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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
275/283

夢と幻の館

どうも、東方転妹録最新話更新です。



えー、先週は地震の影響で家の中が凄いことになりました。

幸いに私がいるところは直下ではありませんでしたが……まだ、先が不安になりますね。


さて、今回は繋ぎ回のようになっています!

若干長め……かな?


それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー数十分後、夢幻館近くの湖。

ーーーーside フラン



紅魔館から飛ぶこと数十分、記憶に新しい道を霧の中から探し出しつつ夢幻館へと飛んできた私達は、漸く夢幻館を囲う湖の所まで辿り着いた。 しかし漸くとは言っても私と夢月の方向感覚は間違っていなかったみたいで、以前幽香さんに案内してもらった時よりも少し時間が掛かった程度だ。 ただし、気になる点は二つある。 一つは夢月館に向かう道中、誰も見掛けなかったこと。 もう一つは先程から段々と霧が晴れてきていることだ。



「後はこの湖を越えるだけだけど……ここまで来る途中で誰も見掛けなかったね。 ヤマメみたいに誰か吹き飛ばされたりしてるかなって思ってたけど…………もしかして吹き飛ばされたのはヤマメだけ?」


「ちょっ!? フラン! そ、そんなはずは無いでしょ!? だってあの夢月とか言う奴に勝負を挑んだ連中には明らかに私より弱そうなのもいたし!!」


「開幕早々一番にぶっ飛ばされた時点で最弱でしょう。 まぁ生き残ってるだけマシって位でしょうかね?」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!? コイツほんっとうに腹が立つぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」



ヤマメの叫びが辺りに響くと同時に湖を越え始め、一同は夢幻館を目指す。 しかしその間もヤマメの怒りの叫びは止まなかった。 弱いと言われて余程悔しいのだろう…………後で少し慰めてあげる必要があるかな。 そりゃ夢月から見たらかなり弱いかもしれないけどヤマメがそんじょそこらの妖怪より強いのは事実だし、チルノや大妖精程度に負けることはない。 地底にいる実力派の妖怪な訳で、椛や一輪辺りも敵ではないだろう。

しかし、夢月はどうして執拗にヤマメを弄るのだろうか。 確かにヤマメは弄りやすいけど……流石にここまで弄るのは、何か別の意図を感じる。



「まぁ落ち着け土蜘蛛よ。 この夢月とやらはお前を煽ってフランの怒りを買いたいだけだ。 フランと戦いたいがフランのことだ、戦いたいと伝えても中々本気になってくれないだろうからな。 だからこそフランの怒りを買って本気で戦ってもらう為にお前を煽っているのだろう。 ……ただまぁ、煽っているとはいえ話している内容も多分本気だと思うけどね」


「あら……まさかそこまで読まれるとは。 ここまでの立ち振舞いの様子から実力者であることは分かっていましたが…………今度、手合わせ願いたいですね。 あっ、勿論土蜘蛛へ伝えた言葉は本音です」


「いやだから意味ないじゃん!? 本音じゃ意味ないじゃん!! もぉぉぉ……フラァァァァン!!!!」


「はいはい、大丈夫だよヤマメ。 私はヤマメが強いって知ってるもん。 前に私とぬえが開けた地上と地底を繋ぐ穴の監視をしてくれているのは知ってるし、そこで興味本意で地上から侵入してこようとした者や暴れる為に地底から出ようとした者を追い払ったり倒したりしてるのも知ってるよ? それだけじゃなく、地霊殿の手伝いまでしてくれてるし。 それにね? ヤマメの出す糸は私や御姉様が気に入るくらい強くて綺麗なの! その辺の蜘蛛の妖怪には出せないくらいにね! だから大丈夫、ヤマメは強い妖怪だよ。 私が保証するよ」


「うぅぅ……! あの時と同じ、レミリアさんと同じだ……!! やっぱりフランのこと大好き! レミリアさんもフランも大好きだよ私!!!! スカーレッツバンザァァァァァァァァァァイ!!!!!!」


「なんと…………正しく吸血鬼ですね、フランさんは。 一瞬で土蜘蛛を魅了してしまいました」


「フランが土蜘蛛を魅了する原因になったのは自分だと分かっているのか……?」



私の方が体が小さいこととか気にせずに素直に泣きついてくるヤマメを宙に浮かんだままゆっくりと抱き締めつつ慰めていると、気が付けば湖を越えて夢幻館へと辿り着いていた。 辺りの警戒をし忘れてたとか、湖に誰か浮かんでないかチェックし忘れたとか、霧が晴れてきていることを皆に伝え忘れたとか色々あるけど、とりあえずヤマメを慰めることが優先だったのだから仕方がない。 大分落ち着いたヤマメと手を繋ぎ、依姫に周りを警戒してもらいながらどこか悔しげな夢月の案内で、戦闘の跡が見られない夢幻館の中を進む。

