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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第1章 ~生まれ変わったら吸血鬼!?~
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知る自分、考えるべき答え

どうも、東方転妹録最新話です!




今回は前回に引き続きシリアス展開です。

ですが、今回のシリアスはこれで終わりなのでまた次回からほのぼのになりますよ!

……そして最後は、遂にこの時が……!




それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪


ーーーーー同日夜、寺の一室。

ーーーーside 星



「少しは落ち着きましたか、フラン……?」


「……うん…………」



今日の早朝に説教をしてから、一日中ずっと悩んでいて落ち着かない様子のフラン。

フランが殺してしまった人の墓を造っていた時も、複雑な表情をして心ここにあらずといった様子でした。

……強くも幼いフランが悩み、苦しんでいるのを見ているのは心底辛いですが、これもまた成長している証拠です。

墓を作り終えた後も、私が言うまでもなく墓へと真っ先に手を合わせていたフランですから、きっと自分にとって最善と思える選択をすることでしょう。

……例えそれが私と道を違える選択だったとしても、私は喜んでフランの成長を受け入れます。

この国の宗派が数多くあるように、全ての生きとし生ける者の最善の道が仏の道だけではないというのもまた道理ですから…………。


……そう考え込んでいると、恐る恐るといった様にフランが話しかけてきた。



「……ねぇ、星。

私ね、壊すことしかできないの。

何かを、傷付けることしか……」


「それは、本当にそうなのですか……?

フランは今、目の前にいる私を傷つけてはいないでしょう?」


「うぅん、それは私が壊そうとして無いからだよ。

壊すことしかできないから、何もせずに壊そうとして無いだけ……」



静かにそう言って、再びゆっくりと俯くフラン。

……壊すことしかできないから、何もせずに壊さないでいる。

それは、考え方としては確かにその通りだとしか言いようはありませんが、とても悲しい考えですね。

……フランが自分は壊すことしかできないと思っているのが、本当に悲しいです。



「……フラン、私を見てください」


「…………えっ?」


「フラン、今貴女の目の前にいるのは一体何ですか?

貴女が壊した物の残骸ですか?

貴女が見ている幻ですか?」



……私は今、とても意地悪なことを言っています。

きっと今の発言は、フランの心を少なからず傷付けたでしょうね。



「……あっ、ち、違うよ!?

今目の前にいるのは私の大切な友達の星だよ!

絶対に残骸や幻なんかじゃないもん!!」


「あははっ、ありがとうございますフラン!

大切な友達と言って貰えてとても嬉しいです!

……そう、私は貴女の大切な友達です。

それでは大切な友達である私は、何かを壊して手に入れたモノですか?」


「えっ!?……あっ…………」



早くもフランは私の指摘したことに気づいたようですね。

不意をつかれたような表情で軽くしまっています。

……こういう時に、驚いている姿が可愛いと思うのは不謹慎ですよね……。



「どうやら気付いてもらえたようですね。

……私はフランの大切な友達です。

それはフランが何かを『作って』手に入れたものですよ。」


「……私が何かを『作って』手に入れたものが、大切な友達…………。

その何かって、『絆』…………?」



……まさしくその通りですね。

今まで見落としていた、とてもとても大切なことにフランが気付けてよかったです……!



「そうですフラン、『絆』を『作った』からこそ、今ここで私達は大切な友達同士でいられるんですよ。

まぁ、ある意味では互いの『心の壁』を『壊した』とも言えますけどね。

……つまりですね、私がフランに言いたいのは『フランが何かを壊した分だけ、フランは新しい何かを作っている』ということです!」


「……私は、壊すことだけしかできないんじゃなくて、作ることもできるってことなの?」


「はいっ! その通りです!」



私が力強く返事をした途端、フランの肩から力が抜けていった。

そして、フランが段々と笑顔になっていき…………。



「私は……私は作ることもできるんだよね!?

壊すこと以外も、できるんだよね!?

……アハッ、アハハッ、アハハハハハハハハッ!!!!」



私に飛び付いてきながら、満面の笑みを浮かべて大声で笑い始めた。


……無垢な笑顔で嬉しがってるはずなのにちょっとだけ狂ったような笑い方をしているのは、フランが妖怪だからですよね……?








ーーーーーside フラン



「アハハハッ!! ありがとね星!!

壊すこと以外なこともできるって気付けて、私、本当に……本当に嬉しいよ!!」


「フランがそのことに気付くことができて本当に良かったです!

……さて、今フランは新しいことに気付きました。

その気付いたことも踏まえて、早朝に私が言ったことをもう一度考えてみてください。

……ただし、答えは今すぐに出す必要はありませんからね?

時間がかかっても構いませんから、じっくりと考えてからフランの答えを出してください。

その結果フランの答えが何であったとしても、私は受け入れますから……!」


「うん! 本当に、本当にありがとう星!!」



星の導きのおかげで、壊すこと以外もできるという新しいことに気付けた私。

そのことが本当に嬉しくて、思わず大笑いしながら星に飛び付いちゃったよ!


……でも、これで朝の星の話の全てに納得した訳じゃないんだよ?

確かに妖怪は変わることができる。

こうやって誰かの導きで自分の新しい一面を見つけたり何かを決意したりすることによって……。

……だけど、変わるといっても全員が優しく変わる訳じゃないと思うの。

もしも自分の狂気を見つけてしまったり復讐とかを決意したりしたら、それは優しく変わったとは言えないもん。

……ただ、星の言った通りこうやって早くに答えを出すのはダメだよね!

