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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
267/283

幻想大戦! その頃月では……

どうも、東方転妹録最新話更新です!



えー、今回はフランがいなくなった後の地上がメインです!

……まぁ、お察しな状況ですけどね(笑)

抜けてる人、いないよね?



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー同刻、幻想郷。

ーーーーno side



東雲が現れ、明け方が近くなったことを示す空で光の尾を引く閃光が駆け抜ける。 次の瞬間、閃光は宙に止まり翼を持つ人型の影となって東雲の空の下にその姿を晒した。 ……しかし、それも束の間。 影が止まっていた所を光が、雷が、風が、水が、炎が、岩が、そして闇が貫き、東雲に穴を開けて空へと消えていった。

影はそれらに貫かれ霧散したかのように掻き消えるが、そのすぐそばに同じような影が、付き従うもう一つの影と共に現れる。 影は、自身の残像を貫いていった物を鼻で笑い、放った者達に向けて挑発的な笑みを浮かべていた。



「ふぅ~ん? まぁどれも威力は中々あるわね? でも当たらなきゃ意味がないのよねー。 ……それにしても、まさか幽香まで本気になってそっちに付くとは思っても無かったよ。 そこまであの子が大事だったの?」


「その口、もう開かないでもらえるかしら? 夢幻館の元住人として引導位は渡してあげるけど、声も聞きたくないのよ」


「……も、元住人……!? そ、それは流石にショックというか……夢、夢月~……!!」


「そう言われるのは姉さんのせいです。 一応姉さんの援護はしますけど……本当に、幽香さんがあんなにメロメロだった子に手を出すから…………」



影と相対する者の一人、六枚の光る翼を広げた花の妖怪が目を見開いた瞬間に、六枚の翼のそれぞれから大きな光線が一本ずつ放たれ、影と影に付き従っていた者へと迫る。 すばやく散開して六つの光線を避けた影。 しかし避けた先で、影の眼前には二本の紅く光る槍が迫り、少し離れた所では付き従っていた者にも闇の烏と青い茨が迫っていた。



「おっと! 危ない危ない……あー、まぁあの子の姉である貴女には悪いとは思うけど、これも弱肉強食の定め、潔く諦めてよね。 そっちの三つ目の妖怪も、ね?」


「……………………」


「……………………」


「……二人揃って黙りか。 それはちょっとつまらないんだけど…………夢月ー? そっちは大丈夫~?」


「茨はともかく烏がヤバイです!! 烏、烏が!!!! 闇の烏がヤバイですぅぅぅ!!!? 姉さん、姉さんの方に行ってくださいよ!!!!!?」


「殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス」


「フランの闇……どこ? どこにあるのだー? フランの、フランの闇の…………フランを虐めた奴を殺せば、闇の道ができるはず……待っててフラン、もうすぐ行くのかー……フランを虐めた奴には、ちゃんと私が仕返シしてやルのダー……!!!!」


「……喋ってもあれだと嫌だね。 怖い、うん。 夢月、そっちは頼んだ、よっ!?」



慌てる妹の姿を呑気に見つめていた影に、一筋の雷光が迫り、影が振るった手に弾かれて空中で四散する。 雷光が駆けてきた方へと影が頭を動かすと、そこにはおぞましい姿の獣が2体…………正確には、おぞましい姿の獣の幻を纏った妖怪とその分身が槍を構えて影へと迫ってきていた。

何処かで聞いたことがあるような鳥の声をあげ、己の身すら焼き滅ぼさんとする程の雷を纏い迫る2体の獣に、影は幾多の光の玉を翼から撃ち出しながら距離を取り、削るように迎撃する。 しかし2体の獣が纏う雷の前に光の玉は意味を成さず、影は翼を閉じて盾とし、2体の獣の一撃を受け止めた。



「あばばばばばばばばっ!!!!!!!? あの子の妖力弾にも負けず劣らず、なんて威力……まぁ大妖怪らしいし、当然っちゃ当然か。 それでもって……」


「絶望すら! 嘆きすら! 痛みすら! 何もかも感じることなく、私の呪詛ノ下ニ消エ去レェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!」


