悪魔の妹達
どうも、東方転妹録最新話更新です!
えー、今回はまるまるフランvs夢月回になっています!
因みに今までのフランの戦績を考えると……まぁ、どっちに転んでもおかしくないですよね?
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー紅魔館地下、螺旋階段。
ーーーーside フラン
「さぁ、始めましょう!」
夢月の言葉と共に夢月の周囲に卍型の弾幕が現れ、まるで牽制を掛けてくるように弾幕全体が回転しながらゆっくりと私へと迫る。 彼女の着る青いメイド服と同じ色の弾幕が螺旋階段の一層を埋め尽くさんとする勢いで絶え間なく大量に放たれてくるが、それを最小限の動きで避けながら、私は先程感じた気配について夢月に問う。
「夢月、貴女はどうしてここに? 他の皆は、メイド達はどこにいるの? 誰か、もっと沢山の気配がしてたのに……!!」
「あぁ、それなら……せっかく私とどちらがよりメイドらしいか決めようとしていたのに、貴女の声がした途端に上に逃げ出したものですから、さっきの子以外全員消し飛ばしましたよ? 因みに私がここにいるのは……んー、そうですね。 私を倒したなら話しましょう」
「そう……なら、貴女を倒してその口を開いてあげる!!」
縦はともかく、横は狭い螺旋階段。 その螺旋階段を上手く活かす為にカタディオプトリックを放ち、夢月の弾幕にぶつける。 壁の方へ抜けてしまった弾幕も壁に当たって反射し、無駄弾を出さずに数で勝る夢月の弾幕を着実に相殺していった。
しかし、夢月もまた黙って弾幕が相殺されるのを見ていたわけではない。 弾幕勝負がじり貧となると踏むや否や、互いの弾幕をすり抜け、私のそれよりも遥かに多い魔力と妖力を全身に纏いながら格闘戦を仕掛けてくる。 狭い螺旋階段では距離を取ることもできずに、私もまた全身を妖力と魔力を織り混ぜながら纏い、頭の前で両手を交差して夢月の一撃を受け止めた。
「狭い空間、一対一の状況、弾幕の密度の差……それらを考慮した上であのような反射する弾幕で私の弾幕を相殺しようとしたことは素晴らしいです! しかし弾幕を封じた所で私を止められますか!?」
「一撃を受け止められてる癖によく言うよ! それっ!!」
「かふっ!? ……成る程、これは重い拳です、ねっ!!」
「きゃふっ!?」
両手を後ろに振り抜いて受け止めていた夢月の手を払い、振り抜いた反動で前に戻ろうとする右手に意識を集中して力を込め、手を払われて隙だらけだった夢月の鳩尾に右の拳を叩き込む。 拳は確かに鳩尾に当たったものの、夢月を動かすことすら叶わず、衝撃で息を漏らしただけの夢月は薄い笑みを浮かべると私と同じように驚き固まる私の鳩尾へと拳を叩き込んできた。 その一撃で脇に差していた刀が外れ、吹き飛んだ私は螺旋階段の壁に叩き付けられて、そのまま階段に崩れ落ちる。 それでも立ち上がり夢月の方へと顔を動かすと、夢月は実に愉快そうに笑っていた。
「ふふふっ! どうです? 最上位の吸血鬼たる自分の力が通用しない……中々に屈辱的でしょう?」
「くっ……まだ、まだだもん!!」
「ぐっ……うん、やはり良い拳ですね。 貴女の姉よりも、よっぽど重い一撃です。 まぁ、速さは貴女の姉の方がありましたが……些細な差ですね」
こちらが最上位の吸血鬼ならば、向こうは最上位の悪魔。 その上纏う妖力と魔力の量と密度は向こうの方が上。 だからこそこんなことは想定内…………と、そう思っていても、確かに屈辱的だった。 幻月とは弾幕勝負しかしておらず、肉弾戦になった時どれ程の身体能力の差があるか分かっていなかった。 だからこそ、いきなり示されたその差に、私の中の吸血鬼の心が憤慨し、闘争本能を剥き出しにする。そしてその衝動に突き動かされるままに私は拳を握り締めて夢月に向けて飛び出し、今度は左の拳を叩き込む。 その拳は夢月の頬に突き刺さるものの、またしても夢月を動かすことは叶わず、当の夢月は面白そうに笑っていた。
