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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
263/283

燻る確執、悪夢の連戦

東方転妹録を読んでくださっている皆様、明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願い致します!


さて、東方転妹録最新話更新です!


そして、新年早々ガチバトルです!

相手は博麗の巫女ではありませんが……まぁ、これ以上ないほどの強敵でしょう。

……っていうか、原作のゲームなら最強の相手ですよね、絶対。



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー1時間後、どこかの雲の上。

ーーーーside フラン



いつか、どこかで聞いた覚えがある。 争いは争いを呼び、どこかで争いの連鎖を止めるのは難しいと。

博麗の巫女に打ち勝ち、博麗の巫女とはいえ夜に一人で行動するのはどうかと念のため美鈴と小傘に連れ添ってもらい、どうにか博麗神社に送り出したのが三十分程前。 久々の戦闘に一息つき、『狩り』を鎮めようとしてくれている幽香さん達に合流しようと飛び立ったのがその五分後。 それから暫くして何故か一人で行動していた幻月を見つけ、そして今は…………。



「……うん、この辺りなら問題ないわね。 夢幻世界ではないから本領発揮とまでいくかは分からないけど」


「あの、幻月? 私はどうしてここに連れてこられたの? 『狩り』はまだ……」


「あぁ、あれなら幽香が夢月達と一緒に大方鎮めてくれたわよ。 私も貴女を探すついでに騒ぎを鎮める手伝いはしたけどね。 それにしても一人で行動していたなんて……本当、都合がいいわね」



私と合流した途端、幻月は月夜を駆ける私を抱き締めるように捕まえたかと思えば、そのまま雲の上まで一直線に上昇した。

思わず唖然としたまま、暫く何かを考えるのも忘れてしまっていたけど、その間も幻月は舐め回すかのごとく私に視線を這わせ、私の背中に回していた右手を外したかと思えば私の顎を掴み、持ち上げる。

そこでやっと幻月が口を開き、私にもなんとか言葉を紡ぐ余裕ができた。

……しかし、幻月の瞳は獲物を見定める肉食の獣のそれと同じ目のままだ。 ずっと、私と視線を合わせたまま。



「……ねぇ、幽香から聞いたけどフランってさ、幽香に勝ったんだよね? 幽香がどれ程本気だったか知らないけど、自分の強さに変に固執する幽香のことだもの。 幽香はどんなに手を抜いていても本気の範疇であったことには変わりないはず。 そしてフランは幽香に勝った…………あの幽香が自ら負けを認める程、明確に」


「えっと……うん、相性もあったとは思うし幽香さんが本当に本気だったかは分からないけど、勝ちはしたよ?」


「そう、幽香だけがそう思っていただけでなく、フランもちゃんと自分が勝ったということは認知してるんだね? じゃあさ……少なくとも、私が楽しめるだけの実力はあると思っていいよ……ねぇっ!!!!!?」


「っ……!?」



幻月が語尾を強めた瞬間、未だに私の背中に回されていた左手に振り払えないほどの力が込められたのを感じ、全身から妖力を吹き出しながら急いで幾多の蝙蝠へと姿を変えて幻月と距離を取る。

しかし、幻月もただでは逃がしてくれず、複数個の大きな妖力弾を打ち出して約半数の蝙蝠を撃ち落とした。 それにより、幻月と一旦距離を取ることは出来たものの、私は服はそのままだけど左手と左足を根本から失った状態で吸血鬼としての姿へと戻ることとなる。

再生を行いながら急いで幻月へと視線を移した時、幻月は本当に愉快そうに笑っていた。



「フラン、今のは素晴らしい反応ね!? 後の先を取って私に攻撃をしたし、非力なくせして複数操らなきゃいけない蝙蝠を全て撃ち落とされることなく距離を取って元の姿へと戻ることができた! それもこの私から!!」


「攻撃をしたって言っても、猫だましにもならないんじゃ意味がないよ。 それよりも、いきなりどうしたの?」


「あら、まだ分からない? さっきは私の言い方も悪かったとはいえ幽香達の前で恥をかかされたのよ? その雪辱を晴らしにきたに決まってるじゃない」


「……本当のところは?」


「強い奴と戦い、勝って私の強さを世界に示す。 あのルーミアとかいう奴も私に一撃をくれたけど、まずは幽香に勝ったフランと戦いたかったのよ。 勿論、恥をかかされたことへの雪辱を晴らすっていうのも半分は嘘じゃないわよ? ただし、恥をかかされたといっても幽香達の前でどうのこうのってことじゃなくて、この私がフランからしたら一目惚れするような、取るに足る存在ではないってハッキリと言われたことが私にとっては恥なの。 そのことについては、勝って貴女を本当に私の物にすることで雪辱を晴らすことにするわ」


「幻月って、そんなに自尊心に満ち溢れてたっけ?」


「自尊じゃないわ、単に至極普通で当然のことだもの、私にとってはね?」



不敵に笑う幻月の背後に白く大きな翼が広がり、そこから無数の妖力弾と魔力弾が放たれる。 まるで私にその力を示すかのごとく夜空に広がり、眼下の雲すら貫いて、宇宙や地上へ妖力と魔力が広がっていくその光景は、正に魔神の降臨といったところだろうか。

