主と従者、そして妹
どうも、愛式未来です!
リアルが追い付かず、更新が大幅に遅れてしまい申し訳ありません。
受験が終わる来年の三月まで多々このようなことがあるかもしれませんが、どうかお許しください。
さて、楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー紅魔館前の道。
ーーーーside フラン
……パサッ……
御姉様が日傘をさし、先にスキマから出た。
私も御姉様の背中を追い、スキマから出る。
「……ほらフラン、あそこを御覧なさい。
立派な紅い館が見えるでしょう?
貴女がいない間に、より大きく、より素晴らしい館にしたのよ」
「うわぁ…………!!
とっても大きくなってるね!!」
紫さんのスキマから出た場所は、正面に紅魔館の全体が見える道。
そこから見える紅魔館は私がいた頃よりも立派になっていて、正に前世知識にある通りの姿になっていた……。
「何年ぶりかな、紅魔館に帰ってきたのは……」
「……あれから50年は過ぎたわ。
貴女がいない間は殺伐とした館だったけど…………これからは明るく活気のある館になるわね……!」
そう言いながら御姉様はこちらに振り返り、皆がいる前では決して見せることのなかった、まるで花が咲いたような満面の笑みを浮かべていた。
……ふ、不意打ちは卑怯だよ。
思わず胸の鼓動が強くなっちゃったし、頬がみるみるうちに熱くなって赤くなっていくのが分かるもん……。
「さてと、フラン、先に進みましょう」
「う、うん…………!」
先に進もうと言って来る御姉様に対して、私は顔の火照りを誤魔化すように明るく振る舞い…………御姉様の、小さいけれど私にとっては大きな背中を追いかけていった……。
ーーーーー紅魔館前。
御姉様の背中を追って少し歩いた頃、遂に紅魔館の門が見え始めた。
……あれっ?
門の所に誰かいるけど、あれってもしかして美鈴かな?
「あらっ、あれは美鈴かしら……?
紅魔館の中のことを頼んでいるはずなのに、何であんな所に…………」
「御姉様が紅魔館の中のことを任せられる人!?
それってとっても凄い人だよね!?
ちょっと挨拶してくるね!」
「あっ、ちょっ、待ちなさいフラン!?」
御姉様が重鎮のように扱う相手なら、私もちゃんと挨拶をしておかないと……!
そう思いながら御姉様の制止を振りきり、走って美鈴に近づいていく私。
そうすると、美鈴も私に気づき…………。
「えっ…………?
あっ、そこの妖怪、止まってください!」
……走り寄っていく私に制止の声をかけつつ、型を構えていた。
流石に警戒され続けて敵と思われるのは嫌だから、素直に美鈴の前で止まる私。
……素直にしていたら、いきなり戦いになったりしないよね?
「……さて、貴女はどちら様ですか?
ここは紅き悪魔の館、紅魔館。
一般の妖怪が来るところではありませんよ?」
未だ多少の警戒はしつつも型を解く美鈴。
警戒されるのはあまり良い気分ではなかったけど、その姿は立派な門番のそれだった。
……御姉様は本当に良い人を従者にしたんだね!
「……ふふふっ!
私は一般の妖怪じゃないよ?
だって御姉様の妹だもん!」
「……へっ?
お、御姉様というのは誰ですか?
それに一般の妖怪じゃないって……」
美鈴からすればとんちんかんな私の返事に、物凄く戸惑ってるみたい。
……でも、もうすぐもっと驚くんだろうなぁ……!
……そうやって私が微笑み、美鈴が戸惑ってるとようやく御姉様がやって来た。
「……こらっ、待ちなさい!!
もうっ、先に行ったりしたらダメでしょう!?
今の従者達は貴女の姿を知らないんだから、攻撃されたりしたらどうするの!?」
「なっ、お、御嬢様!?
お、お帰りなさいませ!!」
私が何も考えずに紅魔館へ先に行ったことをたしなめる御姉様。
美鈴は御姉様の姿を確認して驚きながらも出迎えをしている。
……確かにちょっと突っ走り過ぎたかな?
反省反省…………。
「……先に来てごめんね?
