探す者と待つ者
どうも、東方転妹録最新話です!
今回はフラン以外の皆に焦点が行っています。
……半分近くレミリアとさとりが持っていきましたが。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー再び人里。
ーーーーside こいし
「…………なるほど。
つまりフランは、お前達がフランの従者として有ることを嫌がって家出した訳か」
「「……うん……」」
フランが突然飛び出していってから我に帰った後、夜の間中普段は聞こえない大きな音がする場所にフランがいると思って人里周辺をかけずり回った私とルーミア。
……でも結局フランに追い付くことはできなくて、朝になって太陽に照らされた妖怪の屍の山を見てから急いで人里に来たんだけど…………既にフランは人里を発っていた。
それで一旦紫さん達に事情を説明したんだけど、やっぱり皆、特に慧音さんが難しい顔をしているの……。
「……フランの忠告通りにしたのは良い。
だが、探すのが二人だけではあまりにも人数が足らなすぎるだろう?」
「でも、私とこいしの二人で探さないとフランは戻って来てくれないのかー……」
フランが私達に告げた条件は『紅魔館の従者としてではなく、親友のこいしとルーミアだけでフランを捕まえること』…………。
もし、他の誰かの手助けを借りたりなんかしたら、ルーミアが言う通りに本当に帰ってきてくれないかもしれない。
……だから、どんなに探すのが難しくてもルーミアと二人だけで絶対に見つけるの!!
「心配してくれてありがとう慧音さん。
でもやっぱり、これは私とルーミアとフランの問題だから自分達で解決するよ。
……それじゃあまたフラン探しに戻るね!
行こっ、ルーミア!!」
「うん、フランを探しに行くのだー!」
そういって一気に上空に舞い上がった私とルーミア。
下から紫さんが私達を呼ぶ声がしたけど、気にすることなく東へと飛んでいった…………。
ーーーーーside 紫
「待ちなさい、こいし、ルーミア!!
………………ダメね、また行ってしまったわ……」
「フランといい、こいし達といい、飛び去るのが早いですね紫様……」
「しかもこいし達はフランが飛び去った方角を聞かずに行ってしまったな…………。
飛んでいった方角もほぼ正反対の方角だし…………」
フランと同じように、あっという間に消え去っていったこいしとルーミア。
しかも慧音が言う通り、こいし達はフランが飛んで行った方角とはほぼ正反対に言ってしまった……。
「……また、スキマで追わないといけないのね。」
「すまないが、そうしてやってくれ。
流石に探す方角を間違えるのは厳しいだろう」
フランを追った時に散々破壊され過ぎて、最早スキマを開くのも億劫なぐらいまで疲れているけれど…………フランに早く戻ってきてもらうためだもの。
こうなったら何回でもスキマを開いてやるわ……!
ーーーーー紅魔館。
ーーーーside さとり
「…………はぁっ……」
「……レミリア、紅茶を注ぎましたよ。
少しでも良いから飲んで元気を出してください」
完全に落ち込んでしまっていて、最早私の声すら届いていないレミリア。
その心の中は、フランが再び脱走したことへの悲しみに溢れています……。
私も驚き、嘆いてはいますが…………今は私以上に嘆き悲しむレミリアをどうにかしないといけません……。
……優しくしてダメなら、荒療治をするべきですね。
「……レミリア、こちらを向いてください」
「…………さっきから一体何、っ!?」
レミリアがこちらを振り向いた瞬間、想起で創り出したグングニルを突き付ける。
それに対しレミリアも初めは驚いていたものの、段々とその紅い両眼が細められてきた……。
「…………さとり?
これは一体どういうつもりかしら?」
「レミリアがあまりにも腑抜けてしまっていましたから、喝入れですよ。
そのままの状態ではフランに会えないでしょう……?」
想起グングニルを突き付けられていても、眉一つ動かさずに私を見つめ続けるレミリア。
それに対して、私もまた想起グングニルを下ろさずにいた。
「喝入れするだけなら、もう武器を下ろしてもいいんじゃない……?