エリーやくるみ、オレンジを見掛けることは無かったけど、夢幻館にはいないのだろうか? 戦闘の跡も無いってことは…………もしかしたら、夢幻世界には誰も辿り着いてない? どちらにせよ、夢幻世界の中に誰かいないか確認を取る必要はあるけど…………。



「……皆さん、この扉が夢幻世界に繋がっています。 ただ、ここまで戦闘の跡が見られなかったことが気掛かりですが…………とにかく、入る準備は出来ましたか?」


「うん、入るのは全然大丈夫だけど……もしかして、夢幻世界に入る時に何かあるの?」


「いいえ全く? 一応聞いてみた方が雰囲気が出るかと思いましたから……フランさんもそういうの好きじゃないですか?」


「雰囲気を出すのは好きだけど、時と場合は選びたいかな……って今それはどうでもいいよ! とにかく中を確認しないとね!」


「何だろう、明らかに私をいじめてくる時とフランをからかう時の態度が違う気がする」


「フランは純粋に可愛いし夢月を倒しているしな。 まぁあれだ、気にするな」


「話は終わりましたね。 それでは中に入りましょう。 夢幻館に戦闘の跡はありませんでしたが、万が一姉さん達が中で暴れていた場合は気を付けてくださいね」



その一言と共に扉の取っ手に手を添えた夢月が扉を開け、その先にある夢幻世界が私達の前に姿を現す。 見えたのは、まるで宇宙のような空間。 私達がいる現実空間から差し込む少しの光すら貪欲に飲み込むかの如く、黒く、それでいて何故か神秘的な雰囲気を持つ独特な空間。 ルーミアの闇ともまた違う、美しいと例えたくなるような黒い空間が目の前に広がっていた。



「中には誰もいない? 音も聞こえてこないが……」


「フラン、まだ入っちゃ駄目だよ。 この空間、底無し沼のように広がってるみたい」


「うん…………ねぇ夢月、もう中に入っても大丈夫なのかな? それともここで音が聞こえてこないってことは中には誰もいないって思っても大丈夫?」


「いえ、夢幻世界はとてつもなく広いですから、ここで誰もいないとは言えませんが…………依姫さん、ヤマメさん、この縄を持って、ここで待っていて貰えませんか? 私とフランさんで入ってみますが、少し夢幻世界の様子がおかしいので何が起きるか分かりません。 私とフランさんにそれぞれ一本ずつ縄を巻いて起きますから、何か起きたら引っ張ってください。 直ぐに縄づたいに戻ってきます。 フランさんも、始めは私と手を繋いで入りましょう。 私に勝った方ですから中に入る分は大丈夫だと保証できますが、有事の際の安全までは保証できません。 せめてはぐれないようにしなければ……」



夢幻世界の方へ手を伸ばした夢月が現実空間へ引きずり出したもの。 それは二本の縄で、恐らく夢幻世界で夢月が創造したものなのだろう。 細く、それでいて全く千切れそうに無いほどにしっかりと編まれた縄の端を私と夢月の腰の辺りにそれぞれ巻き付け、反対側の端を扉の取っ手に絡ませてから私の縄を依姫が、夢月の縄をヤマメがそれぞれ握る。最後に私が抱き着くように夢月の左手にしがみついて、中に入る準備は完了した。



「基準は夢月に勝ったか否か、か……まぁしょうがないわね。 夢幻世界とやらの創造主の片割れらしいし、ここは素直に従っておこう。 フランのことは頼んだぞ」


「はい、いざという時はフランさんだけでもこちらへ戻します。 夢幻世界が静かすぎる……恐らく、何かあるでしょうから」


「フラン、そのいけすかない奴にいじめられたら直ぐに縄を引くんだよ? 絶対に助け出してあげるからね」


「いじめられることはないと思うけど……でもありがとう。 何かあったら直ぐに縄を引くから、よろしくねヤマメ」


「……それでは中に入りましょうか。 お二人とも、後はお願いします」


「それじゃあ行ってきまーす!」



ただならぬ夢月の様子に、依姫とヤマメが心配そうにこちらを見ているけど、それを気にしていないかのように元気に挨拶をする。 夢幻世界へと向き直り、夢月と共に一歩を踏み出すと、何も無いように見えた場所にはしっかりと踏むことのできる見えない何かがあるようだった。 それはまるで夢の中、現実ではあり得ない事が起きているようで、幻を感じているようでもあった。



「姉さん、何かやらかしたのかしら……まぁ進めば分かることです。 はぐれないようにしっかり掴まっていてくださいね、フランさん」


「うん、じゃあ早く進もっか」



夢と幻の世界は、静かすぎるほどに静かだ。 まるで、夢の中でさえ幻を見せられているように…………。




ーーーーー

以上、夢幻世界突入回でした!


……ん? さりげなくヤマメがスカーレッツ丼狙い始めてないかって?

…………あのさとりの対抗株となりつつありましたから、ね(笑)



それではまた次回にてお会いしましょう!

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