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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第1章 ~生まれ変わったら吸血鬼!?~
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欠けゆく月の晩のこと

どうも、東方転妹録最新話です!



……もう、あれですね。

雛に厄払いをしてもらいたいぐらいな状態です。



まぁそれは置いといて、今回は前回とは別の意味でシリアス構成になっています。


……業界用語を使えば、最後に天丼ネタもありますが。



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪



ーーーーー十分後、寺の一室。

ーーーーside フラン



「フラァァァァァン!!

ごめんねフラン、本当にごめんね!」


「もう二度とフランの『親友』じゃなくなったりしないから、私と一緒にいて欲しいのかーー!!」



謝りながらしがみつく二人の頭を撫でてやりながら中に戻った私。

後ろから着いてきた星は、空気を読んだのか黙ったままでいる。

……二人とも、ものっすごく反省してるみたいだね。

懸命に謝りながらも、星から貸してもらっている私の寝間着を絶対に離さないっていうぐらい強く握りしめてるもん。

……あっ、今『ビリッ』て聞こえた……。



「二人とも、私の言いたいことをちゃんと分かってくれたなら、もう謝らなくて良いからね?

……それに私の方こそ謝らなくちゃいけないもん……」


「「? フランが謝らなくちゃいけないこと?」」



私が言ったことに疑問符を浮かべるこいしとルーミア。

……二人に色々と迷惑をかけちゃったもん。

それに、これからもっと迷惑をかけちゃうだろうし……。



「……えっと、ね?

今回は私のワガママでたくさん迷惑をかけちゃったでしょ?

だから、先ずはその事に謝らなくちゃいけないの……。

……本当にごめんなさい、こいし、ルーミア……!!」



二人がしがみついているから頭を下げることはできないけど、若干俯きながらもこいしとルーミアの目を見て謝る私。

そうするとこいしとルーミアは顔の前で手を振りながら、わたわたして慌て始めた。



「フ、フランは悪くないのかー!?

私達がフランの気持ちを汲み取れなかったのが悪かったのだー!」


「そうだよフラン!

フランは全然悪くないんだよ!?」


「でも……二人に心配させちゃったし、それにこの後はもっと迷惑をかけちゃうと思うから……」


「「この後……?」」



私が言った『この後』という言葉に、再び疑問符を浮かべるこいしとルーミア。

そんな二人に申し訳なく思いながら、私は話を続けた……。



「私は紅魔館に戻ったら多分……ううん、絶対に御姉様達に怒られるよね……。

それに、それだけじゃなくて人里の守護を投げ出しちゃったことについて紫さんから絶対に怒られるよ……。

それも私だけじゃなくて、私を探しに来てくれたこいしとルーミアも一緒に…………」



いくら御姉様とさとりが残っているといっても、私とこいしとルーミアが守護を投げ出したことには変わりはないもん……。

それに、きっと御姉様とさとりも私達のことが気になって守護に集中できないだろうし……。


……そう思って俯いてしまっていると今度はこいしが右から、ルーミアが左から私の頭を抱えるように抱きついてきた……。



「……そんなこと気にしなくて良いんだよ、フラン。

私はフランと一緒にいられるなら、それだけで幸せだもん」


「私もフランと一緒なら幸せなのだー。

それにもし紫さんに怒られて守護を解雇されることになったとしても、私は全然構わないのかー……」


「………………」



私の耳元で優しく語りかけてくるこいしとルーミア。

二人の口から発せられる言葉と共に吹き掛けられる吐息がどうしようもないくらい暖かくて、不安に染まっていた私の心は一気に落ち着いていった……。



「……二人とも、ありがとう。

それと、本当にごめんね……!」



心が落ち着いた途端に、体の奥から込み上げてきた熱と感情が私を飲み込んでいった。

何故かその感情を二人に見せたくないと思い、今度は私が顔を隠すように二人にしがみつく……。



「……ごめんね…………本当にごめんね…………!」


「「………………」」



先ほどとは逆の立場になった今の状況に、迷惑をかけることを謝りながらも少しの戸惑いを感じていた私。

そんな私を再び落ち着かせるかのように、二人はゆっくりと私の背中を撫でてくれていた…………。










ーーーーー数分後。

ーーーーside 星



「……また、眠ってしまいましたか」



フランは泣き疲れて、こいしとルーミアというらしい二人は捜索の疲れからか、三人は抱き締めあったまま寝てしまっていた。

……昨日の昼間といい、小さい子は本当に寝付くのが早いですね。

まぁ、寝る子は育つとよく言います。

妖怪だから成長に時間がかかるとはいえ、この子達も将来立派に育つのでしょう……。



「……さて、こんなところで寝かせていては三人とも風邪をひいてしまいますね。

早く布団を敷いて、運んであげなければ……」



そう思って三人分の布団を出しながら、ふと三人の寝顔を見つめてみる。

……本当に安心した顔をしていて、ようやく自分があるべき場所に戻ったといったような感じがします。

いつか……私もあるべき場所へと帰りたいですね…………。


……三人を布団に並べ、明かりとなっていた蝋燭の火を吹き消す。

その途端に部屋へと射し込んできた月明かりが、三人の穏やかな寝顔を優しく照らしていた……。










ーーーーー同刻、紅魔館。

ーーーーside レミリア



テラスで空に浮かぶ欠け始めた月を眺めながら、さとりが注いでくれた紅茶を飲む。

さとり自身も私の隣で同じように紅茶を飲んでいた。



「……こんな真夜中に、珍しいお客さんね?」


「私達に何か御用ですか?

