氷と焔、そして迷路
どうも、東方転妹録最新話です!
今回は久しぶりにレーヴァテインが火を吹きますよ!
さて、一体どのようにレーヴァテインは使われるのでしょうか?
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー三十分後、紅魔館エントランス。
ーーーーside フラン
広いエントランスに設置されたパーティー会場。
その長いテーブルに用意された料理を皆で立ち食いするようにして思い思いのものを食べながら、それぞれ会話をしている。
「大丈夫かな、紫さん……?
私のレーヴァテインの方が早いと思うんだけど……」
「まぁ八雲紫も大妖怪だから死んだりはしないはずよ。
不夜城レッドもかなり熱を放つけれど、どうかしら?」
「貴女方がどれ程の力の持ち主かは測り知れませんが、どちらも溶かす以上の厄い威力があるのでは……?」
エントランスの扉付近でにとりと椛を捕まえて三人で紫さんを覆う氷を溶かしている藍さん。
妖獣の性というべきか、上位者である藍さんの気迫の前ににとりも椛も必死になって氷を溶かしている。
……妖力を籠めたタオルを使った、乾布摩擦で…………。
「に、にとり! こっち側はかなり薄くなったよ!!」
「う、うん! こっちももうすぐで中身が出てくるよ!!」
「紫様ぁぁぁぁぁぁ!!!!
もうすぐ、もうすぐ出して差し上げますから今暫しの御辛抱をぉぉぉ!!」
コンテナから取り出した氷の塊を、藍さんは正面から、にとりは左側から、椛は右側から必死に擦っている。
藍さんの凄まじいまでの気迫のせいか、それとも恐ろしい程の腕の速度で磨いたせいか、既に紫さんの正面にあった氷は大体溶けていて横側ももう少しで紫さんが出てくると言うところまで溶けていた。
「……なぁ、フランよ?
ありゃあもうそろそろ仕上げに入って良いと思わないかい?」
「レーヴァテインで溶かすの?
でも雛が言ったように溶かすだけじゃ済まないかもしれないよ?」
今まで紫さんのことはそっちのけでさとり達と食事をしていた勇儀が、私の側まで来て私をけしかけようとする。
一応私は威力を心配してみたけど、手には既にレーヴァテインを握っていた。
「フラン、貴女もやる気でしょう?
……見知った顔がほとんどとはいえ沢山の客もいることだし、私達スカーレット姉妹の力の一端、見せつけてやりなさい」
「うん! それじゃあ御姉様の名に恥じないように全力でいくね!!」
「えっ!? ま、待ってください!!
それだと本当に危険なのではありませんか!?」
正に鶴の一声といったような御姉様の後押しに、俄然やる気になった私。
その私の隣で雛が慌てて止めようとしたけど、この流れを楽しみ始めた勇儀によってすぐに捕まってしまっていた。
「さぁて、フランが放つ一発、久しぶりに見せてもらおうじゃないか!!」
「この宴に一輪の花を咲かせてあげなさい、フラン!」
御姉様と勇儀の掛け声に頷き、レーヴァテインに妖力と魔力を一気に流し込む。
するとそれに呼応するようにレーヴァテインから紅い焔が吹き出し、あっという間に私の手の中で一本の炎柱と化した。
「……じゃあいくよ!!
藍さん、にとり、椛!
早くそこを退いてね!!」
「えっ、ちょっ、うわぁぁぁ!?」
「も、椛、あれはなんなの!?」
「フランさんのレーヴァテインだよ!!
にとり、早く逃げるよ!?」
私の手にある炎柱を見て驚き、すぐに逃げ出すにとりと椛。
藍さんは一瞬踏みとどまったけど、すぐに私のしようとしていることを理解したのか納得したかのような表情になりレーヴァテインの射程範囲から離れていった。
「……せーのっ!!!!」
ーーードゴォォォォォォォン!!!!!!
私の掛け声と共にレーヴァテインから放たれ、凍った紫さんを飲み込み扉の横の壁にぶつかって四散する炎柱。
その炎柱が通った後には、黒焦げになった紅い絨毯と軽く溶解した壁、そして…………。
「あっ、あれ…………。
……ぷっ、アハハハハハハハハッ!!!!!!!?」
「あら、どうしたのかしらフラン…………っ!?
