さとりとレミリアの◯◯旅行!
どうも東方転妹録ある意味第二章最新話です!
えー、今回の題名から予測された方もいらっしゃったと思いますが、第二章(?)では第一章(?)の後半にさとりとレミリアから圧されていたこいしとルーミアがメインになります!
……今回はまださとりとレミリアが出張りますがね。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー約40年後、紅魔館。
ーーーー玉座の間。
ーーーーside フラン
「……最近、ここに座ることもなくなってきたわね……」
「何処かの勢力と争うってことが無いもんね」
「……まぁ平和なのは良いことだと思いますよ?
村長が変わってから、また人里にも行きやすくなりましたしね」
感慨深げに玉座を撫でる御姉様と、それを見ている私とさとり。
こいしとルーミアは最近ハマっている花壇の手入れに行っていて、今ここにはいない。
……それにしても、平和なのは良いんだけど……ちょっと退屈だなぁ……。
元々好戦的ではないさとりやこいしだけでなく、妖怪の山の勇儀達やその辺りをうろついている小傘達は戦いを生き甲斐としている訳じゃないから平気みたいだけど……。
……私や御姉様のような吸血鬼って、元々戦って自らの誇りを勝ち取ることに生き甲斐を感じるタイプだから、こうやって平和過ぎると本当に退屈になっちゃうよ……。
因みにさとりは心の平和、こいしとルーミアは自由な時間、勇儀と萃香は美味しい酒、文お姉さんと椛は面白い話題、紫さんはお昼寝、藍さんと慧音さんは子供達を見守ること、小傘やチルノはドッキリ大成功、星は人妖の平和がそれぞれの生き甲斐みたい。
……皆の欲求って戦わなくても満たせるやつばっかりだから、退屈しないみたいだよ。
「……ねぇフラン、フランが旅をしていた時に出会った妖怪の中で、強くて好戦的な奴っていないかしら……!?」
急に思い付いたように私に質問する御姉様。
玉座から離れ私の手を取って聞いてくる姿からは、退屈から逃れたいという願望と私への期待が感じ取れた。
……むぅ、風見幽香なら好戦的で強いけど、花を優先するだろうしなぁ……。
「う〜ん…………。
強いて言うなら、こいしが負けた風見幽香っていうとっても強い妖怪がいたけど……あの人も戦うより花の世話をする方が好きだったよ」
「ということは、宛がないってことね……」
そういって、私の抱き締めつつ頭を撫でながら肩を落とすという器用なことをしてみせた御姉様。
……その瞬間にさとりが私と御姉様を同時に抱き締めたことには黙っておくことにした。
「……どうしても戦いたいのですか?
それなら組み手ぐらいなら私でもできますが……」
「ふふっ、ありがとうさとり。
その申し出は本当に嬉しいわ!
……でも、私は命を懸けた戦いがしたいのよ。
貴女もそうでしょう、フラン?」
「うん、私も同じだよ御姉様!
……それか戦いでなくてもいいから、何か刺激的なことでも起こってくれたらなぁ……」
「それなら私が刺激を与えてあげますよフラン……!
ですから今日の夜「さとり!? フランの貞操を奪おうとしないで!!」……ならレミリ「私のもダメに決まってるわよ!!」……いいじゃないですか、ちょっとくらい……」
最早習慣となってしまった、ある意味刺激的な御姉様とさとりのやりとり。
こうやってさとりは毎回冗談で私のことを言って御姉様を弄ってるんだよ!
……まぁ流石に、さとりが私にキスしてきた時は驚いたけどね。
その直後に…………。
『これはフランが大好きだからしたんですよ?
ちゃんと、気持ちごと受け取ってくださいね……!』
……って言われた時は本当に嬉しかったよ!!
それまでも私にとってさとりはもう一人の姉のような感じだったんだけど、あの時にさとりも私をもう一人の妹のように思えてもらえてるんだなぁ、って強く感じたもん!
「……さとりの事はさておき、本当にどうしたものかしらね?
このままだと本当に退屈だわ……。
……いっそのこと、フランを連れて故郷にでも行こうかしら?」
「あれ? 故郷って御姉様がある程度統一したんじゃないの?」
私と御姉様が生まれ育ち、私の旅の原点となった場所である故郷。
御姉様と再会してから聞いた話では紅魔館を拡大するために、他の吸血鬼やある程度の規模がある教会を打ち倒して吸収していったらしいの。
……だから戦う相手は故郷に、もうそんなにいないと思うんだけど……。
「あれから半世紀近く経ったから、あの羽虫達のことだし勝手に自分の物にしているはずよ。
退屈しのぎにそれを取り戻すのも良いわね!
……ただ、移動距離とかを考えると取り戻すまでに何年もかかるだろうし、紅魔館の当主としての面子に関わるから連れていけるのは妹であるフランだけになるわ」
つまり領土の奪還ってことだよね?
それなら確かに戦う口実になるね!
……一番の目的は吸血鬼としての鬱憤ばらしだけど。
「……まさか、またそうやってフランと二人きりになろうとしてるわけではないですよね?」
「なっ、何を言ってるのよさとり!?
一応領土を取り戻すって目的もあるわ!」
「『一応』なんだ、御姉様……」
御姉様に愛されるのは嬉しいんだけど、普通ならそういう部分は隠しておくべきだと思うなぁ。
さとりも完全に疑う目をしてるし……。
……さとりからしたら、私が御姉様と二人きりになることに妬いちゃうんだろうね。
いっつも御姉様に猛アタックしてるぐらいさとりは御姉様が好きだもん!