「案の定発狂してる、と……いやもう、あの子本当に影響力凄かったのね。 まぁ油断してたとはいえ、私にあれだけ傷を負わせた程強かったんだし、おかしくはないのかな?」



2体の獣に触れた所から影を焼き付くさんと伝わってくる雷と、その雷に混じって影の魂すら滅ぼさんと迫る呪詛を、獣ごと纏めて妖力で弾き飛ばし花の妖怪が放ったような大きな光線を一つ放つ。 光線は、獣の後ろから吸血鬼と覚り妖怪が放った灼熱の炎共々2体の獣を呑み込み、そして虚空の彼方へと消えていく。 光線が消えた所には、分身を盾にしつつも左半身を失った獣……大妖怪鵺が憎悪の籠った眼差しで影を睨みながら、体の再生を始めていた。

その姿を嘲笑いつつ、横目で一応妹が無事なのを確認した影は鵺の後ろ、吸血鬼と覚り妖怪よりも更に後ろの方に視線を動かし、思わずといったように感嘆の息を吐く。



「例えば、この幻想郷、だっけ? とにかく幻想郷が崩壊の危機を迎えたとして…………ここまで色んな奴等が動いたりする? ねぇ、幻想郷の管理者さん?」


「……幻想郷(ここ)は、あの子が、フランが私の想いに答えて、共に願いを叶えてくれた結果。 フランが心強い仲間を集め、私が形作った箱庭に秩序と繁栄を与えてくれた姿。 フランがいなければ……幻想郷(ここ)は、理想郷足り得ない」


「……つまり、あの子の、フランの方が幻想郷より大切ってことね。 はぁ、これは骨が折れそうだわ…………閻魔まで来てるし」



影が溜め息をつきながら視線を向けた先には、数刻前に影が仕留めた子と仲の良かった者達、家族同然だった者達が立ち並んでいた。

妖怪の賢者、九尾の狐、亡霊の姫、老年の半霊侍、半人前の庭師、幻想郷の閻魔、閻魔に付き従う死神、一本角の鬼、二本角の鬼、新聞記者の烏天狗、千里眼の白狼天狗、厄払いの雛人形、科学者河童、竹林の薬師、お伽噺の中の姫、薬師見習いの月の兎、悪戯好きの因幡、人里の半獣教師、不死鳥の用心棒、妖怪寺の尼、毘沙門天代理、代理目付け役、舟幽霊、入道雲、入道雲を従えた尼、土着神の頂点、大和の武神、地底の火車、地獄烏、嫉妬の化身、病を操る土蜘蛛、氷の妖精、湖の大妖精…………そして、紅き館の虹色の門番と、その横で涙を流しながらもその目に闘志を燃やす唐傘妖怪。

……先程襲ってきた者達も含めると、あまりにも壮観な光景に、影…………幻月は再度溜め息を漏らす。


次の瞬間、明け方が近かった幻想郷の空は、新月の夜にも劣らぬ闇に包まれていったのだった。
























ーーーーー同刻、月面、医療施設の一室。

ーーーーside 豊姫



病室の一角で紅く輝く金属の山。 その山の側であまりの悔しさに膝をついて拳を握りしめながら妹に向かって唸り声をあげる。

……まさか、届いたヒヒイロカネに気を向けるように仕向けてくるとは、依姫ぇぇぇぇぇぇ……!!!!



「くっ、やってくれたわね依姫……!? まさか、ヒヒイロカネの状態を見ている間にフランを奪うなんて……!!」


「遠目に見てもどこも悪くないのに、ヒヒイロカネの状態が悪くないか詳しく見て欲しいという言葉にホイホイ釣られた姉上がいけないのです。 あー、寝ているフランは癒される……!!」


「くぅぅぅぅぅ……!? 大体依姫はフランを好敵手としてしか見ていなかったんじゃないの!?」


「あまり騒がしくするとフランが起きますよ? 好敵手とはいえこのような幼い子に、戦いでもないのに酷い態度など取りませんよ。 只でさえ性格も良く可愛いというのに……」



どこか愛しげにフランを抱き抱え慈しむ妹の姿に、まるで母と娘のような印象を受けてしまったことに更に悔しさを覚えながら膝だけでなく両手を床に着く。

今この瞬間、この場の勝者は誰が見ても明らかに、妹である依姫なのだった……。





ーーーーー

以上、夢幻姉妹vs幻想郷、そしてオマケ回でした!



……フラン、寝息すら現れなかったorz

平和(?)な月と戦争状態の地上、フランが戻らなければ地上に平和はありません。

……因みに、描写で気付いた方もいるかもしれませんが地上の皆はフランが死んだと思っています。

幻と現の境界と博麗大結界どころか概念の宇宙と夢の世界を挟んで裏の月まで飛ばされてるんですから、まぁ意識しなければ皆も気付きませんよね?



それではまた次回にてお会いしましょう!

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