しかし目の前にいる幻月は魔神ではなく、幻の創造神とでも呼ぶべき相手。 魔神は、魔界神は別にいる…………そんなことを考えられたのも束の間、目前に迫る妖力弾と魔力弾の嵐を掻い潜り、どうにか体の再生を終わらせる。 幻月はその姿からも見てとれるほどの自信、或いは慢心のためか、その場から動いてはいない。 ただ挑発的に弾幕に溺れる私を見据え、嘲笑う。

……その嘲笑を許すことなど、私には出来なかった。



「……私を、スカーレットを舐めないで!!!!」


「ふぅん……? まぁ私には家名なんて関係ないし、フランがその気になってくれたならそれでいいわ」



幻月から正面方向に二十歩ほど離れた所に構え、叫びと共に前に突き出した両手と大きく広げた両翼、宙に浮かび上がった魔方陣から大量の妖力弾と魔力弾を放ち、幻月の弾幕を迎撃する。

一発一発の威力は私の方が勝っているのか、私の妖力弾や魔力弾は一発につき、幻月の妖力弾や魔力弾三発ぐらいと相殺し合っていた。 しかし、そうはいっても幻月の方が多くの妖力弾や魔力弾を放っているため、弾幕同士のぶつかり合いは均衡状態に落ち着いてしまう。



「あらあら、私を真っ向から受け止めるつもり? 良い度胸じゃない! その勝負、乗ってあげるわ!!」


「絶対、絶対に私が勝つんだから!!!!」



吸血鬼としての闘争本能に火が付いたのか、不死者でありながら死者の特質を持つはずの体が火照り、心が大きくざわつき始める。 猛る私の視線の先に写るのは、未だに私を嘲笑い続ける幻月の瞳。 その瞳を私への恐怖へと染め上げたくなる衝動に駆られると同時に、私の放つ弾幕の勢いが増す。 そしてそれを感じたのか、幻月も弾幕を放つ勢いを増し始め、遂に互いの弾幕の一部がそれぞれの弾幕をすり抜けて、私と幻月の体を掠め始めた。

特に動きがあるような、そんな戦いではない。 このままならば『偶然の一撃』によってお互いじり貧のまま、不完全燃焼のままに戦いの幕を下ろすことになるだろう。 しかし、そんな結末を許すわけにはいかない。 幻月に対し、確実な勝利を得ねば意味がないのだ。

……そして、この状況下で確実な勝利を得るためのカードが、まだ私には一つ残されていた。



「ほらほらほらほら!!!! このままだと私が押し切るわよ!?」


「……壊レろ!!!!」


「えっ、なっ!!!!!?」



私が叫びきってからおもいきり歯を噛んだ瞬間、幻月が放っていた全ての弾幕が霧散し、掻き消える。 私がしたことは単純で、いつか御姉様と永琳、鈴仙の弾幕を掻き消した時の様に、弾幕に宿る種、あるいは眼を、弾幕を放ち続ける手の中ではなく口の中に呼び込んで噛み砕いたのだ。

自分の弾幕が掻き消え、驚き固まる幻月に未だ放ち続けられていた私の弾幕が次々と命中する。 いつもよりも激しく放たれていた私の弾幕に飲み込まれ、幻月はその身をズタズタに引き裂かれながら月明かりが照らす夜空の中へと放り出された。

……でも、幻月がこんなことで終わるはずがない。 今までの経験からか、それとも吸血鬼の勘か、或いは両方か、私は直感でそう感じ、弾幕を放つのをやめて右手の中にレーヴァテインを喚び出し、流し込める限りの妖力と魔力をレーヴァテインに籠める。

そして私の直感は正しかったのだろう、放り出された幻月がその場で宙返りをして向き直り、先程までの笑みを消して全身全霊を込めて私を睨み付けてくる。 その両手には魔力と妖力が入り交じった物が集まり、今にも撃ち出されようとしていた。



「私の手の中で、本物の幻になって消えなさい!!!!!!」


「幻ゴトキ、地獄ノ業火デ壊レテ消エロ!!!!!!」



幻月の両手が前に突き出され、凄まじい轟音と共に放たれた一筋の閃光。 その閃光が放たれると同時にレーヴァテインに籠めた妖力と魔力が解放され、とてつもない大きさと熱量を誇る炎柱となり夜空を焼く。 そして、眼前に迫った閃光に向かって炎柱を振り下ろした瞬間、衝撃と共に私の視界は真っ白に染まっていったのだった…………。




ーーーーー


以上、フランvs幻月回でした!



さて、これでフランが負けるとフランは幻月の物となるのですが…………これまでと違って、愛情による束縛ではなく純粋な上下関係による束縛となるので、フランにとっては意外と初めてのパターンかな?


さてさて、フラン&レーヴァテインと幻月&幻月スパークのどちらが勝ったのか……それは次回ということで!



それでは又次回にてお会いしましょう!

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