……それなら、ここは私が空気を読むべきかな?
「だったら御姉様とさとりで行ってくると良いよ!
さとりが御姉様の参謀みたいにしてれば当主としての面子も保てるでしょ?
それに御姉様達が行ってる間、紅魔館は私とこいしとルーミアで支えていくから安心してね!」
「ちちちちょっとフラン!?
貴女まで何を言ってるのよ!?」
私の提案に不意を突かれたかのように狼狽える御姉様と思案顔のさとり。
……そんなに悪い提案じゃないよね?
これなら合理的に御姉様の鬱憤をはらすことができるし、さとりも御姉様と二人きりで旅行みたいにできるもん!
「……ですがフラン、私達がいなくても本当に大丈夫ですか?
やはり、姉として心配なのですが……」
「うん、大丈夫だよ!
私もこいしもルーミアも御姉様とさとりが働いているところを見てきたから館の運営はある程度分かるし、どうしても分からない時は美鈴やメイド達に聞けばいいもん!
だから心配せずにさとりと御姉様はちょっとした新婚旅行みたいな気分で行ってきてよ!」
「「し、新婚旅行……!!!?」」
一度御姉様とさとりから離れ手を使って表現しながら私が言った新婚旅行というワードに、思いっきり固まるさとりと御姉様。
すると段々さとりの顔が赤くなっていき、逆に御姉様の顔は青くなっていった……。
「ま、待ってフラ「それは良い提案ですねフラン!!
フラン達に任せても良いのなら是非ともそうしましょう!
あれなら今すぐ行きましょうかレミリア!」ン、って遅かったぁぁぁぁ!!!?」
何かを言いかけた御姉様ともの凄い勢いで賛成してきたさとり。
先ほどから御姉様に抱きついたままのさとりは、はたから見ても分かるくらい抱き締める腕に力を込めていた。
……ふふっ、今すぐ行きたがってるみたいだから皆にも早く伝えとかないとね!
まずはこいしとルーミアからかな……!
「それじゃあ私はこいしとルーミアから順に皆に伝えてくるね!
御姉様とさとりはその間に準備しててね!」
「分かりました、それでは私達は部屋に戻って準備をしてきますから何かあったら部屋に来てくださいね!」
「うん!」
「んぐぅ〜〜!? んー! んー!?」
そうして旅行が楽しみなのか笑顔でいるさとりと、何故かさとりから手で口を塞がれた御姉様から見送られながら私は玉座の間を出ていった……。
「……さぁレミリア、新婚旅行の準備に行きましょうか!」
「んぅー!!……ぷはっ、フ、フラァァァァァァン!!!?」
ーーーーー紅魔館の庭、花壇。
ーーーーside こいし
「ふふっ、ここの花達、大分育ってきたね!」
「もう蕾が大きくなってきたのかー!
花が咲くまでもう少しなのだー!」
今年に入ってからフランと美鈴に紹介されて、ルーミアと一緒に育て始めた花達。
隣の花壇で美鈴が育てている花よりは大きくはないけど、それでも花が咲くのがすっごい楽しみなの!
……それで花が咲いたら、私とルーミアでフランに一本ずつあげるんだよ!
本当に、花が咲くのが楽しみだなぁ……!
「……こいしー! ルーミアー!」
「んっ? あっ、フランだ!」
「おーい! こっちなのかー!」
私達を呼ぶ声が聞こえた玄関の方に振り向くと、何やら楽しそうにフランがこっちへ走ってきていた。
「やっぱり二人ともここにいたんだね!
……あっ、蕾がおっきくなってる!」
「えへへっ、そうでしょ?
二人で頑張ったかいがあったよ!」
「もうすぐ花が咲くと思うのかー!」
さっき私達が喜んでいたのと同じように花の蕾が大きくなってるのを喜んでくれたフラン。
この様子だと、花が咲いた時はもっと喜んでくれるだろうなぁ……!!
……そういえばフラン、何か用があったみたいだけどなんなんだろう?
聞いてみた方がいいよね。
「……ねぇねぇフラン、なんか楽しそうに走ってきてたけど何かあったの?」
「あっ、そうだった!
あのね、御姉様とさとりが何年かかるか分からないけど新婚旅行に行ってくるから、しばらく私達で紅魔館を運営するよって伝えに来たの!!」
…………えっ?
お姉ちゃんと御義姉様が、新婚旅行……?
……つまりお姉ちゃんと御姉様が結婚したってことだよね?
ってことはお姉ちゃんと御義姉様がライバルじゃなくなって、しかも何年もいないってことは…………。
「……ルーミア!!」
「……こいし!!」
「「……私達の天下だぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」
ーーーーー
ある日の昼下がり。
平和な日々を送っていた紅い館の庭で唖然としている当主の妹を傍らに、多少の勘違いをしている二人の少女は、大きな喜びの声をあげていた……。
ーーーーー
以上、さとレミの新婚旅行という名の領土奪還決定回でした!
……まぁ、色々と勘違いの連鎖が起きてましたがそこはスルーしておきますね。
レミリアには……合掌をしておきますが。
それではまた次回でお会いしましょう!




