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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
265/283

世界を焼き尽くす魔剣

どうも、東方転妹録最新話更新です!



えー、今回は…………フランが◯◯ます。

いやまぁ、これは仕方ないですよね、うん。



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー数十分後、病室。

ーーーーside フラン



唐突だけど、私は今の状況にひたすら疑問を抱いていた。 もしも彼女が原作通りならば、他の月の民同様に穢れは許すまじといった様子で、笑顔のまま、月の民の言うところの穢れそのものである私は抹殺されかけるはず。 況してや今、私は依姫と豊姫によって確保されているのだから、やろうと思えば私が弱っている今ならば一瞬で消せるはずだ。

……しかし、現実は全く異なっていた。



「はいフランちゃん、あーんっ」


「あ、あーん……?」


「どう、月の桃は美味しい?」


「う、うん……」


「姉上……一応、私達は監視の名目でここにいることを忘れないでよ?」


「はいはい……ほら、もう一回、あーんっ」



月の民にとって毒となる、寿命を縮める穢れであるはずの私を、豊姫は膝に座らせて、わざわざ私が一口で食べられるように桃を切り分けてから食べさせてくれている。

好敵手として私を認めてくれている節の話をしていた依姫も、流石に豊姫のあまりの甘やかしぶりに苦言を呈していたけど…………私の世話を焼いてくれている豊姫は右から左に聞き流していた。

……馬耳東風とは、この事なのだろうか?



「嫦娥様辺りに今の姿がバレると面倒臭いんだが…………まぁ、監視すると言ってあるし、姉上のお気に入りとまで言ったんだ。 きっと姉上が処分すると思って誰も見にも来ないはず……」


「そうそう、幾ら大災害とまで呼んでいるとはいえ、純狐が来るよりも遥かに小規模な話なんだから、依姫もそこまで気を張らないでゆっくりしなさい? あっ、フランちゃん、口元汚れてるわよ?」


「あっ、うん、ありがとう……」



さらり、さらりと豊姫の口からすっごく気になる名前が呼ばれたような気がしたけど、ここは聞かない方が良いよね? 変に話題にして、やっぱりお前はここで終わりだなんて言われたら、弱っている今は本当にどうしようも無いんだし……とにかく乱暴されない限りは無抵抗に、静かに過ごしておこう。

ただ、一つだけ気掛かりなのは…………。



「……皆は、大丈夫かなぁ?」


「皆? あの地の者達のこと? 依姫、調査はしていたわよね?」


「あぁ、それならフランが概念の宇宙と夢の世界の境目を越えて裏の月に飛ばされてきた時から玉兎達にさせています。 まだ報告は上がっていないが……フラン、何か気になることがあるの?」


「あ、えっと……その、『狩り』が無事に収束したのかっていうのと、幻月はあの後どうなったのかなって……」


「『狩り』と幻月、ね……よし、じゃあ玉兎達を急かす前にその『狩り』というものが何なのか、幻月は一体どのような奴なのか教えてくれるか? 姉上が邪魔で話しづらいというのなら私の膝の上に来ても良いから」


「よ・り・ひ・め……?」


「フラン、やはり姉上の膝の上の方が良い」



この格子状の窓が1つと重い扉が1つあるだけの部屋に入ってきた時、私は依姫に横抱きに抱えられていたはずなのに、瞬きを1つしている間に大きな布団の上に座り、傍らに大量の桃が乗った大皿を控えた豊姫の膝の上に抱えられていた。

豊姫から抱っこされているのは別に嫌じゃないし、隙無く世話をしてくれるだけで特に変なことはしてこない。 ただ、前に頭を撫でてあげただけなのに、それ以降やたらと優しい豊姫の考えが分からないことが月の民であることも合わせて不安を煽るのだ。