「さっ、それではお返しで、すっ!」
「ぎゃぅっ!? ……ぐ、ぅぅぅ……!!」
私の拳をその頬に受け止めたまま、私と同じように、私の頬目掛けて繰り出された夢月の拳の一撃を受け、私の体が宙に吹き飛ぶ。 夢月の一撃は私の頬から頭部の右側面全体を抉り取り、私の体が壁に再度叩き付けられたてから数瞬遅れて、私の肉片が壁に飛び散った。
しかし今度は階段に崩れ落ちることなく、壁から背を離し、頭部の再生が終わるまで左目だけで夢月を睨み付ける。 そして同時に思考を巡らせ、どうすれば夢月の意表を突きながら夢月を倒すことが出来るかを考えていた。
「ふふっ……考えてますね。 いいですよ、どんどん考えてください。 こんな狭い場所ではお互い弾幕はほぼ使えない。 使えたとしてもさっきのように相殺するだけ、つまり意味はない。 そうなると肉弾戦しかありませんが、素の状態ならいざ知らず、妖力と魔力を纏った時の私と貴女の身体能力には大きな差がある。 さぁ、どうします……?」
「………………」
こんなに不利な状況は、ルーミアと模擬戦をした時以来だろう。 妖力の保有量も身体能力も私より勝るルーミアには能力を使わなければほぼ勝てない。 能力を使っても、掌に呼んだルーミアの眼を完全に破壊するまでに私の両手を切り飛ばされることがあって、勝率は半々くらいだった。 勿論瞬殺されることなんてなかったし、能力の有無は関係なしに善戦は出来ていた。 それでも、ルーミアにはいつも負けていたし、能力を使って完全に体を破壊した時だってすぐに闇から復活していたから、ある意味ではあれは勝ちではない。
……でも、唯一ルーミアを死の瀬戸際まで追い詰めたことがある。 それは私がオーエンとして生きていた頃、応戦しながらも語りかけてくるルーミアを一瞬で戦闘不能に追い込んだ時のことだ。 その時、私が取った行動は…………。
「……邪魔なものは、皆壊れちゃえ!!!!」
「っ!? こ、これは……はっ!! し、しまっ……!!!?」
「今だっ!!!!」
「なっ!? がはぁぁぁっ!!!?」
私が掌の中に呼び寄せた眼、それは夢月の妖力と魔力の眼。 それを破壊された夢月は、纏っていた膨大な妖力と魔力が消え、体内でも一時的に妖力と魔力が枯渇した状態になり、空を飛ぶことすら出来なくなって宙に投げ出される。 その隙に私は夢月に向けて飛び出し、何かを掴もうとするように伸ばした右手を夢月の胸元に突き刺した。 夢月の背中から突き出た手の中には抉り出された心臓が握られており、夢月の心臓を手中に納めた私の勝利を示している。
しかし、これだけでは足りない……夢月に負けを認めさせるには、一度意識を失わせて無防備な状態を私の前にさらけ出させなければならない。 夢月の顔を見れば、戸惑いはあれどまだ意識も闘志も無くなってはいなかった。 だからこそ私は、夢月の意識と闘志を差さえ続ける気力、精気を奪うために…………。
「ちゅっ、んむっ……!」
「ん、んむぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!? んん…………ん……!」
息も絶え絶えな夢月の唇へ、精一杯のヴァンパイアキッスを送ったのだった。
ーーーーー
以上、フランvs夢月&フラン久々の強敵相手の白星回でした!
……いやですね? どちらも悪魔の妹(片方種族、片方称号【吸血鬼は悪魔の一種的な扱いっぽい?】)でしたから、最後はあんな感じに、ね?
因みにフランのヴァンパイアキッスは夢月以外にはルーミアだけしていたはず…………のはず(メソラシ)
それではまた次回にてお会いしましょう!




