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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
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閉じる神に鍛えられた剣

どうも、東方転妹録最新話更新です!



えー、こんな寒い日は冬眠したい、フランも寝てるし冬眠したい、そう思いながらベランダに出た時、私はそこで雪の積もったパ◯ツを見ました。

雪を振り落とし、そしてそこで凍ったパ◯ツを見ました。

……ベランダで「パ◯ツ!? パ◯ツが!? パ◯ツゥゥゥ!!!!!!」と言っていた私は世間からどう見られたのか……(トオイメ)



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー数十分後。

ーーーーside 豊姫



泣き疲れ、傷付いた己の相棒を胸元に抱えたまま、穢れた子は私のゆりかごの中で眠った。 妹は十分前に玉兎達の元へ報告を受けに行き、今は合金で作られた格子窓からしか外の光が射し込まないこの部屋に、私とこの子しかいない。

……こうして、今まで退屈だとしか感じなかった穏やかな時の中、退屈を払拭してくれるこの子を抱えているだけでも、私の魂はこの子の穢れに侵され、寿命をすり減らしていく。 かつて、その事を嫌いあの地を飛び立った月の民の一人である私が、今は穢れを気にすることなくこの子を抱いているのは、とても滑稽なことなのかもしれない。



「……姉上、報告が終わったわ。 貴方、そこに大体の資料は置いておきなさい。 さっき話した必要な分だけ持っておくように」


「はい、了解しました!」


「こら、あまり騒がしくしないで頂戴。 泣き疲れて寝てるんだから……」


「あっ、申し訳ありません……」



依姫が普段、きっちり返事をするように指導していたためか、寝ている子がいるにも関わらず大きな声を出す玉兎兵に一声かけておく。 依姫の好敵手であり私のお気に入り……咄嗟に依姫が放っていた、しかし間違えでもないその言葉は此処の医師だけでなく玉兎達にもしっかり伝わっていたのか、玉兎兵は疑念に思うこともなく素直に受け入れてくれたようだ。 ……まぁ、噂好きの玉兎達は特有の通信手段でいつも話しているようだし、情報が伝わっていないことを心配する方が意味のないことだったか。

そんなことを考えていると、依姫が私に向き直って資料を手元で広げ始めた。 恐らく、この子の話していたことについて何か分かることがあったのだろう。 身に纏う雰囲気を月の使者のものに変えた依姫は、ゆっくりと報告を始めた。



「フランが寝ているところに悪いけど……まず、玉兎達に調べさせておいたことについての報告です、姉上」


「えぇ、あの地のことよね。 どうだった?」


「フランが話していた『狩り』の様子についてですが……フランが元居た場所は、あの地の中の大規模な結界に覆われた部分の1つの様で、現在何か大きな争い事のようなことが行われていることは確認できたものの、その詳細については不明です」


「そう……『狩り』は続いていると?」


「あるいは、フランの話していた幻月とやらが未だ暴れているか……因みに幻月については月に資料がないため、今後の調査が行われることが決定しています」


「大災害の一人を吹き飛ばしてくる程だものね……」



今も私の腕の中で眠るこの子は、その実力は確かなもので、嘗ての防衛作戦の際、本来妖怪達が行うことの少ない部隊戦術を行い多くの月の民と玉兎達を滅ぼし、剣と体術で依姫を寄せ付けず、依姫の神降ろしまで突破する程の実力派。 純狐の様に策を練ってくるのではなく、真っ正面から戦う真性の武人。 更には傷付いた仲間をあの地に帰還させるために自ら殿を務める勇気を持ち、傷付いているのに自らを助けようと無茶をする仲間を無理矢理帰還させる厳しさを持ち、戦いの中で敵にもその手を伸ばし慈悲と真心を持って接する優しさを持つ、そんな優れた武人だ。

しかしそんな勇者のごとき武人でも一歩及ばぬ相手が現れたとなれば、その上情報が何もないとなれば調査を行うのは必然。 その内、必要となれば私や依姫が直接調査に出向くこともあるだろう。



「以上がフランが先に話していたことについて分かったことの全てとなります。 続いて、フランの相棒、レーヴァテインに関してですが……」


「ちょっと待って。 依姫、レーヴァテインについていつの間に調べていたの?」


「……以前フランに勝てなかったときに、炎を纏う長物を幾つか調べあげて一覧化していました。 勿論、嘗てのフランとの戦いの中で特徴的であった事柄から該当する可能性のある種族の一覧も同様に調べあげています。 その一覧に、レーヴァテインと吸血鬼の情報がありましたので……」