依姫によって不安を煽るこの状況からやっと一旦抜け出せるかと思ったけど……どうにも、それは叶わない話だったようだ。

そんなことを頭の中に浮かべていた思考を頭の隅へと追いやり、とにかく質問に答えるべく私は半身を動かして依姫の方へ頭を向ける。



「そのね? 『狩り』っていうのは私が式を持つことに影で反対していた家族や友達が、私に隠れて私の式になりうる可能性を持つ者達を襲撃していたことなの。 偶然私もその『狩り』に気付けたから、『狩り』を降りた友達とその友達に協力してもらって『狩り』を鎮静化していたんだけど……その協力してくれていた内の1人が幻月っていうんだけどね? 知り合ったばかりでよく分からないけど、どうにも強さに拘っているらしくて、私が1人で行動していた時に襲撃されちゃったの。 それで幻月と勝負になって…………一度は追い詰めたんだけどね、負けちゃったんだ」


「……その負けた時の一撃が、フランを裏の月まで飛ばしてきたあの光だったと」


「うん、私もあの光に全力の一撃をぶつけたんだけどね…………そういえば、レーヴァテインは大丈夫なのかな? 喚んでみよっと」



真剣な表情で話を聞いてくれた依姫と豊姫が二人揃って思考の渦に入っていったのを見つつ、話の中でふと思い出したレーヴァテインを右手の中に喚び出す。

そして、右手の中に現れたレーヴァテインは…………。



「…………レーヴァテイン? ど、どうしよう!? レーヴァテインが!!!!!!」


「っ!? どうしたの?」


「レーヴァテイン……そういえばあの時打ち合ったあの杖のような剣のことか…………しかし、それは……」



右手の中に現れたレーヴァテイン、その姿はとても悲惨なものになっていた。 両端にあった刃の片方は丸々根本から無くなっていて、もう片方もボロボロに刃が欠けてしまっている。 その上レーヴァテイン全体が一度溶けて再び固まったような、そんな傷痕がレーヴァテインの刀身の全ての部分に見られた。 世界を焼き尽くす炎の魔剣としてのものか、それとも幻月のレーザーによるものがまだ残っているのか、レーヴァテインの刀身は酷く熱い。

この世に生まれて3年目に契約してから、今まで、ずっと私の相棒として頑張ってくれていたレーヴァテイン。 初めて屋敷を抜け出した時も、大陸を横断した時も、こいしやルーミアと旅をした時も、オーエンとして活動した時も、幻想郷で過ごしていた時も、いつも私の力となってくれて、守ってくれて。 手入れも欠かさなかった、戦いでなくとも炎をその身に灯し道を示してくれた。 言葉は交わさずとも、確かに相棒として私の手の中で私と共に在ってくれた。

……その相棒の無惨な姿を目にして、どうしようもない悔しさが、言葉にできない悲しみが、喉まで込み上げて、しかし言葉にも音にもなることが出来ずに喉を素通りし、目の後ろまで熱いものとして込み上げてくる。

……そこからは、もう止まることはなかった。



「う、うぅ……ひぐっ、レ、レーヴァテイン……! うぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!! やだ、やだよぉ!! 壊れちゃ、死んじゃやだよぉ!!!!!! レーヴァテイィィィィィィン!!!!」


「あぁ……フランちゃん、落ち着いて? まだその子からは力を感じる、まだ生きてるから、ね? ……依姫、その子、頼める?」


「…………いえ、姉上、これは私達月の民では打ち直すことは出来ません。 この剣、死んではいないから打ち直すことはそう難しくはないだろうけど、あの地に根付く力を持ち、それも確かな技術を持った者でなければ……」


「そう……なら、フランの話の件についてあの地……地上の調査ついでに、その子を直せる者を探さなければならないわね」


「では、その時にフランも……」


「……えぇ、そうなるわね」



レーヴァテインを胸元に抱き締め、豊姫にしがみつきながら泣き叫ぶ私。

そんな私の頭と背を撫でながら、豊姫と依姫の話は進んでいっていたのだった…………。





ーーーーー

以上、レーヴァテイン破損回でした!



いえまぁ、裏の月まで飛ばされながらもフランが消し飛ばなかった理由の1つですよね、レーヴァテイン。

その代償は大きかったと…………。




それではまた次回にてお会いしましょう!

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