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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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キュッとしてドカーン!!

どうも、東方転妹録最新話です!



今回は第二話以降名前すら出てこなかった『あの人』とフランが出会いますよ!


フランの選択はどうなるのか?




それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪


ーーーーー紅魔館、医務室。

ーーーーside ルーミア



「本当に、本当にすみませんでした!!!!」


「本当ならばその体を引き裂いてやりたいところだけれども、それをしたら後でフランに怒られそうだから止めておくわ。

……ただし、フランが起きたら然るべき罰を受けてもらうわよ?」



藍さんと美鈴が医務室まで来た後、一旦フランの容態が落ち着いたのを見計らって藍さんと話した御義姉様。

一応今は御義姉様からの罰は無いみたいだけど、フランが起きてからはその限りでは無いみたいなのだー。

……まぁ恐らく、御義姉様は一番の被害者であるフランの判断に全てを任せると思うのかー。



「さて、貴女も御苦労だったわね、美鈴。

フランのことは急なことだったのだから罰はないわ。

むしろ暴走する八雲藍を止めたことを誉めたいのだけれど、貴女は受け取ってくれるかしら……?」


「いえ、たとえしょうがなかったとしても妹様を守れなかったのは事実。

私は御嬢様や妹様の盾となるべき身にあるというのに、妹様を死にかけるほどの状態を見過ごしてような体たらくをしてしまった私が……褒美などいただける訳がありません!」



そう強く言い切りながら、今度は深々と頭を下げながら未だ寝ているフランを気遣ってか御義姉様に一言小さく謝る美鈴。

御義姉様はそれを受けて静かに目を閉じ、何かを考えるような姿勢に入っていった。

……私もフランの親友として紅魔館にいるのが大前提とはいえ、一応は警備隊長という役割を担っていたのにフランを守れなかったのだー……。

その上美鈴は褒められるのすら拒絶したのに、私は御義姉様から言葉を受け取ってしまったのかー…………。



「……こいし、ルーミア。

貴女達は現場に居合わせ、フランと共に頑張ったのでしょう?

こう言っては悪いですが、貴女達と違い美鈴は現場に居合わせることすらできなかったのですから、美鈴が謝っていることに貴女達が責任を感じる必要はありませんからね……?」



そう言って私とこいしの頭を静かに抱き寄せるさとり。

私もそうだけど、恐らくこいしも同じ思いなのだろう。

現場にいてもフランを守れなかったという事実があることが、酷く私達の心を苦しめていた。



「……今は、フランが目覚めるのを待ちましょう。

ここで責任の有無を考えていても、心がそれぞれの重圧にやられるだけです」


「…………そうね。

今はただフランが目覚めるのを待ちましょうか……。

八雲藍、貴女も少し休みなさい。

今は皆、体を休めることが先決よ」



御義姉様の言葉を最後に、凄まじい密度の妖気に包まれた医務室は、今度は沈黙の闇に包まれていった……。









ーーーーー???

ーーーーside フラン



「…………ここは?」



ふと気が付くと、私は白い空間にいた。

しかし、そこははっきりとした白に包まれた魔法陣の中とは違い、まるで霧のようにぼんやりと霞むような白に包まれていた。



「っ! か、体は!?

……あれ? 治ってる……」



藍さんの弾幕を受けて胸から下が消し飛んでいたことを思いだし自分の体を確かめてみると、私の体は変わった所はない五体満足の状態でいつもの赤い服を着ていた。



「どうしてかな……?

妖力も尽きてしまっていたはずなのに…………」


「それはここが精神体しか存在できない、まさしく夢の空間だからだよ」


「えっ!? だ、誰なの!?

……って、あ、貴方は…………」



口にした疑問に答えるかのように後ろから聞こえた声に驚き振り向くと、そこには信じられない、そして酷く懐かしい姿をした者がいた…………。



「ぜ、前世の私…………!?」


「その通り!! 俺はお前の前世の『高崎誠』だよ!