でも、素直にしてたらこの人は攻撃してこなかったよ!」
「攻撃されなかったから良いというわけでもないのだけれど…………。
……まぁしょうがないわね、今回は不問とするわ」
そう言って苦笑しながら私の頭を撫でる御姉様。
……えへへっ、御姉様に撫でてもらえたよ!
そうやっていると、美鈴が御姉様に質問をして来た……。
「……御嬢様、お楽しみ中に申し訳ありませんが、その方はどちら様ですか?」
「あら美鈴、貴女はこの子の格好を見て何も思い出さないのかしら?
散々探させたでしょう……?」
御姉様の言葉を受けて、私の服装や髪を確かめ始める美鈴。
そして心当たりがあったのか、どんどん顔が驚愕の色に染まっていった。
「……し、失礼ですが、貴女はもしかしてフランドール御嬢様ですか……?」
「うん、そうだよ!
私の名前はフランドール・スカーレット!
『レミリア御姉様の妹』だよ!!」
美鈴が恐る恐るといった感じで訪ねてきたことに、笑いながら自己紹介をする私。
しっかりと御姉様の妹というのもアピールしたよ!
……そうすると美鈴は顔を青くし、震えだした。
「も、申し訳ありませんでしたぁぁ!!
妹様とは露知らず大変な御無礼を働いてしまい、どうお詫びをすれば…………!?」
まさに全力といった様子で謝ってくる美鈴。
私が慌てる美鈴を落ち着かせようと声をかけようとしたら、御姉様が前に出てきた。
「どうしたの御姉様?」
「お、御嬢様……?」
一体何をする気なんだろう?
背中の雰囲気からは従者を落ち着かせようとしてるようには見えないんだけど…………。
……そんな疑問を浮かべていた私の耳に入った御姉様の言葉は、信じられないものだった。
「……美鈴、貴女を極刑に処すわ」
「「え、ええぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」」
あまりの発言に思わず声をあげる私と美鈴。
……ど、どうしてそうなったんだろう?
美鈴もあんなに反省してるし、私も気にしてないのに……。
そんなことを考えているうちに御姉様はグングニルを喚び出した。
そしてグングニルを美鈴に向けて構え…………。
「……さぁ、私の妹であるフランに気付かず警戒した罪、存分に償いなさい!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!?」
……目の前の美鈴目掛けて投合した……。
ーーーーside レミリア
私がグングニルを投合した瞬間、辺りが静まり返った。
「…………えっ?
わ、私、まだ生きてる……?」
「……御姉様?」
美鈴に向けて放たれた槍は美鈴の頭の横を通り抜け、奥の塀を穿っている。
……これでフランと美鈴のことは一件落着ね。
「……美鈴、貴女は今『罪を裁かれ死んだ』わ。
そしてもう一度『生き返った』のだから、今まで以上に頑張って働きなさい」
……格好をつけるつもりはないけれど、有能な従者が犯した些細な罪をこのように裁くのは当たり前よね。
このような場合なら形だけはしっかりと裁き、実際はちゃんと生かして本人のやる気を出させるようにする…………これもまた主としての役目の一つよ。
「……あ、ありがとうございます御嬢様!
不肖紅美鈴、これまで以上に忠誠を捧げ、頑張ります!!」
「そう……それなら、ちゃんと頑張りなさい」
私の行動に感動し、私の前にひざまずく美鈴。
それに対し、私は労いの言葉を一つかけてやった。
……さて、フランはどう誉めてくれるかしら?
そう一抹の期待を込めて後ろを振り向くと…………。
「フ、フラン…………?
何でレーヴァテインを喚んでいるのかしら……?」
「妹様…………?」
……後ろを振り向くと、フランはうつむきながらレーヴァテインを喚んでいた。
そして手に持つそれから炎を噴き上げながら、上に振りかぶり…………。
「……御姉様の…………御姉様のバカァァァァァァァァ!!!!!!!!」
……私に向かって振り下ろした。
……フランに心配かけすぎたわね……。
ーーーーー
以上、美鈴との遭遇回でした!
……途中まで、途中まできまっていたのに結局レミリアはやり過ぎましたね。
フランはかなり心配したようです。
それではまた次回にお会いしましょう!




