忘れちゃってたよ……
どうも、東方転妹録第27話です!!
更新が遅れてしまい、本当にすみません……!!
今回は今までで一番長くなりました!
そして、フランが覚悟を決めます……。
それでは楽しんでいってください!!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーside ??
「……さて、貴女は八雲紫だったな?
もう勝負はついた。
早く諦めて、私に浄化されなさい」
「くっ……!?」
「う、ぁぁ…………ゆ、紫様…………!!」
服はボロボロになり、地面に膝をつく穢れた者、八雲紫。
その傍らには同じく穢れた者である、八雲紫の式の八雲藍とやらが倒れてうめいている。
……まぁこれも武士の情け、早く楽にしてあげましょうか。
「さて、覚悟は「た、大変です依姫様!!!!!!」できた……って、一体慌ててどうした!?」
止めを刺そうとした瞬間、部下の1人が慌てて走ってきた。
息も切らしており、相当慌てているようだけど、本当にどうしたのだろう……?
「……ほ、報告します!!!!
先程左翼から連絡が途絶えたため一個小隊を派遣したところ、左翼が落とされたことを確認しました!!!!」
「何っ!? それは一体どういうことだ!?
詳しく説明しろ!!!!」
左翼が落とされた?
確かに左翼は戦力が少なめではあったが、索敵レーダーで確認した時は妖怪たちの殆どが私がいる中央と、姉上が指揮をとっている右翼に向かってきていたはず。
右翼における此方側と妖怪側の戦力比は同等か、此方側が多いぐらいだったはずだ……。
「派遣した小隊からの報告によると、左翼に到着した時点では双方共に生存者は確認できなかったようです!!」
「そうか……」
話を聞く限りでは妖怪側にも生存者はいないらしい。
……ならば何故こいつは『左翼が落ちた』と言ったのだろう?
「……また、派遣した小隊の1人が何とか原型を留めていたヘルメットを見つけたので、頭部カメラの映像を確認させたのですが……」
そこまで言って、部下は急に口ごもってしまった。
「……どうした?
早く報告を続けろ!」
言い淀む部下に一喝し、続きを催促する。
……戦闘時に無駄に時間をとるとは……これが終わったら訓練をしなおさねば……。
「は、はいっ!!
え、映像によると左翼は始めは此方側が優勢を保ち、被害を出すこと無く戦っていたようですが……最後に現れた、たった4人の少女の姿をした妖怪に全滅させられました!!!!
しかも、全滅後の映像を見たところ少しも怪我を負った様子は無く、そのまま首都とは反対の方向に撤退していったようです!!」
「なっ!? たった4人の妖怪にやられただと!!!?」
たった4人に、しかも無傷でやられてしまったというのか!!!?
4人となると人数だけで言っても百倍以上の差があり、圧倒的に此方側が有利だというのに!?
「……い、如何なさいましょう、依姫様……?」
……しょうがない、ここは八雲紫を利用してーーーーー
「……あ、しまった!?
逃げられたか!!!!」
ーーーーー振り向いた先に、先程までいたはずの八雲紫とその式の2人の姿が無くなっていた……。
「ちっ、しょうがないか……。
よし、お前は中央本陣に行き兵達全員に待機しろと伝えろ!!!!
私はこのまま奴等を追ってくる!!!!」
「はっ!!!!」
……4人で左翼を全滅させるほどの力を持った妖怪達相手に、迂闊に兵を戦わせ消耗することはできない。
妖怪とは総じて神の力の前では無力だから私が出向くのが適当だろう。
「……待っていろよ、穢れた者どもめ……!!」
散っていった同胞達の無念、晴らさせてもらう!!!!
ーーーーside こいし
「皆、あれが私達の住んでる星だよ!!!!
どう? とっても綺麗でしょ!!」
戦いが終わった後、私が今まで見たことがないような焦った様子を見せながら、フランが連れて来てくれた場所。
そこはスキマから出た場所だったんだけど、フランが指差したのは真っ黒に染まった空。
フランが指差す先にあったものはーーーーー
「わぁぁ……!
フラン、私達の世界ってとっても綺麗だね!!」
ーーーーーそれは青く澄んだ綺麗な珠、私達の住む世界だった……。
スキマがあった場所から見える、暗い空の中に浮かぶ大きな青い珠。
とっても綺麗なそれは、普段私達が住んでいる世界なんだって!!
夜の空に浮かぶ真っ白な月も綺麗だなぁって思ってたけど、私達の世界も負けてないね!!
「でしょ!?
こいしみたいに皆が喜んでくれると思ったから、戦いが終わってから皆を連れてきたの!」
青い珠を見て私が喜んだことに、紅い瞳を輝かせながら私以上に喜ぶフラン。……その姿が可愛すぎて思わず飛び付きかけたのは内緒だよ?
「本当に綺麗ね……!
紅い月ほど素晴らしい美しさを持つ物は無いと思っていたけれど、青い珠というのも素晴らしいわ!!」
フランと同じように、その紅い瞳を輝かせて感動している御義姉様。
フランとは口調とか性格とかは違うけど、ああいう所を見ると本当に姉妹なんだなぁって思うね!!!!