…………八雲紫……」


「あらっ、こんな簡単にバレるだなんて…………。

もしかして能力でも使われたのかしら?」



私達の背後に、一切音をたてずにスキマから出てきた八雲紫。

……残念だけど、微妙な気配があるのよね。

一般の妖怪なら能力を使わなければ気づかないでしょうけど、能力を使わずとも私のような高位の妖怪には簡単に分かるわ。



「……それなら私は一般の妖怪ということですね、レミリア」


「……はぁっ、さとりは何を言っているのかしら?

貴女の能力は常時働いているモノだし、人の技を真似するとはいえさとりは私と少しは張り合えるレベルでしょう?

それなのにさとりが一般の妖怪な訳が無いじゃない」


「……軽く無視されるのは色々と辛いから、せめて質問くらい答えてほしいわ……」



……まったく、さとりと会話してるのを邪魔しないで欲しいわ。

フラン、さとり、こいし、ルーミアと話してる間は私にとって安らぐ時間だというのに…………。



「……まったく、せっかちで品がないわね。

とりあえず答えてあげるから、早く話を続けなさい?」


「……我慢、我慢するのよ八雲紫…………!!」



私の催促に拳を握りしめながら自分に言い聞かせる八雲紫。

……本当にもう、何をやっているのかしらね?



「……人里の村長から伝言ですわ。

『貴女た「私達を守護の任から解く、とのことだそうですよレミリア」ちを』……っていい加減にしてちょうだい!!」



さとりのちょっとしたお茶目にいきりたつ八雲紫。

……あんなの一々気にしていてもしょうがないでしょうに。

まぁ私はフランに慣らされたけど、八雲紫はあまりそういう経験が無さそうだからしょうがないのかもね……。



「ふぅん……私達を『守護の任から解く』、ね…………。

……今回は此方に非があるとはいえ、人間ごときに上から見られるのは腹がたつわ……!」


「……レミリア、落ち着いてください。

人里を襲えばフランが悲しみますよ……?」



村長からの伝言が上からの口調だったことに思わず頭に血が上りかけた私。

それをさとりが、私の肩に手を置きながらゆっくりと宥めてくれた。

……そうね、人里の件はフランが望んで決めたこと。

その人里を襲ってしまっては、フランを傷つけてしまうわ……。



「ありがとうさとり、おかげで落ち着けたわ。

……さて、大体予想はつくけれど私達が守護を解雇される理由を聞かせてもらえるかしら?」


「……そうですわね、先ずはフラン達のことです。

『如何な理由があろうとも、それが私的理由ならば守護を休む理由にはならない。

ましてや里を放って遠出するなど言語道断だ』、とのことですわ」


「……まぁ正論ではありますね」



……確か、フランは出立する前に人里周辺の妖怪を狩っていったと八雲紫から聞いているわ。

それである程度の義務は果たしているはずだけれど…………やはり人と妖怪の器の違いというものかしら?



「……次に貴女達のことよ。

『他の守護がいないという連絡は行っているはずなのに、何故穴埋めに入らないのか?

里が危険にさらされているのだから、穴埋めに入って責任を取るのが当然だろう』、とのことですわ」


「……はぁっ、どうやら村長は立場が分かっていないようね?

そんなに私から殺されたいのかしら?」


「レミリア、抑えてください。

村長の言い方には私も怒りを禁じ得ませんが、向こうはこちらの優先順位を知らないのですからしょうがありません…………」



村長は私達が里に従属していると思っていたのかしら?

私達はフランの頼みだったから受け入れただけだし、貸家以外の代価があった訳ではないわ。

それなのに、里を優先する訳がないじゃない!



「……『たいした代価をもらった訳でもないのに、里を優先する訳が無いでしょう?

私達が最優先とするのは家族のことよ。』

……と、村長に伝えておきなさい。

それと、『自分の立場はわきまえなさい』というのもよろしく頼むわ」


「分かりました……。

派手な演出付きで伝えておきますわね!」



何故か私達の伝言を村長へ伝えることにノリノリになっている八雲紫。

……もしかして、八雲紫自身も色々言われたのかしら?

それならこのテンションもおかしくは無いわね……。



「では、私はこれで失礼しますわ。

二人の逢い引きの時を邪魔してしまい、失礼しましたわね」


「なっ、逢い引きじゃないわよ!?」



最後の最後に爆弾を落としてスキマに消えていった八雲紫。

……あぁ、もうっ!!

さとりの纏う雰囲気が変わってしまったじゃない!?



「……レミリアと逢い引きですか。

中々良い響きですね」


「どこも良くないわよ!?

……ちょっ、顔が近い!?」



私の腰に手を回しながら段々と顔を近づけてくるさとり。

遂には互いの吐息が感じられるくらい近づいてきた…………。



「……さぁ、今度こそ楽しみましょう、レミリア……!」


「えっ、ま、またなの!?

……あっ、あっ、フ、フラァァァァァァァァン!!!!!?」










ーーーーー



先日主の悲鳴が響いたばかりの紅き館に、今度は主が愛しい妹の名を呼ぶ声が響いていた…………。



……因みに、門番やメイド達は既に眠りについていたらしい。




ーーーーー

以上、詰め込み回でした!



フランとこいしとルーミアが遂に和解しました!

これで次からまた何時ものほのぼの系に戻れます!



……さとレミは最早手が付けられませんが。





それではまた次回にお会いしましょう!

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