってみた。

結局、分かってて聞くのも無粋な話だと笑いながらたしなめられてしまったけど……。



「こうやってフランと一緒に夜空を飛んでると、フランと出会った時のことを思い出すのかー……」


「あの時は二人で色々話しながら飛んでたよね!

……それと、私がルーミアの初めてを奪っちゃったのもあの時だったなぁ…………」


「あれは私の中で一番衝撃的だったのだー!

二人とも血塗れで初めてのキスをしたのかー!」



夜空から私の方へ視線を移し、思い出話の口火を切ったルーミア。

辺り一面に綺麗な星空が広がり、ルーミアと二人で飛ぶという状況に、私はふと感傷に浸るような気分になった。

……始めはルーミアの口の回りに着いた血を舐め取っていただけだったのに、ルーミアが急に動いたからキスしちゃったんだよね。

その後にルーミアが変な信条を明かしたり、百合っ子宣言をしたりしてたなぁ……。



「そういえばルーミア、あの時知り合いの妖怪に教えてもらった信条って、今もルーミアは信じてるの?」


「『キスした相手のお嫁さんになれ』や『夜はしっかり満足させろ』とかかー?」


「『かかあ天下を掴み取れ』とか『敗者は勝者に従うべきだ』ってのもあったよね」



あの時はルーミアにこんなことを吹き込んだ妖怪を絞めたかった。

一部はまともそうな考えとはいえ、流石にキスをしたらお嫁さんになるとかいうのはおかし過ぎると今でも思っている。

……結局、ルーミアはどれも実行していないけど。



「もちろん信じてるのかー!

御義姉様やこいし、それにさとりがいるから中々実行できないけど、私は今すぐにでもフランのお嫁さんになりたいし、フランが望むなら夜だってしっかり満足させてあげるのかー!!」


「フフッ、今でも私のお嫁さんになる気満々なんだね。

……それと、私はルーミアが見せてくれた綺麗な夜空に満足してるよ?」


「あー! その言い方は両方ともズルいのだー!」



言葉は怒っているけど、顔は笑いながら右手で私の頭を撫で回すルーミア。

同時に首に回された左手は、私を離さないようにしっかりと力が込められていた。

……もしも、いつか本当にルーミアが私のお嫁さんになる時が来たら、その時は世間の同性愛に対する偏見を壊さなきゃ!

まぁ御姉様とさとり、それになんだかルーミアと同じ匂いがするこいしもいるし、私は独りじゃないから大丈夫だよ!



「……あっ、そういえば、フランってあの時から少し変わったのだー」


「えっ? 私、どこか変わった?」



ふと思い出したかのように呟き始めるルーミア。

あの時から私のどこが変わったのか、私自身では分からないけど、ルーミアはそんな私の疑問に答えてくれた。



「簡単に言えば……フランは甘ちゃんになったのかー!」


「わ、私が甘ちゃん?」



言われてみたらそうなった気もするけど、それはルーミアや御姉様みたいな頼れる存在が周りに増えたからだろう。

……しかし、ルーミアは私のそんな結論を一蹴りにした。



「……多分フランが今考えているのは、頼れる存在が増えたから甘えられるようになったってことじゃないのかー?」


「うん、その通りだよ。

……もしかして、違った?」


「まぁそれもあるのはあるけど、私が言いたいのは別なのだー。

……私が言いたいこと、それはフランが戦いに対して甘くなったってことなのかー」


「っ……!!!?」



私に答えを明かした途端、私から身を離したルーミアがダーインスレイヴを突き付けてくる。

完全に不意をつかれた形となった私は、少しも動けずにダーインスレイヴの切っ先を見つめていた。



「ほらっ、反応できないのかー。

……昔のフランは反応できたのだー。

今のフランは色んな絆を手に入れたから、心が満たされているのかー。

だからフランの満たされた心は優しさという甘さを生む、そしてフランは弱くなったのだー」


「……私は強さと引き換えに手に入れたモノの方が好きだから別にいいよ?

それより、ルーミアの心は満たされてないの?

前より弱くなったとは微塵も思えないんだけど……」


「私は闇そのものなのだー。

闇は全てを呑み込む……。

心も体も、大切な宝物も愛しい思い出さえも。

だから私の心は永久に満たされず、貪欲に全てを欲しがるのだー。

……といっても私が欲しがる全ては、これから先ずっとフランだけなのかー!」


「アハハッ、私の『全て』ってことだね!」



確かに闇は全てを呑み込むイメージがある。

光もまた全てを包み込むイメージがあるけど、今は置いておこう。


全てを呑み込めるからこそどれほど呑み込んでも満たされない。

だからルーミアの意思に優しさという甘さが生まれても、弱さは生まれないのだろう。

……しかし、それはとても悲しいことであると同時に、ルーミアの心を満たしてあげたくなるものだった…………。



「……ねぇルーミア?

ルーミアの心に限界が無いって言うなら、私が心を壊してあげる。

そして、それから私の心をルーミアにあげるよ!

そうしたらルーミアも満たされるでしょ?」


「うーん……それは遠慮したいのかー。

私はフランの全てが欲しいのだー。

満たされてしまう心だと、フランの全てを受け止められないのかー!」



そう言ってダーインスレイヴを仕舞いながら、再び私を抱き締めるルーミア。

すると、私を抱き締めたルーミアは飛びながら闇を操り、背中に黒い翼をもう一対作り出す。

そうしてその黒い翼はゆっくりと私を覆い隠していき、遂に私の視界はルーミアと黒い世界だけで満たされた……。



「ねっ? 今の私ならフランを全て受け止められるのだー。

……だからこそ、私は今の私の心を失いたくないのかー」


「でも、この中だとルーミアが教えてくれた綺麗な星空は見えないよ?

『私の全て』を手に入れられるかもしれないけど、『私に関わる全て』は溢れちゃうよ?」



とても心地よく暖かいけど、黒い空間には何も無い。

黒い空間には私とルーミアだけ、ただそれだけだった……。



「綺麗な星空も愛しい思い出も、全てフランの心にあるのかー。

目に見えないけど、それでもちゃんとあるのだー」


「過去はある、でも未来はどうするの?

私とルーミアの未来、私はルーミアと色んなものを共有できる未来がいい」



今心にあるモノは全て過去のものでしかない、新しい何かは存在しないのだ。

しかし私は新しい何かを求め、その私の隣にルーミアを求めていた。



「フラン、それは何かを生む光なのかー。

私は何かを呑み込み殺す闇……フラン、闇を受け入れて!」


「闇があるから光があるように、光があるから闇もあるんだよ?

ルーミアこそ光を受け入れなよ。

私は闇も光も、どっちも受け入れるから!」



……今になって、ルーミアの考え方の根底が分かった。

ルーミアの人格は普段のルーミアを作り出しているけど、それは本当のルーミアでありルーミアでないのだ。

……ルーミアは光を、何かを生むということを極端に恐れる。

だからこそ初めのキス以外、御姉様やこいしの後か同じ時に私に行為を求めてきていたのだろう。


それに今更気付いたことに私は呆れ、御姉様達が話しかけてくるまで、その罪を償うかのごとく優しくルーミアを抱き締め続けたのだった…………。






ーーーーー

以上、ルーミアサービス回と見せかけたフランとルーミアの邂逅回でした!



……この調子だと、ルーミアが爆弾を抱えそうな気が。


大丈夫、かな…………?



さて、また次回にてお会いしましょう!

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