……もしかして、私を誘っているのかしら?」
「……その通りです。
レミリアとはまだいつかの決着が着いていませんからね。
……近くには寝室もありますし、ベッドに組敷いてあげますよ……」
……次の瞬間、レミリアが想起グングニルを横に弾いて私に突っ込んできた。
それを私は正面から受け止め、勢いを殺しきれずに壁に叩きつけられる……。
「……ふふっ、顔が赤くなってますよレミリア。
もうすぐその可愛らしい顔を自分のモノにできると思うと、とても興奮しますね…………!!」
「ちっ、黙れさとり!!
二度と変なことを喋れないように、その口を塞いでやる!」
私を壁に押さえつけつつ、激昂しながら右腕を振り上げ私の頭目掛けて突き出すレミリア。
私は頭をずらすことでレミリアの右腕を避ける。
そして壁に突き刺さっているレミリアの右腕に、軽くキスをした……。
「……とても嬉しい申し出をしてくれますね。
私にキスをして口を塞いでくれるのでしょう?」
「なっ、ち、ちがぁぁぁぁぁぁう!!!!!?
だから、こう、無理矢理塞ぐ的な意味よ!」
先ほどよりさらに顔を真っ赤にしながら反論するレミリア。
……良かった、一時的とはいえ大分元気が出たみたいですね。
後はレミリアがまた落ち込んでしまわないようにしつつ、私も楽しんでいきましょう……!
「無理矢理塞ぐというのは、燃え上がりそうなくらい情熱的なキスをしてくれるということですね……!?」
「そ、そうじゃないわよ!?
だから、その、何もできなくさせるっていう意味で…………ってさりげなく腰に手を回さないで!」
壁に突き刺している右腕を引き抜くことすら忘れて慌てているレミリア。
……心の中も、今の状況からどう逃げ出そうか、という考えで一杯ですね。
まぁ逃がしたりは絶対にしませんが…………。
それに…………。
「……私はこいしとルーミアならフランを必ず連れ戻せると信じています。
そして、フランも必ず戻ってきてくれると信じています……!」
「っ!? さ、さとり……」
……フランとこいしとルーミアが三人で必ず帰ってくると私は強く信じています。
それも近いうちに、皆で笑いながら帰ってくる、と…………。
「……だから、私は安心して待っていられるんです。
私とレミリアが探さなくても、きっと大丈夫だと思っていますから……」
「大、丈……夫…………」
少しだけ惚けてしまっているレミリアの右腕を優しく引き抜き、その華奢な体を強く、強く抱き締める。
「……そう、よね。
フラン達なんだもの、きっと笑いながら帰ってくるわよね……!
……ありがとうさとり、おかげで少しだけ気が楽になったわ!」
どこか不安が混じっているけれども、それでも先ほどよりは良い笑顔を見せてくれたレミリア。
……とても元気になりましたね。
これなら、私も一安心です……!
……さてと、それでは…………。
「レミリアが元気になれたようで何よりです……!
……さて、フラン達が帰ってくるまでの間は二人きりですし、これからゆっくりと楽しみましょうか!」
「…………えっ?
ちょっ、ちょっとさとり!?
ち、近すぎるわ……って抱き締める力がさっきより強くなってる!?
……あっ、ま、待って、美鈴やメイド達だっているのよ!?」
「誰がいようと関係ありませんよ?
私が心配するのはフラン達の情操教育に悪いかもしれないということだけですが…………今はそのフラン達がいませんからね」
そう言いながらレミリアの右頬に軽いキスを落とす。
そして私から逃げ出せないように、第三の目の触手を使って私ごとレミリアを絡めとる……。
「さぁ、たくさん楽しみましょうレミリア……!」
「あっ……い、い、イヤァァァァァァァァ!!!!!?」
ーーーーー
ある日の朝、紅き館に主たる吸血鬼の悲鳴が響き渡っていた…………。
ーーーーー
以上、ほぼさとレミ回でした!!
……何ていうか、流石さとりでしたね。
キチンと真面目な部分は真面目なんですが……。
さて、こいしとルーミアは無事にフランを見つけられるのでしょうか?
それではまた次回にてお会いしましょう!!




