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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
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起きたらそこは、遠い場所でした

どうも東方転妹録最新話です!



えー、今回の話を書いてて思ったんですが、フランの毎度毎度の移動具合と運命力おかしすぎないだろうか?

……割と真面目に、ダークサイドリメイク版書いてみようか…………まぁ、もう一作書くとしてもこっちの更新も続けますけどね(笑)



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー数時間後、??。

ーーーーside フラン



自分の意識が介在しない、何があるわけでもなく何も感じることのない虚無の空間。 そこから解き放たれたとき、私は息を吸ったり目を開けたりするよりも早く、全身を襲う激痛を味わうこととなった。



「……ッ…………アァ……!!!?」



体の表面で暴れまわるように鋭い痛みが全身を駆け抜け、体の内側からは内臓や骨をぐちゃぐちゃにかき混ぜられたかのような鈍くも激しい痛みが溢れ出てくる。 目を見開き、堪えられない程の痛みに悶え苦しみながらも視界に収めることができたのは、光を浴び、青く美しい姿を見せている地球と、その周りの何もかもを飲み込むかのような真っ暗な空間……そして、視界の端で心配そうに口を動かしている見たことのある人達の姿。



「グァッ…………クゥ……!!」


「……ている…………かり…………い!」



身体中を駆け巡る痛みを追い掛けるように、魔力よりも強く私を構成する妖力が身体を駆け巡り、再生を促していく。 その中でやっと耳が再生されてきたのか、途切れ途切れに視界の端に映る人達の声を聞くことができ、私の意識は急速に理性を取り戻していく。

……ここは、宇宙? 私は幻月に…………負けた?



「ウゥ…………かはっ! はぁ、はぁ……」


「……えるか!? 返事を……くれ!」


「医療センターに連……しなさい! 早く!!」


「はっ!」



体の表面で暴れまわっていた痛みが消え、体の内側から込み上げてくる鈍い痛みも大分収まり、どうにか今の状況に気をやる余裕ができてきた。 目覚めてからの体の再生の早さを考える限り、恐らく気絶していた時にも体は再生を続けていたのだろう。 そしてここは…………視界に写っている光景をどう見てもここは宇宙、それも月面のようだ。 私は幻月と戦って、レーヴァテインとレーザーの激しいぶつかり合いの後に…………どうなったんだっけ? そこから覚えてないから……多分、そのぶつかり合いに競り負けて、ここまで飛ばされてしまったのだろう。

そんなことを考えていると、ふと体が浮くような、誰かに抱えあげられる感覚に気付く。 思考の渦から現実へと意識を戻した時、私はかつて見たことのある……激しく戦ったことのある人の顔を見つめることとなった。



「あっ……よ、依姫?」


「っ!? 私の顔が分かるんだな? 良かった……そのままじっとしていなさい。 今から貴女を月の医療施設に連れていきます。 大丈夫、穢れを嫌うとはいえ、かつての好敵手をむざむざ死なせるような真似はしません。 それでは、姉上……」


「無事に目覚めたのね! 分かったわ、そのまま下手に動かさないでね、依姫?」



私を横抱きに抱き上げていたのは、とても懐かしい顔の依姫。 そして別の声が聞こえた方に顔を向けると、そこには嬉しそうな表情で胸元に両手を添えているこれまた懐かしい顔の豊姫と、その背後に控える玉兎達の姿が見えた。

そして、豊姫を中心に歪み始めた風景に目を奪われていると、首に回された方の腕で何故か依姫に視線を戻させられる。 そのまま穏やかな表情の依姫と訳も分からずに見つめあっていると、ふと周囲が喧騒に包まれた。 どうやら豊姫による空間転移は終わったみたいだけど……転移した先は月の都、私のような悪魔、正確には彼らの言うところの穢れを徹底的に嫌う月の民達のど真ん中に来たようで、依姫に抱かれた私の姿を見て月の民達が騒ぎ始めてしまっていたようだった。



「よくぞいらっしゃいました。 緊急搬送だと伺いましたが、その穢れた者は被検体か何かですかな?」


「この者は被検体ではない! 患者だ! 彼女は穢れた者達の大侵攻の際、我々に大打撃を与え無事に穢れた地へと帰っていった大災害の一人。 そして私が唯一打ち勝てなかった好敵手であり姉上のお気に入りだ。 後は……言わずとも分かりますね?」


「なっ、大災害の一人……!? こ、これは失礼致しました! 早急に最も堅牢な個人用の病室を用意致しますので…………あの、拘束具等は無くてもよろしいので?」


「いりません、この者に拘束具など意味を成しませんから。 常に私と姉上のどちらかがこの者を見張っておくので安心しなさい。 部屋の外にも玉兎を付けます」


「はっ、それでは左様に準備をさせていただきます故、暫くお待ちを……」


「……あの様子だと、実験室の方しか準備してなかったみたいですね、姉上」


「事前の連絡も意味無しと……ところでその子の様子は?」



月面戦争の折り、依姫と互いの実力を認めあったこと、豊姫に何故か気に入られたことは覚えているものの、互いに助け合うような仲になった覚えはない。 仲良くなれるならなりたいけど、現状では名前も教えていないくらいだ。 そんな状況で、被検体だの堅牢な病室だの、挙げ句には拘束具などと聞かされてはたまったものではない。

幻月との激しい撃ち合いの果て、概念の宇宙にまで吹き飛ばされ、裏の月に叩き付けられたせいか未だに体も妖力も回復しきっていない中、先の見えない状況に怯えてしまった私は依姫と医者っぽい人の会話の最中に体を縮め、依姫の胸元に身を寄せてしっかりと依姫にしがみついていた。 そんな私の姿を意識して見た依姫と豊姫は気が抜けたように苦笑する。



「全く、いつか戦ったときもそうだったが、無垢なものだな、貴女は。 安心しなさい、貴女は私の好敵手だ。 万全な状態になるまでは勝負を挑むことはないし、況してや姉上のお気に入り。 他の者も下手に手出しはしてこないよ」


「そうそう、だから安心してね? あぁ、後あの時は自己紹介をしてなかったわね。 私は豊姫、月の使者をしているわ。 後ろの子達は玉兎で……まぁ、可愛い子達よ」


「同じく月の使者をしている依姫だ。 しかし、あの時既に私の名前を知っていたようだけど…………いや、それは後で良いか。 貴女の名はなんという?」


「えっ、あ……フ、フラン。 フランドール・スカーレット。 皆からはフランって呼ばれてるの。 その……あ、私は吸血鬼だよ」


「フランか。 よし、ではフラン、今暫くじっとしていなさい。 病室の用意が出来たようだから」


「う、うん……」



その会話の直後、医者っぽい人が建物から出てきて、私達を中へと誘う。 疲れたままの体と未だ全快ではない妖力と魔力、何より不安に包まれたままの状況から逃げるように、私は歩き始めた依姫の動きを感じながら、依姫の胸元に顔を埋めて静かに意識を手放していったのだった…………。





ーーーーー

以上、さりげなく色々とフランピンチ回でした!



……フランの黒星、また飾ったなぁ(トオイメ)

真っ正面から戦った強敵との戦績ですが、何気にフランが負ける割合高い気がしてきました。

いやまぁ、相手が悪すぎるのもありますが(笑)




それではまた次回にてお会いしましょう!

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