喧嘩するほど……
どうも、東方転妹録最新話更新です!
えー、今回は和やかに話が進みます!
……嵐の前のなんとやら、かもしれませんが。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー十分後、魔界。
ーーーーside フラン
目元を覆い隠す仮面、首から口元に掛けて包み込む大きなスカーフ。 フードの付いた長袖のジャケットに、 指先すら出すことを許さない長い手袋、七色の宝石を引っ提げた翼を包み隠す布とゆったりとした長ズボン。 靴はロングブーツで、布にくるまれたままの翼を出す穴の付いたローブを身に付ける。 それらの全てが紅と黒のツートンカラーで染められ、細部に金色のラインやポイントが散りばめられている。 髪の先以外フードに隠れてはいるけど、髪型もいつものサイドテールをほどかれ、ロングストレートのままに変更された。
…………目と髪の先端以外、一切露出しないこれらの服装をさせられているのは、他でもない私だ。 まるで厨二病を発症したかのような格好だけど、私はこの服装を望んだ訳ではないことを明言しておきたい。 前世では軽く厨二病だったかもしれないと思うことは今でもたまにあるけど、流石にこんな格好はしなかった。
「……ねぇねぇ夢月、ヤマメ。 私、本当にこんな格好してなきゃいけないの?」
「えぇ、当然です。 フランさんと依姫さんは見てないから分からないのも無理はありませんが、フランさんの取り巻きの方々はかなり発狂していますから」
「私は夢月達に負けてから少し落ち着く時間があったし、落ち着いている間にフランに会えたから良かったんだけどね。 発狂状態の皆にフランの姿を見せてしまったら、発狂したままフランに欲望を叩き付けようとするかもしれないし」
「ですから、まずはフランさんの雰囲気だけで取り巻きの方々を宥めて、その後に顔を見せて安心させようということです…………というか、さっきこれは話しましたよね? 後、もう魔界ですからこれからはオーエンさんと呼びますね」
「いや、その…………なんというか、この姿は少し恥ずかしいから……声も変えてるし…………っていうか、やっぱりオーエンなんだね……」
魔界に行きたいとサリエルにお願いした時、誰よりも早く動いたのが夢月だった。 サリエルが特に問題なく快い返事をしてくれている僅かな間に今私が着ている服一式をどこからか集めてきて、私が着替える必要がある理由を話したかと思えばヤマメと協力して私を着せ替えたのだ。 いつの間にヤマメと仲良くなったのかは分からないけど、仲良くなれたのは喜ばしいこと。 しかし、仲良くなって初めての共同作業が私の着せ替えというのには異議を申し立てたい。
私を着せ替えた後、夢月とヤマメが私の服に変声の式と適応の式、気配消しの式に汎用型の防御の式等々様々な術式を織り込み、挙げ句ヤマメから私がフランドールだと他の人に分からないようオーエンと名乗ることを強要してきた。 勿論理由はちゃんとあるし、その理由も発狂中の御姉様達をゆっくり宥めるためとなれば文句は言えない…………言えないけど、オーエンと名乗って御姉様達を刺激しないかどうか、悩むところである。
因みに私が着せ替えられている間、サリエルは不思議なものを見る目で私達を観察しつつ、依姫を起こしてから魔界への入り口を開いてくれていた。 私達、というより依姫に負けたから一緒に来てくれて手伝ってくれているとはいえ、本当に優しく気配りが出来る堕天使である。
「さてと、そろそろ雑談はやめて、尋ね人を探すとしようか。 私とフラン、いやオーエンか……オーエンは異変の調査も兼ねて、となるが。 サリエルさん、夢幻世界で争っていた者達は全員魔界に送ったのでしたよね」
「えぇ、確か9人程送ったわ。 元々はもっと人数がいたみたいだったけれど、最終的に争っていたのはその9人だけだったから」
「えっ!? 9人? 9人しかいなかったってどういうこと!?」
「オーエンさん、恐らくですがその9人以外が死んだという訳ではないと思いますよ。 そこの土蜘蛛や妖精達が勝負に負けて脱落した以降、死者を出したくなかったのか、脱落した者はスキマという空間に八雲紫とやらが保護していました。 スキマという空間が中にいる者をどうする空間かは分かりませんから、脱落者の生死までは分かりませんが」
「そういう大事なことは早く言おうね夢月!? ……と、とにかく、紫さんを見付ければ大体の人達は芋づる式に見付けられる訳かぁ……。 ねぇサリエルさん、その9人ってそれぞれどんな人達だった?」
「それぞれの特徴ね……えーと、白い翼の悪魔と蒼い髪の吸血鬼、異端の神……確か閻魔と呼ばれてる人だったかしら? それと黒い帽子を被った悪魔……いえ、確かああいうのは妖怪って呼ぶんだったわね。 黒い帽子を被った妖怪と色々姿が変わる妖怪に紫色のドレスを着た妖怪、それと闇を操る妖怪。 他には……銀髪の変な色の服を着た人間……あれって人間なのかしら? ともかく人間が一人と、黒髪の天狗とかいう種の妖怪がいたわね」
話をまとめると、恐らく戦いに生き残って魔界に送られたのは幻月、御姉様、映姫さん、こいし、多分ぬえ、紫さん、ルーミア、きっと永琳さん、そして文お姉さんの9人。 夢月の言う妖精達とはチルノと大ちゃん、妖精メイドのことだろうから、ヤマメとチルノと大ちゃんと妖精メイドを除く他の皆は紫さんによってスキマか、別の安全な場所に送られたに違いない。
そうなると、まずはやっぱり紫さんを探し出したいところだけど……。
「まぁとにかく、探す相手が分かったなら後は動き回ってみるしかないね。 まずは……どの方向に行く?」
「ここはもちろんこのヤマメさんがーーー」
「もちろん土地勘のあるサリエルさんに決めてもらいたいです。 馬鹿の勘なんて宛になりませんから、さぁさぁサリエルさん、どうぞよろしくお願いします」
「ーーー決める、ってこらぁぁぁぁぁ!!!? 私より土地勘のあるサリエルさんに任せるのはともかく、馬鹿ってなんだ馬鹿ってぇぇぇぇ!!!!」
「あら? 私は別に馬鹿がヤマメさんのことだとは言ってませんよ? 自分から馬鹿と名乗り出るとは、本当に間抜け……こほんっ、面白い方ですね」
「むっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! 本当に何なのよアンタは!!!!!? この生意気悪魔!!!! 戦闘狂!!!!」
「……よし、この二人は放って先に行くか」
「……そうね、それが良いわ。 さっ、まずはこっちの方向に行きましょう。 こっちには血気盛んな奴等が集まった集落があるから、もしかしたら尋ね人の内の誰かがいるかもしれないわ」
「う、うんっ! じゃあ行こっか!」
言い争う夢月とヤマメを置いて、サリエルを先頭に御姉様達を探し始める私達。 そういえばさとりは脱落したんだなぁと考えていると、すっきりした様子の夢月とボロボロになりながらも悔しがるヤマメが追い付いたのは、私達が出発して数分経ってからであったのだった。
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以上、夢月とヤマメの漫才回でした!
……うん、さりげなくさとりが脱落していたり(笑)
次は誰と合流するのか……そして一回遅れている分の更新はどこで出来るのかorz
それではまた次回にてお会いしましょう!