「本当に綺麗な宝石なのかー!!!!
……でも、フランの瞳の方がもっと綺麗だよー!!!!!!」
「あ、あぅぅ……!!!?
そ、その……わ、私の目はあれほど綺麗じゃないよ!!!!!?」
……ルーミアァァァァァァァァ!!!!!!!!!!
少し油断をした隙にフランを口説こうとするなんて!!!!!!
私だって負けないもん!!!!!!
「ねぇねぇフラン?
私にも見せてほしいなぁ……?
フランの、真っ赤で綺麗な2つの宝石を!!!!」
「こ、こいしまで!?
う、ぁぁ……わ、私なんかより御姉様の方が、ずっと綺麗だよ!!!?」
あははっ!!
フランったら真っ赤になっちゃって、本当に可愛いね!!
これでルーミアより一歩リードだよ!
……なぁ〜んて思っていたら……
「フラン、貴女は何を言っているのかしら?
フランの方が可愛いに決まってるでしょ?
私と同じ紅い瞳も、まるでシルクのように白い肌も、背中にある美しく幻想的な翼も、貴女の持つ全てが世界の中で何よりも可愛いわ……!!!!」
「ひゃうぅ……!?
あぅぅ……お、御姉様、誉めてくれてありがとう……!!」
……や、やられたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!?
しまった、御義姉様の方が強力だったのを忘れてたよ!?
フランはとことん誉められて嬉しいのか御義姉様に擦り寄って甘えちゃってるし!!!!
……うぅ、御義姉様が羨ましいよぉ!!!?
……そして私とルーミアが愕然とし、フランと御義姉様がいちゃいちゃしている状況を見たお姉ちゃんが話そうとしたときーーーーー
「……私も「ようやく見つけたぞ、穢れた者達よ!!!!!!!!」可愛いと……って私の邪魔をするのは一体誰ですか!!!?」
ーーーーー刀を持った1人の女性が現れた……。
ーーーーside フラン
いきなり現れた、刀を持った女性……。
何処かで見た気がするんだけど、誰だったっけ?
「えっと、貴女の名前はなぁに?」
「穢れた者達に名乗る名はない!!!!
同胞達の無念、今ここで晴らさせてもらう!!!!!!」
……典型的な話が通じないタイプだね、彼女。
こういうタイプは後々しつこいのが布石だからあまり相手にはしたくないけど……。
紫さん曰く、生きていれば此処に迎えに来てくれるっていってたから此処から移動するわけにはいかないし……戦うしかないのかな?
「……失礼ですが、貴方1人で「それでは、いざ参る!!!!」私達と……ってまた邪魔しますか貴女はぁ!!!?」
あ〜あ……遂にさとりが叫んじゃったね。
怒りながら叫ぶさとりの気持ちはすごく分かるよ?
私だって遮られたらいやだもん。
……それにしてもあの人、まるで祈るようなポーズをしてるけど、何をするつもりかなぁ?
「……我等を照らし、光の導きを与えし御神、天照大御神よ!!!!!!
その尊き力を我に授けたまえ!!!!!!」
祈るように手を合わせていた女性が大きく天を仰ぎ言葉を紡いだ途端、辺りが光に包まれた……。
……あっ!!
この能力って、もしかして……!!!!
「キャアァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!?」
……女性が光を発し、私が1つのことを思い出したとき、甲高い悲鳴が辺り一面に響き渡った。
その声がする方向に振り向くと…………
「「御義姉様!!!!!!!?」」
「レミリアさん!!!?」
「っ!? さとり!!!!
光から御姉様を遠ざけて!!!!!!
ルーミアは御姉様の周りに闇を展開して!!!!!!!!」
……御姉様の体から炎があがり、全身が灰になりかけていた。
私は能力で弱点を破壊しているから大丈夫だけど、御姉様は耐えられない!!!!
……あの光を早く『破壊』しないと!!!!
「ハハハハハッ!!!!!!
見たか妖怪達!!!!!?
これが全てを照らす、天照大御神の力だ!!!!!!」
「御姉様を傷つける光なんかいらないよ!!!!!!
壊れちゃえ!!!!!!!!」
そして私は『女性に宿った神の力』の種を引き寄せて…………
ーーーーキュッ!!!!ーーーー
ーーーパァァァァァァァァン!!!!!!
……手に集まった種を握り潰した。
「なっ、何!?
私の中の天照大御神の力が、消えた!!!?」
『神降ろし』でその身に宿した力を消されたことに狼狽する女性……依姫。
神降ろしの能力で、様々な神の力を振るうことができる『東方妹キャラ』だね……。
ロリ属性がないから、思いっきり忘れてたよ……!
……さて、依姫が狼狽している今の内に逃げたいんだけど……。
ーーーグパァッ!ーーー
「迎えに来ましたわ!!!!
早くこちらへ!!!!」
突如開いたスキマから顔を出した紫さん……。
ようやく、ようやく迎えが来たよ!!!!
しかもちょうど御姉様とさとりの後ろにスキマを開いてる!!!!