これから沢山考えて、それから本当の私の答えを出さなくちゃ!!



「ねぇねぇ星、今から私が言うことを怒らないで聞いてくれる?」


「えぇ、今話したばかりなのに早まった答えでなければ構いませんよ」



私が聞いたことに明るく笑いながら返事をしてくれた星。

……これなら、きっと大丈夫だよね。



「……私ね、答えが出るまでは今までのように容赦なく沢山の人間や妖怪を殺すと思うの。

それに答えが出てからも、その答えによっては変わらずに殺し続けるかもしれない……。

でも! 私は今、何かを作ることもできるって気付いたから壊すことだけをしたりはしないよ!

星が話してくれたことも絶対に忘れないもん!

だから、それだけは星に知っておいて欲しいの!!」



これが、今の私の想い。

壊すだけじゃなくて、何かを作ることを忘れたりはしない。

そうすれば御姉様やこいし達とも、もっとまっすぐに向き合えると思うから。

……皆と一緒に、もっと幸せになれるって思うから……。



「……フランの想い、私の心にしっかりと伝わりました。

いつか、フランの答えが聞ける日を楽しみにしています!

それとフランも忘れないでくださいね?

フランがどんな答えを出そうとも、私はフランのこと大切な友達だと思っていることを」


「うんっ! ありがとね、星!」



そういって大声で笑い合う私達。

私の答え次第で道を違えるかもしれないなんてまったく気にせずに、まるで親子のように私達は強く抱き締め合っていた…………。














ーーーーーside こいし



「……山、川、湖、森、人がいる村。

大体確かめたけど、どこにもいなかったね、フラン……。」


「後はこっちの方向を探したら、あの場所から三十分くらいの位置が探し終わるのかー……」



早朝に木陰で寝た後、昼過ぎになってようやく目が覚めた私とルーミア。

それから近くにあった木の実を食べて、すぐにフラン捜索を再開したの。

……捜索は元集合場所から渦を描くようにしていたから、段々時間がかかるようになっちゃったんだよね。

結局三十分ぐらいの範囲をほとんど探し終えるのは、夜になっちゃったんだ……。



「……あれ? あそこに明かりがあるのだー」


「本当だ……四角く光が漏れてるから、小屋か何かがあるのかな?」



何かに気付いたらしいルーミアが指差す先には、まるで扉から漏れたような淡い光があった。

……とりあえず、あそこに行ってみようかな。



「それじゃああそこに行ってみようよ、ルーミア。

もしかしたらフランの話が聞けるかもしれないよ?」


「そうするのだー。

ただ、一応今は夜だから静かに行くのかー」



確かに夜に騒いだりしたら迷惑だもんね。

誰かに迷惑をかけたりしたら後でフランに怒られそうだし、静かにいかないと…………。


そうして静かに明かりの漏れる場所に降り立った私とルーミア。

……思ってたより大きい建物だね。

所々ボロボロになってるけど、立派な作りをしてるよ。

雰囲気的に、寺か何かかな……?



「……中から声みたいなのが聞こえるけど、小さすぎてあまり聞こえないのだー」


「……声がするなら誰か起きてるんだろうし、いっそのことここから呼んじゃおうよ」



建物の奥から小さく聞こえてくる誰かの声。

……二つの声が聞こえるような気がするし、片方はかなり聞きなれた声のような気がするんだけど……とりあえず呼ばないとね。



「「こんばんはー、誰かいませんかー!?」」



合図をするまでもなく声が揃った私とルーミア。

……何だかんだでルーミアとも息が合うようになってるんだよね。

フランを譲る気は一切無いけど、フランの次くらいに相性がいいのは案外ルーミアかもね……。


……何となくそう思っていると、中から所々縞々な服を着た人が出てきた。



「おやっ? こんな夜遅くにこの寺に参られるとは……。

もしかして参拝に来られたのですか!?」


「あっ、えっと、私達は参拝しに来たんじゃないの」


「私達は吸血鬼探しをしているのかー。

……突然で申し訳ないけど、フランという妖怪を知らないかー?」



私達は妖怪だというのに参拝客だと勘違いして思いっきり身を乗り出してくる縞々の人。

それをゆっくりと押し戻しながらルーミアと質問をしてみると少しきょとんとした後に、縞々の人が話し始めた……。



「吸血鬼のフランですか?

フランなら、今この寺に来ていますよ」


「「それ本当っ!!!?」」



最早ダメもとで聞いたつもりが意外な返事が返ってきたことに驚き、思わず聞き返してしまう私達。

……べ、別人じゃないよね!?

本当にフランがここにいるんだよね!?

早く、早くフランに会いたいよ!!!!


……今度は私達が縞々の人に詰め寄った時、私達が聞きたくてたまらなかった声が聞こえてきた……。



「……星? もしかしてお客さんが来たの?」


「いえ、私ではなくフランにお客さんが来ていますよ」


「私?…………って、こいし!? ルーミア!?」


「「……フ、フラァァァァァァン!!!!!!」」



寺の奥から現れた、謝りたいのと同時に会いたくて堪らなかったフランに、私達は名前を呼びながら思わず飛び付いていた…………。











ーーーーー

以上、和解&再会話でした!



今回、星のおかげでフランが一歩成長できました!

これがフランにとって良い糧になると思います。


そして最後にはフランとこいしとルーミアが再会しました!

……これは次回荒れますね。




それではまた次回にてお会いしましょう!!

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