どうだ、自分の懐かしい姿は?」



そう言って両手を広げて歩み寄ってくる『高崎誠』。

それを私は返す言葉すら無くして、ただひたすらに驚きに支配されていた……。



「……っておいおい?

幾らなんでも驚き過ぎだろう?

…………てゐっ!!」


「痛っ!? い、いきなり何するの!?」



驚き固まる私の額に見事なまでのチョップをかましてくれた『高崎誠』。

しかもチョップをする時の掛け声まで発音に気を付けるという、実に『前世の私』らしい様子だった。



「……頼む、もう一度涙目になって上目遣いをしてくれないか?」


「うるさい、この変態!!」


「なっ!? そ、そんな殺生な!?」



……本当に見事なまでの『前世の私』らしい行動をとってくれた『高崎誠』。

前世で自分がこうだったのかと思うと、本当に虚しさを感じてくる……。

……今の私は、こうじゃないよね?



「とりあえず、何で私はここに来てるの?

今までも酷い怪我をしたことはあるのに、何で私は今までここに来てないの?」


「んっ? あぁ、それはお前が今回本当に死にかけたから、ってだけだよ。

死にかけたついでに選択させちまえ、って感じにな」


「選択……? 私は何の選択をするの?

というより貴方は本当に『私』なの?」



『高崎誠』と会話をする度に次々と出てくる疑問。

私はそれを抑えることなく口にして、ただひたすらに答えを待っていた。



「何の選択か、って言うのは後に回しとくか。

先に『俺』が誰なのか、って質問に答えるぞ?

簡単に言えば『俺』はお前の前世の姿を借りた『概念体』っていうやつだな。

『世界の修正力』って言い方も出来るかな?

……いや、こっちは微妙に違うか。

ついでに言ってしまえばここは今お前がいる世界と、前世の世界の狭間という感じの空間だ」



「えっと、あまりよく分からないけど、とりあえず貴方は概念体っていうことで良いんだよね?

そして、ここは二つの世界の接点、で合ってるよね?」



最早スケールが大きすぎる単語の連続に、考えることを放棄しかけている私。

もう思考の何もかもが疑問になってしまっていて、同じように口から出る言葉も全て疑問になっていた。



「まぁどっちもそれで良いな。

俺も考えるのしんどくなってきたし。

さて、次は何の選択をするのかって話だったな!

……選択は至ってシンプル。

これから俺の手を取って再び前世の『高崎誠』に戻るか、それともお前の能力で俺を破壊してこれからも『フランドール・スカーレット』として生きるかどうかってだけだ」



……これは私をバカにした選択なのかな?

前世の『高崎誠』は事故死したはずなのに。

いや、もしかしたら世界の修正力とか何とかでどうにかなるのかも……。

……まぁ、選択するのは決まってるけどね!



「そんなの、どっちを選ぶかなんて最初から決まりきってるよ!」


「おぉ、流石は俺だな!

短絡的で決断が早い!!」


「それって誉めてるの、それともけなしてるの……?」



前世の私はこんなのだったのかと思い頭を抱える私。

その間に『高崎誠』は私へ向けて手を差し出し、笑顔を向けて聞いてきた。



「さて、それじゃあ『俺』の選択を見せてもらおうか?」


「…………うん!」



そして私は返事をした後、『高崎誠』の手に向けて右手を伸ばし…………。




「……キュッとしてドカーン!!」




……笑顔を向ける『高崎誠』を、破壊した。








ーーーーー



『高崎誠』が壊れたのと同時に崩壊を始める白い空間。

私はそれを眺めながら、急に襲ってきた睡魔に身を任せ意識を手放していった……。


……そして、意識を失う直前に私は確かに一つの声を聞いた。



「……これで『高崎誠』は完全に死んだ。

後は自由に生きろ、『フランドール・スカーレット』……」






ーーーーー

以上、フランと前世の決別回でした!!




……一体どれ程の方があの名前を覚えていてくれたのかは分かりませんが、きっと少ないですよね。


正直に言うと筆者である自分も時折忘れかけていました。




さて、次回はフランが目を覚ましますよ!



それではまた次回にお会いしましょう!

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