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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
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宵闇無双 崩壊の足音

 どうも、東方転妹録最新話更新です!



えー、院試を来週に控え、研究も多忙化してきて死にかけてますがなんとか更新できました!


さて、今回は前回までとはうってかわってルーミア視点です!

……ちょっと、ヤバい状態ですが(笑)



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー同刻、??。

ーーーーside ルーミア



 震える赤黒い空、力無く倒れ伏す暗い大地。 私が一度剣を振るえば地面は抉れ、一度手を翳せば闇と炎が空を包み焼き尽くす。 そして、その無惨な空と大地の世界にいるのは…………私と、翼が折れ、満身創痍となった幻月の二人だった。



「はぁ、はぁ…………貴女……何者なの……!?」


「んー? 一度自己紹介したはずだけど……それとも、出会い頭に私に顎を撃ち抜かれたことを忘れでもしたのかー?」


「そうじゃない!! 出会った時も、他の奴らがいた時も、ここまで強いなんて1つも感じさせなかった!! こんな……私が手も足も出ないなんて……そんな…………!!!!」


「…………馬鹿な奴なのだー」



 確かに、ここまで周りを気にせずに戦ったことはフランと出会って以降ほとんどない。 味方など気にせず、ただ圧倒的に、暴力的に相手を叩き潰す必要が無かったからだ。 可能な限り皆と仲良くしていたい……そんなフランの想いを汲みたかったし、私自身自分の攻撃で味方を巻き込みたくもない。 必要がないどころか味方にとっても危険だからこそ、力を無差別に振るうことなどしてこなかった。 もちろん力を無差別に振るった所でフランやこいし位なら余波くらい耐えてくれるだろうけど…………それでも、フラン達を傷付けるのだけは嫌だった。

 そして、フラン達を傷付けるのだけは嫌だったから、フランが死んでも残った私の家族を守りたかったから、これまでの私の姿は幻月に過小評価されたのだろう。 そのことを考えると、色々な気持ちが混ざり合い、私の声として外に出てしまっていた。



「ぐぅぅ……! せめて、せめて一撃だけでも喰らわせてやる!!!!」


「……フラン、私は、どうすれば良いのかー…………」



 幻月が右の拳を握りしめ、その中に並大抵の妖怪や神では近付くことも難しい程の魔力を集め始める。 しかし私の興味はそちらには向かず、ダーインスレイブを構えることもなく宙を眺めていた。

 運命を手繰ろうとしても、無意識の先に行こうとしても、境界を越えようとしても、白黒付けようとしても、フランの元に行くどころか生死を見極めることすら叶わなかった。 万が一の為と、御義姉様とさとりがフランに持たせた魔方陣を編み込んだ装飾品の反応が途絶え、同時に私とこいしとぬえでフランの衣服に編み込んだ術式からも反応は帰ってこなくなった。 それは、フランが一瞬で消し飛んだ可能性が高いことを示している。 幻月の一撃により消し飛ぶ瞬間、フランは何を思っていたのか…………フランは、幻月をどうしたいと思っていたのか……。



「あぁぁぁぁ!! 喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


「フラン、私には分からない……分からないのだー…………」



 今やフランを殺した幻月への怒りよりも、フランの声を聞きたいという気持ちが強くなっていた。 フランの声を聞いて安らぎたい。 フランの姿を見て笑いたい。 フランの手に触れて微かな温もりを感じたい…………どうすれば、どうすれば私はフランの元へ行けるのだろうか。 幻月に何をすれば、フランは私のことを誉めてくれるのだろうか……。



「っ!? ど、どういうこと!!!? 私の、私の魔力が!!!!」


「……幻月、殺しはしない、殺しはしないのだー。 でも、フランが帰ってくるまでは…………」


「くっ! 何よ!! フランは私が殺したの!!!! 帰ってくるはずが無いでしょうが!!!!!!」



 幻月が放った特大の光線を、無防備に立つ私の眼前で広がり薄く包み込む闇。 闇は無尽蔵に放たれる魔力を容易く呑み込み、光線を侵食しながら幻月へと迫る。 侵食する闇に気付いた幻月は傷付いた体に鞭を打ち、酷い脱力感と己の魔力に焼かれる腕等気に求めず光線へ限界以上に魔力を込めた。

 しかし、闇は止まらない。



「くそっ! くそっ!! くそぉぉぉぉぉぉっ!!!!」


「……フランが帰ってくるまでは、反省していてもらうのかー」



 私の言葉に幻月が目を見開いた時、言葉にならない悲鳴と全身の骨が砕ける音が辺りに響き渡り、そして静寂へと帰る。 闇に呑まれた幻月は、闇の中で破壊と再生を繰り返す。 己の再生能力の限界まで破壊され、生と死の境目で延々と苦痛を味わい続けるのだ。 そしてフランが私の元に帰ってきた時、その苦痛は終わり、幻月は罪を償うことになる。

 その後に、私は…………。



「きっと、フランが沢山誉めてくれるのだー……」



 静寂に包まれた空間に背を向け、私は御義姉様達を探すために歩き出す。 突如現れた堕天使に夢幻世界からこの世界へと飛ばされた時、私は幻月と共に御義姉様達とはぐれてしまった。 だから、私は御義姉様達を見付けなくてはならない。 見付けたなら、きっとフランがもっともっと沢山誉めてくれるから。



「ねっ、フラン? 私、頑張るから、後でちゃんと誉めてほしいのだー!」



 私の見つめる先、そこにはフランがいる。 私に笑顔を向けて、優しく見詰めてくれている。 後ろ手に組んだ両手は、きっと後で沢山私を抱き締めてくれるのだ。 それは本当に本当に幸せなこと。 フランの寵愛の証なのだから…………。



「……そういえば、幻月の妹の夢月だったかー? あいつはどこにいるのだー…………」



 思えば幻月を追って夢幻世界に辿り着く少し前まで、夢月とやらも幻月の援護をしていた。 そうなると、夢月もフランを殺すのに一役買っていたのかもしれない…………そうならば。



「夢月とかも捕まえて反省させておけば、フランはもっともっと誉めてくれるのかー? …………うん、きっともっともっともっと誉めてくれるのだー!!」



 そうと決まれば出し惜しみはしていられない。 何でもいい、どんな手を使ってでも夢月とやらを捕まえなくてはならない。

 右手に持っているダーインスレイブが、左手に呼び出そうとしているモノに反応し、興奮しているかのように震え出す。 そして、その震動が最高潮に達した時……。



「これ、確か使っちゃいけない剣だった気がするのだー…………まぁ何でもいいのかー! フラン、待っていてほしいのだー!!」



 そう言って駆け出す私の左手には、ダーインスレイブとは違う金色の柄の剣が握られている。 その名は、ティルヴィング。 必中と滅亡の魔剣であり、ダーインスレイブ、レーヴァテインと並ぶ名剣。 その剣を握る意味を思い出せなかった私は、ただただ目の前に居続けるフランに向かって笑いかけながら走り続ける。





 フランは、ただただ微笑み続けるだけだった。





ーーーーー

以上、幻月敗北&ルーミア闇落ち回でした!



宵闇の妖怪なのに闇落ちとは此れ如何に。

尚、レーヴァテイン、ダーインスレイブ、ティルヴィングは全て北欧神話の魔剣です。

特にティルヴィングは……(ry



それではまた次回にてお会いしましょう!

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