寅と吸血鬼の暇な昼時
どうも、東方転妹録最新話です!
今回は結構のんびりした回になっていますよ!
……本当にフランと星がのんびりしてます。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー同日、正午。
ーーーーside フラン
とても陽当たりの良い寺の縁側。
そこに寝転がると、とっても気持ち良いんだよ!
……うん、本当に気持ち良いんだけど…………。
「……ねぇねぇ星?」
「どうしました、フラン?」
「あのね…………と〜〜っても、暇すぎるよ……!」
この寺に来てから御祈りをして、それから御飯を食べて…………もう、何にもしてないよ。
星に木の実を取りに行こうって言ったら貯蓄がありますって言うし、私が薪割りをするよって言ったら既にしていますって言うし……。
手伝いをしようとしたことを褒められたのは嬉しかったけど、結局縁側で今まで寝転がることになっちゃったんだよね。
「成る程、フランはこういった時の流れに慣れていないんですね。
まぁ最初は慣れないかもしれませんが、数日もすればこの時間を楽しめるようになりますよ!」
「そうなの……かな?
……まぁ、それもそうだね!
頑張ってのんびりしてみるね!」
「はい、頑張ってください!」
星が応援しながら見せてくれた屈託の無い笑顔に、私も思わず頬が緩んじゃった。
……それにしても、のんびりするのって案外大変なんだね。
中々じっとしていられないし、穏やかな景色もすぐに飽きちゃうもん。
そうやって考えてみると平然とのんびりしている星って凄いよね!
……よしっ、私も頑張ってのんびりするぞー!
「……ねぇねぇ星!
私、今から頑張ってのんびりするから膝枕をしてもらっても良いかな?」
「ふふっ、全然構いませんよ。
よいしょっ、と…………ほら、こちらに来てくださいフラン」
横に崩していた座り方をきちんとした正座に戻して、膝をぽんぽん、っと軽く叩きながら私を呼ぶ星。
それにつられるように、私は星の膝に向かって飛び込んだ……。
「えへへっ、とっても気持ち良いよ、星……!」
「それは良かったです。
それではしっかりとのんびりしてくださいね?」
そう言いながら優しく私の頭を撫でてくれる星。
その手がとても心地よくて、段々と、私は目蓋を閉じていった…………。
ーーーーーside 星
「……寝てしまいましたね」
「……スゥ……スゥ……」
フランが再びやって来た日の昼頃、暖かい陽射しが降り注ぐ縁側で私はフランと日向ぼっこをしていました。
流れるままにフランに膝枕をすることになり、そのままフランは私の膝の上で寝入ってしまい、先ほどまでどこか明るかった雰囲気が再び静かな、それでいてどこか寂しい雰囲気に戻ったのです……。
……朝の御祈りと同じように、こうして誰かに膝枕をするのも久しぶりですね。
聖が封印される前は朝は聖と一輪と一緒に御祈りをしたり、ナズーリンやムラサに膝枕をしてあげたり…………。
……いつか、必ず封印を……!
「…………ウゥ、ン……」
「あっ、揺らしちゃいましたか……」
聖達のことを考えた瞬間に思わず気持ちが高ぶってしまい動いてしまった私。
そのせいで、フランが唸ってしまいました……。
落ち着かせるように頭を撫でると、気持ち良さそうに擦り寄ってきながら再び静かな寝息をたて始めたフラン。
……いつか聖達の封印を解いたときは、フランを皆と会わせてあげましょう。
「……フランなら、きっと聖が説いた人妖の平等を…………」
……聖を、私達を受け入れてくれるはずです…………!