「ナイスタイミングだよ紫さん!!!!!!
こいし!!!!
さとりと一緒に御姉様をスキマに運んで!!!!!!
ルーミアはその援護をお願い!!!!!!」
「うん!!!!
お姉ちゃんは右を支えて!!!!
私は左から支えるから!!!!」
「分かったのだー!!!!!!
八雲紫!! もっと大きめにスキマを開いて!!!!」
私が出した指示通りに動くこいしとルーミア。
こいしはさとりと一緒に御姉様を支えながらスキマに運んでいく。
ルーミアはもうすぐ動き出すであろう依姫を警戒しながら紫さんに指示を出し、こいし達がスキマを通りやすくしている。
……2人とも、本当に頼りになるよ!
御姉様を治療したらちゃんとお礼をしないとね!
「……はっ!? また逃げられる!?
ちっ、行かせるかぁ!!!!」
正気に戻り、私達が逃げようとしているのに気づいた依姫が霊力弾を撃ちながら、刀を構え接近してくる。
……もおぉぉっ!!
せめて御姉様がスキマを通るまで固まっててよ!!
「でやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ーーギィィンッ!!!!
依姫の刀と私のレーヴァテインが激しくぶつかり、そのまま鍔ぜり合う。
依姫はそのまま押し切ろうとしてくるけど……
「私を……私とレーヴァテインを嘗めないで!!!!」
「うぁぁっ!?」
レーヴァテインから炎を吹き上げさせ、依姫が驚いて力が緩んだ瞬間に一気に押し返し、そのまま後方へ弾き飛ばす。
「フラーーン!!!!!!
皆スキマに入ったのだー!!!!」
「早くこちらへ!!!!
紫さんも相当消耗しているのでスキマがもちません!!!!」
スキマの入口から私を呼ぶルーミアとさとり。
今は御姉様にはこいしが付いてるのかな?
……御姉様が、無事でありますように……!!
そして私もスキマへ向かおうとすると…………
「逃がさないと言っているだろう!!!!」
「っ!? もぉぉ!!!!
しつっっこい!!!!!!」
すぐに体勢を立て直したのか、追撃を仕掛けてきた依姫。
咄嗟にレーヴァテインで防いだけど、動きが早すぎて他の技を使う暇がないよ……!?
……このままじゃスキマに辿り着けない……!!
「同胞達の無念を晴らすために……!!!!
貴様だけでも討ち取る!!!!」
言葉を吐き捨てると共に上段から斜めに切り下ろしてくる依姫。
それを右手に持ったレーヴァテインで左にいなし、そのまま右に振り抜くように突きを放つ。
だが依姫は咄嗟に跳躍し、凡そ三歩分後ろに下がって回避する。
そして今度は下段から切り上げてきて…………。
「うぅぅぅぅ!!!!!!!!
き、キリがないよ!!!!!?」
「フラン!!!!
早くこっちに来て!!
もう、もう閉まっちゃう……!!!!」
こいしが私を呼ぶ声と共に後ろから弾幕が放たれているけど、私が射線上にいるから援護しきれていない。
しかも依姫はそれを理解していて、私が射線上に立つように位置を取ってるの!!!!
……ちらっと後ろを見ると、スキマの入口が段々小さくなっていた。
紫さんも、限界みたいだね…………。
「ちっ、しぶとい妖怪め!!!!」
「嫌なら見逃してよね!?
…………もうこうなったら、覚悟を決めるしか……ない、かな…………」
……依姫と切り合いながら、私は後に後悔するであろう覚悟を決めた。
そして、覚悟がぶれないうちに左手に種を引き寄せてーーーーー
「……皆!! 絶対に帰るから、ちゃんと待っててね!!!!!!」
「フ、フラン!?
ま、待ちなさい!!!!!!」
ーーーーキュッ!ーーーー
「だっ…………!!!!!!」
ーーーパンッ!
ーーーーー最後に聞こえた御姉様の掠れた声を無視して、『スキマの入口』の種を握り潰した。
「……ほぉ?
あれを壊して良かったのか?
お前が帰れなくなるだろう?」
私のした行為に攻撃の手を止め、目を丸くし驚く依姫。
……驚くのはわかるけど、こういうときって攻撃やめたらダメだよね。
「……皆を帰らせるのが優先だよ。
私は自分でも帰れるからね」
「……ならば、帰る暇など与え無いようにせねばな」
そういって再び刀を構える依姫。
私もそれに応えるようにレーヴァテインを居合の型に構える。
「……さぁて、そろそろいくよ?」
「あぁ、存分に殺り合おうじゃないか」
「「……second round……start!!!!!!」」
……地上の皆に真っ赤な月を捧げましょう?
ーーーーー
以上、月面の撤退戦回でした!!
フランが殿を務めて、月に残ることになっちゃいましたね……。
地上に帰った皆がとてつもなく荒れそうです。
フランは一体どうなるのでしょうか……?
……因みに報告に上がった人数が4人だったのは、こいしが見えなかったからです。
隊列的にもカメラに写りにくい位置にいたので気づかれませんでした。
さて、それではまた次回にお会いしましょう!