「成る程、ごめんなさい。 報告を止めてしまったわね、続けて?」


「はい。 貴方、姉上に資料を渡しなさい」


「はい、こちらになります。 上に重ねているものがレーヴァテインについて、下にあるものが吸血鬼についての資料となります」


「ありがとう……ふむ、制作者は、悪戯好きな神…………」


「その神の名は閉じる者、終わらせる者といった意味を持つようです。 またレーヴァテイン自体、その元々のあり方は閉じた環境にあったようですが……」


「雄鳥の怪物、その尾羽が無ければ譲ってはもらえず、尾羽を手に入れるにはレーヴァテインが不可欠……閉じた環境、そのままね」


「魔法使いという種族が書く魔導書を用いた方法でもレーヴァテインとの契約という形で入手することは可能のようです。 恐らくフランも契約によって入手したのでしょう。 契約の詳細についてはレイセンに持ってこさせた資料の中にありますが、後で見てください」


「えぇ、分かったわ。 それで、レーヴァテインの修復についてだけど……」


「……資料にも考察としてある通り、現状では神という概念を少しでも持つものならば、十分な技量を持って鍛冶さえできれば修復は恐らく可能です。 悪戯好きな神がレーヴァテインに籠めた概念はまだ生きているようですから。 問題は、その打ち直す神、またはそれに準ずる者と、修復材料ですね」



依姫の言葉と共に、私は再度片手に持った資料に目を向ける。 そこに書かれた修復材料は、神の金属たるオリハルコンと日と火の魔法が籠められた聖銀による合金。 魔法とは言葉通り魔法使いとやらが使う術のことだろう。 ……要は、神聖なる力が備わった金属で、日、つまり太陽と火の力を籠めることが出来る金属を要求しているのだ。

そうなると、二つの問題の内、1つは解決できたことになる。



「……ヒヒイロカネを使いましょう」


「ヒヒイロカネ? 確かにあれは神性を帯びてはいますが……」


「貴方、資料に書かれてあるオリハルコンと聖銀の総量と同等の量のヒヒイロカネが私達の家の倉庫にあるか、調べてもらえる?」


「了解しました。 少々お待ちください」



一つ頭を下げると、玉兎兵は静かに部屋を出ていく。 それを見届けると私は資料をベッドの脇に置き、もう一度フランを両手で深く抱き抱える。 泣き疲れて眠ってしまったせいか、悲しそうに閉じられていた瞼が少し心地良さげなものに変わったような気がして、気がつけば私は笑みを漏らしていた。



「……姉上、確かにヒヒイロカネならばあの地の人々によって太陽の概念と熱の伝わりの良さ……火の概念が宿っているけど、本当に大丈夫なの? レーヴァテインの元々の素材は大陸の神々が生み出した物。 そう易々と代用しても良いものか……」


「んー、そうね。 まぁ、今まで使っていた感覚とは確実に変わるでしょうね。 でも扱うのはフランだもの、きっと大丈夫」


「また適当な……いや、まぁ確かにどんな物になったとしてもフランが扱えるなら問題はないですよね。 それで、後は鍛冶師ですが……」


「……それはフランが起きてから、心当たりがないか聞いてみましょう。 フランの知人に鍛冶が出来る者がいるのなら、そっちの方がきっとフランの手に馴染む物に仕上がるはずよ」


「そうですね、その方がきっと一番良い……後もう一つ、ヒヒイロカネ、在庫あったかしら?」


「…………足りなかったら、仕入れる時に以前フランと攻めてきた八雲紫にツケときましょう。 利子付きで」


「それ、後で五月蝿いと思いますよ姉上……」



妹の言葉など右から左。 そんな風にしていると依姫がさりげなくフランを奪いに両手を伸ばして来たので、遠慮なくその手を叩いて引っ込まさせる。 涙目になった依姫が恨みがましく見つめてくるのを楽しみながら、私はフランの冷たくも確かにある温もりを感じて穏やかな時を楽しんでいたのだった…………。




ーーーーー

以上、フランすやすや&レーヴァテイン復活計画回でした!



オリハルコン、ヒヒイロカネ、ロマン金属。

こうくりゃもうこの復活計画しかないと思いました。

お陰で魔法使いフラグがへし折れました。

第5章のサブタイトルがまた遠退く……(シロイメ)



それではまた次回にてお会いしましょう!

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