ーーーーー元月面戦争集合場所。
ーーーーside ルーミア
「……人里から西南に来たら、此処に着くのかー」
「つい最近来た場所なのに妙に懐かしいね、此処は……」
フランが飛び立った方向を確認し忘れていた私達を、スキマを使って慌てて追ってきた紫さんのおかげで私達は西南に来たのだー。
……まぁ、フランが西南に飛び去ったこと以外は何の手がかりもないんだけど……。
「ねぇこいし、こいしはフランならどういう所に逃げると思うのだー?」
「私は、フランにとって親しい人の所に逃げると思うなぁ。
フランって寂しがり屋でしょ?」
こいしの言う通り、確かにフランは寂しがり屋だから親しい人の所に逃げるはずなのだー。
……それ以外に条件があるとしたら…………。
「じゃあ、ルーミアはどう思うの?」
「……あれほど怒ったフランなら、きっと私達が知らない場所に逃げると思うのだー。
それも、フランから一言も聞いたことがない場所に…………」
フランは天然さんだけど、考える時はしっかり考えるのだー。
だから私達が知らない場所に逃げるはずなのかー……。
……こいしの考えと合わせれば、フランは私達が知らない、フランだけが知っている親しい人の所に逃げたことになるのかー。
「……こいし、フランが単独行動をしていた時の場所を覚えてるかー?」
「……フランが単独行動をした場所…………。
私が覚えてるのは、フランが山に来る前は一人旅をしていたってことと太陽の畑で少しの間別行動をした時のこと、それと月面戦争で撤退した時だね。
……でも、太陽の畑は人里から西南じゃなくて東南にあるから違うはずだよ」
そうなると、考えられるのは一人旅をしていた時に立ち寄ったかもしれない場所と、フランが月から帰ってきた時に降り立った場所になるのだー。
……でも私達は一人旅をしていた時のことは知らない。
フランがどういう道を通ってこいし達がいる山に着いたのかは全く分からないのだー……。
……だから、私達が探す場所は一つだけになるのかー。
「……こいし、この場所の近くを探してみるのだー!
私達が少しでも知っている場所はここしかないのかー……!」
「そうだね……ある程度は私達も分かる場所から探した方が良いよね!」
そうして元集合場所付近を探索することになった私達。
……絶対にフランを見つけてみせるのだー!!
ーーーーーおまけ、紅魔館。
ーーーーside 美鈴
紅魔館に響き渡った御嬢様の悲鳴を聞いて書斎に駆け付けた私。
……そこで見たのはさとりさんから服を剥がれて息を荒くしている御嬢様の姿と、御嬢様を(性的に)襲っているのを私に邪魔をされて憤った様子のさとりさんだった…………。
「め、美鈴…………!!
本当に、本当に助かったわ!!」
「あ、えっと、よ、良かったですね御嬢様!
あはははは、はは、はっ…………」
「…………ちっ!」
……どうしましょう、この状況。
御嬢様はさとりさんから隠れるように私の影で服を整えていて、さとりさんは私を睨み付けながら舌打ちをしてきました……。
……これ、今私一人になったらさとりさんから殺されますね…………。
……そう思ってしまったのが不幸を呼んでしまったのか、次の瞬間、私は地獄に突き落とされてしまった……。
「……そ、それじゃあ私は館内を散歩してくるから後を頼むわ美鈴!
さとりと一緒にあの書類を片付けておきなさい!
それじゃあ行ってくるわね!」
「えっ!? あっ、待ってください御嬢様!
御嬢様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」
服を整え終わった途端、まるで逃げるように書斎から勢いよく出ていった御嬢様。
……これはやばい、やばすぎます……!
「何がヤバイんですか、美鈴さん?」
「ひ、ひぃ!?……あっ、いえ、何もヤバくはありませんよ!?」
最早絶対零度すら越えたぐらいの冷たい視線を向けてくるさとりさん。
……どどどどどうすればこの状況を切り抜けられる!?
「……美鈴さん、お仕事を始める前に貴女に言っておくべきことがあります」
「は、はいっ、なんでしょうか!?」
……恐らく、私はここで逃げるべきだったのでしょう。
なのに逃げなかった私は、次の瞬間…………。
「……人の恋を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでください!!」
「キャァァァァァァ!!!?」
……馬の形をした妖力弾幕に吹き飛ばされていった…………。
ーーーーー
以上、のんびり+おまけ回でした!
一見のんびりしている星にも、強い想いと願いがあるようです。
その想いと願いが叶う日は、何時になるのでしょうか……?
こいしとルーミアも順調に探しているようです!
再会も近い、かな?
それではまた次回にお会いしましょう!