あっ、だ、駄目……抑えきれない…………アハハハハハッ!!!!!?」
「おいおい、いきなり笑い出して何だってんだ?
……ぶふぅっ、あっはっはっはっはっはっ!!!?」
…………そして、黒くなって髪の毛がアフロみたいに爆発した紫さんが、瞬きをしながら座り込んでいた。 それを見た私と御姉様と勇儀は思わず大笑いしてしまい、それにつられて紫さんを見た面々から更に大きな笑い声が上がっていく。
遂に藍さんすら笑い始めた頃には、エントランスは笑い声で満ちていた。
「……これは一体どういう状況かしら?
私は確か、行き倒れてしまって、それから…………」
「あははははっ!!!!
そ、それから、行き倒れてたアンタを、勇儀が見つけて……クスッ…………私が、冷凍してここまで……あははっ……運んできたのさ!」
笑いを必死に堪えようとしながら紫さんの疑問に答えるにとり。
それで状況を理解した紫さんは、次の瞬間には怒りを見せ始めた……。
「…………そう、そうだったの……。
それで、私をこんな状態にしたのは…………フラン、貴女ね?」
「アハハッ、ご、ごめんね紫さん!
凍りついていた紫さんを溶かそうとしただけだったんだけど、やり過ぎちゃったよ!」
焦げた絨毯の先に、レーヴァテインを持って立っていた私を見て、私を言及しようとしてきた紫さん。
私はそれに対し謝ろうとしたけど、笑いが堪えきれずに変な謝りかたになってしまっていた。
「いいえ、幾らフランでもこれは許さないわよ……!
少し難しい迷路に行って反省してきなさい!!」
「えっ……きゃっ!?」
「「「フラン(さん)!!!?」」」
軽く燃やされ、笑い者にされてしまった紫さんは怒り心頭になっていたようだ。
紫さんは黒焦げになった服の下から扇を一つ取り出すと、それを軽く振る。
すると私の足元にスキマが開き、不意をつかれて反応が遅れた私を飲み込んでいった……。
……咄嗟に私の服を掴んだ御姉様と共に…………。
ーーーーー場所、???
ーーースゥゥ……。
「「きゃっ!?」」
スキマの出口が開き、体勢を崩していた私達は枯れ葉だらけの場所に落ちた。
体勢を崩したまま急に落ちたせいで軽く痛むお尻を押さえつつ立ち上がり、服に付いた枯れ葉を払い落とす。
「っつぅ、八雲紫め……後で目に物を見せてやるわ!」
「それは別にいいけど…………御姉様、ここ、どこだろう?」
周りを見渡すと、辺り一面に竹が生い茂っている。
その上辺りには濃い霧が立ち込めていて日も射しておらず、視界の状態もかなり悪い。
……ふと孤独への不安を感じた私は、側にいる御姉様を確認するかのように御姉様の服を掴んだ。
「……あら、フランったらもしかして怖いの?
大丈夫よ、私達より強い奴なんているわけないんだから怖がる必要はないわ」
「うっ……確かに怖いけど、私が今怖いのは強い奴なんかじゃなくて、こんな所で御姉様と離れちゃうことだよ……」
一体どこなのかも分からないこの場所で、御姉様と離れるのはとてつもなく怖い……。
それを察した御姉様は私の腰に手を回し、ゆっくりと抱き寄せてくれた。
「それこそ大丈夫よ、フラン。
私はいつでもフランの傍にいるもの。
心配する必要はないわ」
「御姉様…………。
……うん、ありがとね……!」
御姉様の言葉に嬉しくなって、つい自分からも強く抱き締める私。
……暫くそうした後、ふいに御姉様が沈黙を破った。
「……それじゃあフラン、そろそろこの竹林の出口を探すわよ。
いつまで霧が出ているか分からないし、日傘もないもの」
「うん、分かったよ御姉様!」
そうして私と御姉様はどこかも分からぬ竹林へと歩みを進め、濃い霧の中に姿を消していった…………。
ーーーーー
以上、新キャラフラグ回でした!
……まぁ、不夜城レッドよりレーヴァテインの方がマシなはず……多分。
紫ファンの皆さん、大変申し訳ありませんでした。
家の紫は、こんな感じになります。
それではまた次回にてお会いしましょう!




